堅実な6枚玉 SUMMICRON M 35mm

LEICA SUMMICRON M 35mm F2・6枚玉後期をデジタルライカMで使用したレビューと写真作例
目次
ギャラリー
- 写真作例の撮影はLEICA M typ240
レビュー


1.概要
ズミクロン M 35mm 6枚玉・後期はライカMマウントの広角レンズ型ズミクロン。
紹介するレンズは6枚玉・後期と呼ばれるレンズで1971-1979の間に15,620本作成された。数値はLEICA Wikiからの引用だ。
6枚玉・後期はレンズマウント金具の構造が古いため、レンズ認識用6bitコードを付加する改造に対応していない。
所有していたレンズは、ライツカナダ製でシリアル番号266xxxx、1973年製造。
6枚玉について
6枚玉と呼ばれるM型・ズミクロンは、数え方にもよるが6枚玉を一括りで2代目と呼ばれることが多く、さらに鏡筒とレンズ構成の違いで前期と後期に分けられる。この前期を2代目、後期を3代目と呼ぶところもあるので、こちらではまとめて6枚玉と呼んでいる。
前期型と後期型の違いは、レンズ構成と絞りリングの回転補助のために角が付いているなどが異なる。
レンズ構成の違いは、参考リンクのNew old Camera(イタリア)のサイトにある「ライツ・ズミクロンM35mmF2-6枚レンズと7枚レンズが歴史的問題に光を当てる」に詳しい説明が載っている。
こちらの説明を読むと、6枚玉後期型は2枚目と3枚目の貼り合わせ面から5群6枚と呼称するようだ。この改善により古いレンズに比べて明確に性能が向上しているとのことが記載されている。参考リンクの図はライカのリペアマニュアルから持ってきているようで確からしさはある。
また、こちらの記事によると、7枚玉についてもシリアル番号が大きい新しいドイツ製造レンズは、レンズ構造部材が金属に置き換えられており、内部構造に樹脂を使用していたレンズが途中から改良されていることが記載されている。
7枚玉は内部部品に樹脂が使われていることを、どこかの修理屋さんが公開していたウェブ記事でみて敬遠していたけれど、さすがに7枚玉も20年も製造していれば、技術的な不具合がきちんと修正されていることが知れた。
2.使用感
6枚玉後期型はピントレバーの突起以外は、シンプルな凹凸のない外観をもち、M型ライカにマッチする適度な大きさで、太めの初期デジタル・ライカM型カメラと相性がよい。
ズミクロン M 35mm 6枚玉・後期は過去に2本使用した。その感想は、最初に使った比較的状態がよかいレンズは絞り開放から、そつの無い堅実な描写をした。
2本目は曇りがあるためか、光線状態によっては柔らかで情緒的な描写をする。両者ともに実用上は何ら問題はなかった。。
正規の対応フードはIROOAと言う名称で、ラッパ型の個性的な外観で人気があり互換フードも多く作られている。
以下写真のフードは、左はMapcameraで売られていたサファリカラーの互換フード、右はメーカー不明の互換フード、どちらのフードもダブルフックで逆付けに対応している。
6枚玉はピントレバーがフード収納時にフードと干渉するため、フードの逆付けはできない。
ROOMフードはクラシックカメラ互換製品を多くリリースするUN社製IROOA互換フード、最近は中華製のIROOA互換フードも見かける。本家ライカ製は中古の美品だとかなり高額になる。


3.まとめ
結論としてズミクロン M 35mm 6枚玉・後期をまとめると、レンズの状態次第で評価は変わる。
すでに古いレンズなので、オリジナルの状態を維持していることは非常に希で、試写して気に入るかどうかが購入を判断する上で大きな比重を占める。
通販の場合は、オーバーホール前提で購入することになるけれど、オーバーホールをしてもオリジナルの状態になることはないので判断は難しい。
仕様・レンズ比較
M型ズミクロンは、伝説の8枚玉、現代的な7枚玉、非球面、APOと個性的なレンズがリリースされており、通称6枚玉と呼ばれる本レンズはM型ズミクロン35mmにおいて存在感の薄い地味なレンズだ。
ここでは、6枚玉後期と非球面旧型を比べてみる。
レンズ構成をみると2つのレンズが約20年離れていることを感じさせる。
絶対的な性能は現行レンズの非球面が有利なのは間違いないけれど、6枚玉には2025年まで生き残ってきた歴史があるので、手元にあるレンズの個性を楽しみながら撮影するのがよい。
- レンズ構成図はライカ公式配布資料やウェブにある資料から引用し、トレースしながらサイズはこちらで調整しているため厳密ではない。


項目 | SUMMICRON 6 Late | SUMMICRON 7 | SUMMICRON ASPH-old |
焦点距離 | 35(mm) | 35(mm) | 35(mm) |
最大絞り | 2 | 2 | 2 |
最小絞り | 16 | 16 | 16 |
絞り羽根 | 10 | 10 | 8 |
レンズ構成 | 5群6枚 | 5群7枚 | 5群7枚 |
最短撮影距離(m) | 0.7 | 0.7 | 0.7 |
レンズ長(mm) マウント面からの距離 | 30 | 26 | 34.5 |
レンズ最大径(mm) | 51 | 52 | 53 |
フィルター | E39 | E39 | E39 |
フード | IROOA | レンズフード 12524/12526 | レンズフード 12524/12526 |
マウント | ライカM | ライカM | ライカM |
重量(g) | 179 所有個体の実測値 | 160 | 225(黒) 340(銀) |
リリース年 | 1972〜1977 | 1979〜1999 | 1996〜 |
製造本数 | 15,620 | 52,993 | – |
参考文献・参考リンク
- 世界のライカレンズ・写真工業11月別冊/写真工業出版社/2000年11月30日発行(リンク先はamazon.co.jp・アフィリエイトリンク)
- Leica Wiki 「Summicron-M 2/35-II」6枚玉前期
- Leica Wiki 「Summicron-M 2/35-III」6枚玉後期
- 「ライツ・ズミクロンM35mmF2-6枚レンズと7枚レンズが歴史的問題に光を当てる」・New old Camera(Italy)
- フード:12524 / 12526・article by LEICA Forum(English)
更新
- 2025.4.28
- 2024.12.10
- 2023.03.01:改稿
- 2022.01.08:初稿
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