「戦後西ドイツのグラフィックデザイン」東京都庭園美術館

「dtvの猫に惹かれて」
東京都港区にある東京都庭園美術館で開催された「戦後西ドイツのグラフィックデザイン モダニズム再発見」の鑑賞レポート。
目次
戦後西ドイツのグラフィックデザイン モダニズム再発見
概要
- 戦後西ドイツのグラフィックデザイン モダニズム再発見
- 2025年3月8日(土) – 5月18日(日)
- 東京都庭園美術館
- 鑑賞料金:一般 1,400円(他割引あり)
- 本展は、2025年ぐるっとパスで観覧料無料にて鑑賞可能
展はイェンス・ミュラー氏とカタリーナ・ズセック氏によって収集された「A5コレクション デュッセルドルフ」の作品で構成されている。
展示は序章を含む5章で構成され、展示数は配布リストによると364点(同番重複は除く)。
- 序章・本館1階(一部撮影可)
- タイポグラフィ・本館2階(撮影不可)
- 幾何学的抽象・本館2階(撮影不可)
- 写真・新館ギャラリー1(撮影可)
- イラストレーション・新館ギャラリー1(撮影可)
展示フロアーは1階から2階、新館へ続く。
図録などを販売しているショップと休憩の喫茶店は新館にある。
感想
dtvとは、dtv Verlagsgesellschaftが正式名称のドイツの出版社、本展示におけるシンボルビジュアルのひとつが、セレスティーノ・ピアッティ(Celestino Piatti)の描いた猫だ。ピアッティの作品は新館に展示されており、他にも多くの作品を残している。


展は現代デザインの先駆けをポスターや図版資料で確認できる展示で、近代の商業デザインは文字と図版によるイメージ伝達手段の強力な手段であったがことが伝わってくる。
ドイツを代表する企業である、BMW、ルフトハンザ航空のポスターやリーフは、どこかで見た記憶がある。その他、ドイツ・カッセル市で5年に一度開催される国際的な現代美術の大型グループ展、ドクメンタ (documenta)関連の展示で、バウハウス関連の展示もある。
セレスティーノ・ピアッティの猫以外で気になったのは、2階のタイポグラフィの作品群で、作品を構成する要素が「繰り返し+転倒」の連続体であることがよくわかる。これはデザインの歴史がトレンドの繰り返しと転倒で進化してきたことを凝縮しているようで興味深い。
この時代のデザインを見ながら、最近の商業デザインはどこかで見たような図版が多くなり、メインヴィジュアルとなる作家の個性によって作品の個性が保たれる例が多く、この時代の図版の配置、文字の工夫による差別化が難しいことをあらためて認識する。
これは、デザインは多くの人に見て貰う媒体であるため、情報の巡りが超高速な現代では、デザイナーが斬新なデザインを提案しても、すぐに模倣者があらわれるというデザイナーのジレンマ、その消費の早さなど、様々な問題が絡んでいる。博覧会などのテーマデザインにおいて、たびたびパクり問題にさらされているのは、平面デザインの限界をしめしているなど、過去の素晴らしいデザインを見ながら、今の問題をおぼろげに考えた。
今回の展示では、本館の香水塔横の次間と、新館のギャラリー2は閉鎖されていた。
鑑賞日:2025.4.17
まとめ
ドイツで発展した商業デザインの流れを俯瞰して鑑賞できる展示、デザインに興味があれば楽しく鑑賞できる。
映画のポスターはシュルレアリスムの影響を受けた作品も多く、そちら方面が好みの人にもお勧め。
初夏の花が咲いている旧朝香宮邸、アールデコ様式の空間は何を展示しても違和感は少ないけれど、ドイツの堅めの作品の展示もよい取り合わせだ。
ギャラリー
関連リンク
更新履歴
- 2025.4.18
撮影機材
- HASSELBLAD X2D +XCD28P
- SONY NEX-7 +SUMMILUX R 50-E55 +BAVEYE
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