運慶 祈りの空間―興福寺北円堂

2025年9月13日に鑑賞した「運慶 祈りの空間―興福寺北円堂」東京国立博物館の感想
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目次
展概要
- 展題:特別展「運慶 祈りの空間―興福寺北円堂」
- 日付:2025年9月9日〜2025年11月30日
- 場所:東京国立博物館 本館 特別5室
- 【開館時間延長のお知らせ】
毎週金・土曜日、および9月14日(日)、10月12日(日)、11月2日(日)、11月23日(日)は20時まで開館時間を延長(入館は19時30分まで)
本展のために上京した仏さま
- 弥勒如来坐像(興福寺 北円堂安置)
- 無著菩薩立像(興福寺 北円堂安置)
- 世親菩薩立像(興福寺 北円堂安置)
- 四天王立像(持国天・興福寺 中金堂安置)
- 四天王立像(増長天・興福寺 中金堂安置)
- 四天王立像(広目天・興福寺 中金堂安置)
- 四天王立像(多聞天・興福寺 中金堂安置)

感想「東京と奈良をつなぐ記憶」
今回の展示は、博物館の特別5室に奈良 興福寺 北円堂の内部と同じ配置で仏さまが祀られている。
祀られた七尊のうち、中央の三尊は興福寺の北円堂、四天王立像は興福寺の中金堂に安置されている。
現地では異なるお堂に安置されている像を一つの空間でみるというところにミソがある。
これは四天王立像が創建当初に安置されたお堂が南円堂、北円堂など諸説あり、本展示は北円堂にこの七尊が展示されていたらという「if」の世界をあらわしている。同じ試みが2017年の運慶展においておこなわれているが、今回は2017年とは変わっている点があり、それについてはリンク先「運慶展2017」で説明している。
まずはじめに北円堂の三尊は、現地のお堂で鑑賞するときは九駆の像がひとまとめになっているため、中央の三尊とは少し距離ができてしまう。今回は弥勒如来座像、無著菩薩立像、世親菩薩立像の三尊との距離が近くより子細に像を鑑賞することができる。
弥勒如来座像、無著菩薩立像、世親菩薩立像の3体は正面から見ると、お堂でみたときの記憶がよみがえってくるようだった。そこから左に回ると世親菩薩立像の象眼に反射した光が目に入る。そのまま、背後に回ると3体のシルエットが同時に目に入り、落ち着きを感じる無著菩薩立像、たくましさを感じる世親菩薩立像と後ろ姿から両像の違いがよくわかる。また、弥勒如来座像は後背が取り外されているためお堂で見る姿とは印象が異なる。
そして、興福寺・中金堂に安置されている四天王立像はそれぞれ独立して展示されているため、360度すべての方向から鑑賞でき、それぞれの個性を存分に楽しむことができる。
入口を入ると、最初に見えてくる増長天はもっとも若々しい印象があり、胸と腹に見える3つの顔の模様が異形感をつよくする。その奥に立つ、広目天はライティングのためか金の色彩が反射して美しく、ひねった腰に手を当てるポーズが決まっている。その右側に立つ多聞天は宝塔を掲げるポーズと伸ばした腕が印象的で、そのポーズを真似している鑑賞者がいた。出口に近い位置の持国天は年長者を思わせる渋いたたずまいをしている。
4つの像を眺めていると、過去の記憶がおぼろげながらよみがえってきた。
本展はライティングも考え尽くされておりとても良い鑑賞環境だったが、少し残念だったのは、会場入口が増長天立像のところになっており、斜め下から鑑賞がはじまる。
会場のレイアウト上難しかったかもしれないが、入口を弥勒如来座像の正面からになっていると、より現地に近い雰囲気で鑑賞できたように思われた。
奈良 興福寺・北円堂の堂内は、下図のとおり9体の仏さまが祀られており、今回は室町時代に造られた大妙相菩薩像、法苑林菩薩像と、平安時代の乾漆像、国宝・四天王立像の計6体は上京していない。また、弥勒如来座像の後背は取り外され展示されていない。

興福寺2013
2013年に奈良の北円堂を訪問した。今回の展示がおこなわれた2025年から数えると、すでに12年前のことで干支が一回りしているため、当時の記憶は薄れていたが、お堂を再現するような展示のおかげで記憶が戻ってくるように感じられた。
通常、南円堂は毎年10月17日、北円堂は春(4月末から5月頭)と秋(9月頭から11月末)に特別開扉される。
訪問した2013年は南円堂創建1200年の特別公開で北円堂と南円堂を同時に開扉する特別なイベントがあり、関東から車を走らせて奈良を訪れた。関東から奈良までは約450km、朝の7時に部屋を出て興福寺に着いたのは14時くらいで、この日は南円堂と北円堂を鑑賞して興福寺 宝物館などは翌日に鑑賞した。
2013年時は今回展示されている国宝の四天王立像は南円堂に安置されており、不空羂索観音と同時に鑑賞し、南円堂の大きな不空羂索観音との取り合わせはとても迫力があったことをおぼえている。
この南円堂に安置されていた四天王立像は2018年から新しく完成した中金堂に移設され、2025年時点では常時公開されている。そして、南円堂は仮金堂(現在名称:仮講堂)に安置されていた四天王立像が移転している。
四天王立像の安置場所については、参考リンクの「トピックス~興福寺の四天王像の話 : 南円堂像・仮講堂像が引越し 【2018.3.10】」がもっともよくまとまっている。
運慶展2017
北円堂の無著菩薩立像、世親菩薩立像、中金堂の四天王立像は2017年の「運慶展」で上京している。
その展示において、今回同様に北円堂の四天王が中金堂の四天王だったらと言う今回と同じコンセプトの展示がおこなわれた。
両展共に配置は北円堂の配置を踏襲しているが、今回と2017年が異なる点は次の2点で、2017年は無著菩薩立像、世親菩薩立像の二尊の中央に位置する弥勒如来座像が上京しておらず写真のみの展示、中金堂の四天王立像は旧名称で展示されたことだ。
現在、中金堂に安置されている、四天王像は2018年に三尊の像名が変更されており、2017年は旧像名で展示されたため、2025年の展示と像名は同じだが実際に置かれた像が異なっている。
四天王立像2018年の像名変更リスト
- 持国天(2018改称)→旧・広目天
- 増長天(2018改称)→旧・持国天
- 広目天(2018改称)→旧・増長天
- 多聞天(変更なし)
ギャラリー
参考情報
- 特別展「運慶 祈りの空間―興福寺北円堂」・国立博物館公式ページ
- 特別展「運慶 祈りの空間―興福寺北円堂」関連イベント・国立博物館公式ページ
- 法相宗大本山 興福寺・公式ページ
- トピックス~興福寺の四天王像の話 : 南円堂像・仮講堂像が引越し 【2018.3.10】・観仏日々帖
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撮影
- LEICA T typ701 +SIGMA 20mm DG DN
- PANASONIC LUMIX DMC-LX7
更新履歴
- 2025.9.15
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