大口径 F1.9と非球面レンズのULTRON 28

Voigtlander ULTRON L 28mm F1.9 Aspherical L39マウントをLEICA M フィルムカメラとデジタルカメラで使用したレビューと写真作例
目次
ギャラリー
- 写真作例の撮影はLEICA M6 +KODAK PKR64 +DiMAGE SCAN PRO Multi
- 写真作例の撮影はLEICA M9
レビュー


1.概要
Voigtlander ULTRON 28mm F1.9(初代28mmウルトロン)は、コシナがフォクトレンダーブランドで2001年にリリースしたL39スクリューマウント(以下、L39)を採用した焦点距離28mmの広角レンズ。
主な仕様は以下の通りで、詳細な仕様は表に載せている。
- 開放F値 1.9
- レンズ構成 7群9枚
- 非球面レンズ1枚
- 絞り羽根 10枚
- 最短撮影距離 0.7m
- ライカMレンジファインダーカメラ距離計連動 0.7m
- フード 専用横ネジ止めフード
- レンズカラーバリエーション シルバーとブラック
2.使用感
ULTRON 28mm F1.9はL39マウントを採用し、レンジファインダーの距離計に連動する。
最短撮影距離は0.7mとライカMマウントで標準の値を採用している。ライカMマウントのカメラで使用する場合はL / M変換リングが必要となる。
操作感は、新品のレンズを使用していたこともあり、フォーカスリングはスムーズに廻り、絞りリングも遊び無く設定値で止まる。
新品レンズはフォーカスリングの回転補助にピン状の指かかりが付属しておりフォーカスリングに取り付けることができるが、中古でレンズのみ売られている場合は、このピン状の指かかりを見ることはほとんど無い。ウルトロンのフォーカスリングは回転リングの幅に余裕があるので、このピンがなくても無くても困ることはない。
EPSON R-D1、LEICA M6、LEICA M8、LEICA M9で使用した経験上、絞り開放時でも2重像合致式のファインダーで十分なピント精度だ。
撮影結果は周辺光量も豊富で周辺減光を感じることは無く、少し絞ると周辺まで十分な解像感がある。
L39マウントを採用しているので、古いバルナックライカ、日本製ライカコピーカメラで使用することができる。鏡筒が大きなレンズなので、バルナックライカに装着すると、距離計窓にレンズ鏡筒がかぶることと、カメラの見た目が大げさな印象となる。
この初代ウルトロンは非球面レンズの扱い方が洗練されておらず、ボケが堅いとの記事をみたことがあるが、自身が使用した限りでは気になるような大きな破綻をした画像を見たことはない。これはソースを示すことができないので、明確な情報ではない。
最後にこのレンズは、初期フォクトレンダーレンズの中も鏡筒の作りがよいと思っている。
とくに標準で付属する縮緬加工のフードを装着した姿で完成されたレンズとなり、この姿はコシナ・フォクトレンダー・レンズラインナップの中でもレンズ外観でトップ5にはいる。


3.付加情報
コシナ・フォクトレンダーの大口径28mmレンズは3世代あり、2代目は非球面レンズを採用していないVMマウントのULTRON 28mm F2(2008年8月5日発売)、3代目はふたたび非球面レンズを採用したULTRON Vintage Line 28mm F2 Aspherical(2021年6月10日発売)がリリースされている。
「スナップシューターの盟友」とキャッチコピーのついた、3代目のULTRON Vintage Line 28mm F2 Asphericalは、下のレンズ構成図を見て分かるとおり、初代の非球面ULTRONをベースに大幅な小型化、軽量化したレンズとなっている。
とくにTyp-Iは重量190gなのでレンズ長36mmとあいまって、コンパクトさが際立っている。
このレンズサイズであれば、バルナックライカにも似合いそうだが、マウントはMマウント互換のVMマウントとなっている。


より大口径の28mmレンズとして、2024年1月19日に、NOKTON Vintage Line28mm F1.5 Asphericalが発売している。
仕様・歴代レンズ比較
項目 | ULTRON 1st | ULTRON 2nd | ULTRON Vintage line |
焦点距離(mm) | 28 | 28 | 28 |
最大絞り | 1.9 | 2 | 2 |
最小絞り | 22 | 22 | 22 |
絞り羽根 | 10 | 10 | 10 |
レンズ構成 | 7群9枚 | 8群10枚 | 7群10枚 |
非球面レンズ | 採用 | 非採用 | 採用 |
最短撮影距離(m) (距離計連動) | 0.7 | 0.7 | 0.5 0.7(距離計連動範囲) |
レンズ長(mm) | 63.1(フード込み/L39) | 51.2(フードなし/Mマウント) | 36 |
レンズ最大径(mm) | 55.8 | 55 | 51.4 |
フィルター径(mm) | 46 | 46 | 39 |
レンズフード | 専用花形 | 専用円筒形 | LH-4N(別売) LH-12(別売) |
重量(g) | 265 | 244 | 190g(Type I) 230g(Type II) |
マウント | L39 | VM | VM |
リリース年 | 2001.4 | 2008.8.5 | 2021.6 |
価格(定価・税別) | 75,000(銀色) 78,000(黒色) | 75,000(黒色) | 100,000 (3種共通) |
参考文献・参考リンク
- コシナ・フォクトレンダー・L39マウントワイドレンズ・製品PDF
- ULTRON Vintage Line 28mm F2 Aspherical
- NOKTON Vintage Line28mm F1.5 Aspherical
- 世界のライカレンズPart3(P74)・アマゾンアフィリエイトリンク
更新履歴
- 2025.3.25
- 2024.1.29
- 2023.9.10
広告
- フォクトレンダーレンズ・Ads by Amazon
- フォクトレンダー書籍・Ads by Amazon
- Voigtlander ULTRONレンズ・Ads by Amazon
- 世界のライカレンズPart3(P74)・アマゾンアフィリエイトリンク
コメントを残す