Voigtlander ULTRON L 28mm F1.9 Aspherical
非球面レンズ採用・大口径28mm広角レンズ
ウルトロン28mm F1.9 ASPH.のレビューと写真作例
目次
ギャラリー
- Rollei 35RFとKODAK Kodachrme64(PKR)で撮影しDiMAGE Scan Multi PROでスキャン
- LEICA M9で撮影
レビュー
1.概要
ULTRON 28mm F1.9(初代28mmウルトロン)は、コシナ・フォクトレンダーがリリースしたL39スクリューマウント(以下、L39)を採用した、大口径、絞り開放F値1.9の広角レンズ。
Mマウントカメラで使用する場合は、L/M変換リングが必要になる。
大口径レンズを実現するためにレンズ全長は長くなり、フードを装着した際の全長は6.3cmとなり、同じくフードを装着した、L39マウント版のカラーヘリアー 75mm F2.5の6.45cmとほぼ同じで大柄なレンズとなっている。
L39マウントを採用し、レンジファインダーの距離計に連動する。最短撮影距離は1.0mでバルナックライカの標準の値を採用している。
オリジナルフォクトレンダーのULTRONは50mm / F2で、本レンズは開放F1.9でオリジナル・ウルトロンのF2に絞り開放値が近いという関連性のみで命名されていると推測される。
2.使用感
ULTRON 28mm F1.9(初代 28mm ウルトロン、以下、ウルトロン28)は、初期フォクトレンダーレンズの中も、鏡筒の作りが上品でヘリコイドもスムーズに廻る、R-D1、LEICA M8、LEICA M9の距離計で使用したかぎり十分な精度でピント位置をとらえることができ、周辺光量も豊富で撮影結果に周辺減光を感じることは無く、少し絞ると周辺まで十分な解像度をもっている。
標準で付属する縮緬加工のフードを装着した姿で完成されたレンズとなり、この姿でコシナ・フォクトレンダー史上最も美しいレンズで、フードが付属していないとレンズが価値は半減すると思っている。
L39マウントを採用しているので、古いバルナックライカ、日本製ライカコピーカメラで使用することができる。後述するように大柄なレンズなので、バルナックライカに装着すると少し大げさな印象のカメラとなる。
3.競合
コシナ・フォクトレンダーの大口径28mmレンズは3世代あり、2代目は非球面レンズを採用していないVMマウントのULTRON 28mm F2(2008年8月5日発売)、3代目はふたたび非球面レンズを採用したULTRON Vintage Line 28mm F2 Aspherical(2021年6月10日発売)がリリースされている。
3代それぞれで鏡筒デザイン、レンズ構成が異なり興味深い。
初代は非球面レンズの扱い方が今一でボケが堅いとの話をみたことがあるが、自身が使用した限りでは気になるような大きな破綻をした画像を見たことはない。
ほぼ同スペックのライカ・ズミクロン 28mm F2と比べると、1/5〜1/10程度の価格で入手できるので買いやすいレンズである。
仕様・比較
項目 | 初代ウルトロン | 二代目ウルトロン | 三代目ウルトロン | ズミクロン28mm ASPH. |
非球面レンズ | 採用 | 非採用 | 採用 | 採用 |
焦点距離(mm) | 28 | 28 | 28 | 28 |
最大絞り | 1.9 | 2 | 2 | 2 |
最小絞り | 22 | 22 | 22 | 16 |
絞り羽根 | 10 | 10 | 10 | 10 |
レンズ構成 | 5群7枚 | 8群10枚 | 7群10枚 | 6群9枚 |
最短撮影距離(m) (距離計連動) | 0.7 | 0.7 | 0.7 | 0.7 |
レンズ長(mm) | 63.1(フード込み/L39) | 51.2(フードなし/Mマウント) | 36 | 40.8(Mマウント) |
レンズ最大径(mm) | 55.8 | 55 | 51.4 | 53 |
フィルター径(mm) | 46 | 46 | 39 | 46 |
重量(g) | 265 | 244 | 190/230 | 270 |
リリース年 | 2001.4 | 2008.8.5 | 2021.6 | 2000. |
価格(定価・税別) | 75,000(銀色)/78,000(黒色) | 75,000(黒色) | 100,000 (3種共通) | – |
参考文献・参考リンク
- コシナ・フォクトレンダー・L39マウントワイドレンズ・製品PDF
- 世界のライカレンズPart3(P74)・アマゾンアフィリエイトリンク
更新履歴
- 2024.1.29:PKR作例追加
- 2023.9.10:初稿