Voigtlander ULTRON L 35mm F1.7

非球面レンズ採用・大口径35mmレンズ

フォクトレンダー・ウルトロン35mm F1.7のレビューと写真作例

目次

ギャラリー

  • 写真作例の撮影はLEICA M9

レビュー

レンズ構成図はコシナ公式ページより引用

1.概要

ウルトロン 35mm F1.7 Asphericalは、コシナがフォクトレンダーブランドで初期にリリースしたレンズ。

レンズ構成は6群8枚、最短撮影距離は0.9mとなっている。
レンズマウントはL39スクリューマウントで、0.9mまでレンジファインダーカメラの距離計に連動する。
フィルター径は39mm、レンズ前面にねじ込んで装着する。

純正のねじ込みフードは長さも短く遮光効果が低い。また、純正フードを装着したレンズ外観は今ひとついけていない。これを改善する方法としてライカ・ズミクロン35mm用フードIROOAを装着すると見栄えが変わる。
ウルトロンの純正レンズフードを外したあとに残る外ネジピッチは、IROOAの固定フックと合致するようにできている。(IROOAフードの装着はメーカー推奨ではないためユーザーが自己責任でおこなうと認識ください。)

IROOAを装着すると、下写真のような姿となり、絞りリング部分で谷ができ、フォーカスリングのわずかな盛り上がりへ続くラインが美しい。これを見るとコシナが狙ってやっているように思える。

IROOAフード装着

2.使用感

レンズの描写は、ライカ M9の35mm判フルサイズセンサーで使用しても隅まで大きな破綻はなく、ボケ見は若干のざらつきが気になるシーンも散見されるが、トータルとしては悪くない。

初期コシナ・フォクトレンダーレンズは、オールドレンズとデジタル対応レンズの過渡期にあり、レンズ構成も一般的なガウスタイプからはなれ、設計に試行錯誤していることが感じられる。

ウルトロン 28mm F1.9とともに非球面レンズを採用しており、ブランド初期の力のはいったレンズだ。

3.比較

ウルトロン 35mmはL39スクリューマウントの初代の16年後の2015年に、レンズ構成変更とライカMマウント互換のVMマウントにリニューアルされた2代目ウルトロンをリリースした。
その5年後・2021年にレンズ構成と絞り開放値をF2に変更して3代目ウルトロンがリリースされた。

3代目の少し後に公式ページにあるように、「光の3原色を構成するRGBの軸上色収差を限りなくゼロに近づけるアポクロマート設計により、各種の収差を徹底的に排除するとともに解像力やコントラスト再現性に関しても究極の性能を追求しています。」1
とのうたい文句で。新しい35mmレンズシリーズを発売している。

APO LANTARの絞り開放F値はF2なので、ウルトロンはF1.7を維持して商品を差別化する方法もあったはずだが、同時期に最高峰レンズよりF値が明るいレンズが市場に並ぶのは商品構成上認められなかったのだろうか?
APO LANTARがF1.4であれば、ウルトロンはF1.7で継続していたとも考えられるが、F1.4のアポ仕様はレンズが大きく高価なるため、明るいNOKTONブランドと競合してくるので採用されなかったのだろうか?
フォクトレンダーブランドは同じ焦点距離に絞り値違いで多くのレンズを販売しているため、製品間のバランス取りに苦労しているような印象を受ける。

仕様

項目ULTRON LULTRON Vintage LineULTRON Vintage LineAPO-LANTHARSUMMICRON 35mm ASPH.
焦点距離(mm)3535353535
最大絞り1.71.7222
最小絞り1616161616
絞り羽根101010129 or 11
レンズ構成6群8枚7群9枚5群8枚9群11枚5群7枚
最短撮影距離(m)0.90.50.580.50.7
レンズ長(mm)44.7(フード込み/L39)50.928.158.134.5(Mマウント)
レンズ最大径(mm)55535255.653
フィルター径(mm)3946394939
フード専用LH-9LH-4N
LH-12
LH-13
重量(g)203330(銀)
238(黒)
170(I)
210(II)
304340(銀/チタン)
255(黒)
リリース年1999.82015.82019.1.25(I)
2021.3.19(II)
2021.3.251996
価格(定価・税別)¥65,000(銀色)
¥68,000(黒色)
¥135,000(銀色)
¥115,000(黒色)
¥90,000-¥120,000-

参考文献・参考リンク

更新履歴

  • 2024.12.2
  • 2024.04.15:改稿
  • 2023.09.14:初稿

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  1. コシナ公式ページより引用 ↩︎

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