パンケーキAF EF40mm F2.8 STM

パンケーキAF EF40mm F2.8 STM

EF40mm F2.8 STMをデジタル一眼レフカメラとデジタルミラーレスカメラで使用したレビューと写真作例

目次

ギャラリー

写真作例の撮影は以下のカメラを使用した。

レビュー

CANON EF 40mmCANON EF 40mm +EOS-1D Mark-IV

1.概要

EF40mm F2.8 STMは2012年に発売されたオートフォーカス・パンケーキレンズ

レンズ鏡筒は前方にフォーカスリング、側面にAF/MFボタンだけである。電子制御のEFマウントなので絞りはカメラ側で制御する。レンズ仕様はページ下方にまとめてある。

レンズ価格は定価で2.3万円、中古価格では1万円ちょっとで入手できる。

2.使用感

EF40mm F2.8 STMの描写は、コストダウンの影響が大きいようで場面によっては色滲みがみられる。

レンズはインナーフォーカスではなく、フォーカス動作をさせるとレンズ鏡筒が前後している。
無限位置でもっともレンズが薄くなり、最短撮影距離に向かってレンズ鏡筒が被写体に近づいていく。

この実際にレンズの伸び縮みがわかることには利点があり、ノーファインダーで撮影するとき、このレンズ位置をおぼえておくと、レンズが繰り出されていれば近接部にピントが合っており、レンズがあまり繰り出されていないときは遠方にピントが合っていることになる。

合焦に使うレンズモーターSTMはとても静かだがそれほど動作速度は速くない。
オートフォーカスの動作速度、合焦精度はカメラによって異なるため、このあとの使用したカメラでの感想で記載した。

■APS-Hサイズセンサー・デジタル一眼レフカメラ

EOS-1D Mark-IVで使用すると、35mmフィルム判換算焦点距離が52mmとなる。35mmフルフレームセンサーと比べると狭くなるが、この程度の差はさほど違和感は無い。
しかし、撮影結果で気になるのは、絞り開放で木々の周辺部にパープルフリンジが発生していることだ。

オートフォーカスの動作速度がもっさりしているように感じられるのは、レンズ駆動モーターSTM(ステッピングモーター)のためか?と思っていたが、後述するSONY α7Siiの動作速度を見ると、AFセンサーが古いためだろうか?と推察している。AF合焦精度はとくに近接撮影時によくなくフォーカス位置が後ろに抜けていくことが多い。

一眼レフカメラの分厚いボディに装着すると見た目は少しアンバランスだが、正方形状のEOS-1D Mark-IVに取り付けるとレンズ部の出っ張りが無くなり、カメラバックへの収納がよくなる。

■APS-Cサイズセンサー・デジタル一眼レフカメラ

EOS-7Dで使用すると、35mmフィルム判換算焦点距離が64mmとなる。APS-Cサイズセンサー搭載カメラで使用する際は焦点距離が60mm(x1.5倍センサー)〜64mm(x1.6倍センサー)となり中望遠レンズに近くなり、撮影結果は焦点距離40mmと印象が異なる。レンズ中央部分だけを利用し周辺部がカット(クロップ)した撮影結果は画像の安定性が向上している。

EOS-7Dのオートフォーカス動作速度、合焦精度はEOS-1D Mark-IVと同等だ。

■35mmフルフレームセンサー・ミラーレスカメラ

SONY α7Siiとレンズの接続は、サードパーティー製のSONY E-EFマウントアダプター「Viltrox EF-NEX IV Lens Mount Adapter Ring 」を介して使用した。35mmフルフレームセンサーを搭載したカメラで使用すると、表記通りの焦点距離40mmとなる。

レンズ側面のAF/MFボタンは機能しない。合焦後にマニュアルフォーカスの割り込みができ、フォーカス位置を変更できるためカメラ側でAF/MFを切り替える必要は無い。

合焦精度はEFマウントカメラと同程度でAFの合焦速度はこちらが早く感じる。
こちらの撮影結果を見るとEOS-1D Mark-IV同様に木々の周辺にパープルフリンジが発生しているため、これはレンズ側の補正不足と考えられる。

撮影時のEXIFに記録されるレンズ名は「Sony 40-40mm F2.8 SSM OSS」で超音波モーター、手ぶれ補正付きとなっており装着しているレンズのスペックとは異なっている。SONY製の焦点距離40mmレンズは「FE 40mm F2.5 G」なので純正レンズの情報を流用してはいないようだ。EXIFの生成方法の詳細については詳しくは知らないが、どこで情報を生成しているか興味深い。

CANON EF 40mm +SONY α NEX-7CANON EF 40mm +SONY α7Sii

■APS-Cサイズセンサー・ミラーレスカメラ +フォーカルレデューサー

SONY α NEX-7とレンズの接続は、サードパーティー製のフォカルレデューサー搭載SONY E-EFマウントアダプター「Canon EF Lens to Sony E -mount T CINE Speed Booster ULTRA 0.71x」を使用した。
35mm版換算焦点距離は、40mm *1.5(APS-Cセンサー拡大倍率) *0.71(フォーカルレデューサー拡大倍率)=43mmとなる。レンズ本来の焦点距離と近い値になる。
また、フォーカルレデューサーは集光率を高めるため絞り開放F値が全体で1段上がるため絞り開放時は43mm / F2となる。

オートフォーカスの速度はα7Siiと同程度で、合焦精度についてはα7Siiよりもクセがあり、被写体によっては合焦しているにもかかわらず、シャッターボタンを押して半押しでピント位置を確定しているにもかかわらず、シャッターボタンをさらに押し込むとき再度オートフォーカスが駆動してピンボケ写真ができることがあった。

レンズ側面のAF/MFボタンは機能しない。合焦後にマニュアルフォーカスの割り込みができ、フォーカス位置を変更できるためカメラ側でAF/MFを切り替える必要は無い。

描写はフォーカルレデューサーで拡大するため周辺が甘くなり、歪みが増幅されるのはしょうが無いかなと思っていたが、作例を見てもわかるとおり予想以上にボケなく解像し、歪みもあまり認められないことに驚いた。
後述する持ちづらさがなければ、APS-Cサイズセンサー搭載カメラのマウントアダプターとしてはよい選択肢と言える。もちろん、元レンズの素性によってはこの限りではないと考えられる。

以下の作例は左はNEX-7+Speed Booster ULTRA 0.71xで右はα7Siiの結果で、手持ちだが同じ位置から撮影している。NEX-7のほうが43mmと焦点距離が長いため撮影範囲が狭くなっていることがわかる。

CANON EF 40mm +SONY α NEX-7 +SPEED BOOSTER Ulter x0.71CANON EF 40mm +SONY α7Sii

このマウントアダプターはレンズ固定方式にスピゴットマウントを採用しておりマウントアダプターにレンズ固定用の締め付け環(下写真のNEX-7とEF40mmの間にある銀色のごっつい物体)があるため、ボディの小さなNEX-7で使用すると、カメラグリップとこの環の隙間がごくわずかでカメラホールド性はよくない。これはボディの大きなEマウント・シネカメラ向けに作られた製品だからしかたがない。
また、無限遠の調整はユーザー側に委ねられており、無限がでない場合は説明書を見て調整することが可能だ。購入当初マニュアルをよく読まずに調整無しで使用したら無限遠がでなくて難儀した。

また、拡大鏡になるレンズがマウントアダプターに詰まっているため、他のマウントアダプターを付けてマニュアルフォーカスレンズを使用することには向いていない。とくに古いレンズは後玉がフィルム面に近いレンズもあり、所有するレンズではライカRマウントの広角レンズはマウントアダプターとレンズ後端が干渉するため、ほぼすべて装着できない。

撮影時のEXIFに記録されるレンズ名は「Sony 40mm F2.0」で焦点距離はレンズの値で、絞り開放値はフォーカルレデューサーで明るくなった値が記録されている。このことから焦点距離はレンズの持っている値がそのままの値で、絞り値はマウントアダプターが変換してカメラに受け渡しているように見える。

CANON EF 40mm +SONY α NEX-7CANON EF 40mm +SONY α NEX-7 +SPEED BOOSTER Ulter x0.71

3.まとめ

結論としてEF40mm F2.8 STMをまとめると、とてもコンパクトなオートフォーカスレンズ。

写りはボディサイズによって犠牲になっている部分もあるため、レンズのクセを知って対応する必要がある。

EFマウントレンズとしてはもっともコンパクトで、マウントアダプターを用意すれば各種ミラーレスカメラでオートフォーカスで動作するため、使い勝手も悪くないためお勧めのレンズだ。

仕様・考察など

35mmフィルム判に対応したパンケーキレンズは、各社から発売されているがそのほとんどはマニュアルフォーカスレンズとなっている。以下代表的なところを以下に記した。

  • Voigtlander ULTORN-SL 40mm
  • SMC PENTAX-M 40mm F2.8
  • NIKON AI-S NIKKOR 45mm F2.8P
  • CONTAX TESSAR 45mm F2.8

PENTAX DA 40mmがオートフォーカスのパンケーキレンズだが対応センサーサイズがAPS-Cなっている。また、パンケーキレンズに限らなければ、40mmレンズは各社からリリースされている。

EF40mm F2.8 STMとVoigtlander ULTORN-SL 40mmを比べると、変形ダブルガウス型でうり二つのレンズだ。レンズ直径がEF 40mmが小さいのは開放絞り値が2.8とULTRON 40mmより暗いレンズだからだ。EF40mmのレンズ鏡筒直径が大きいのはオートフォーカス用のモーターが入っているためと考えられる。

CANON EF 40mmVoigtlander ULTRON 40mm
項目EF 40mmULTRON
焦点距離(mm)4040
最大絞り2.82
最小絞り2216
絞り羽根79
レンズ構成4群6枚5群6枚
最短撮影距離(m)0.30.4
レンズ長(mm)22.829.5
レンズ最大径(mm)68.263.5
フィルター径(mm)5252
重量(g)130255
フードES-52LH-40S LH-40D 
マウントCANON-EFニコンF オリンパスOM キヤノンFD M42 ペンタックスK ライカR CY
製造年2012.62002.05
定価¥23,000¥45,000

参考情報

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更新履歴

  • 2025.10.17

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