森があふれる
<読後感想>
流麗で闇の無い文章で読みやすい。主要登場人物の男女4人、世間的マジョリティの違和感を感じつつも日々生きることに忙しい。最後は違和感を包み込み日常に戻っていく、超克できる人だけではないという飛び道具のない物語。
作者が設定した男女はそれぞれが女性、男性で重なり合う性格が与えられ、男性の典型的とも言える描き方に違和感を感じたが、それを何故と考えるのが読書の醍醐味なのだろう。作中で描かれる典型的なパターンは多くの面でマジョリティを示す現象であり、提示された現象により心がざわざわするのは、それに心当たりがあるからに違いない。
マジョリティとマイノリティで考えると、ツィッターでフォローしている人は、いくぶんはみ出してる人が多いため、それによって世間感覚を錯覚してしまいそうだが、己が世間を知らないだけかも知れないが、マジョリティは個別の発信を求めていないような気がする。
様々事情でマイノリティにシフトしつつある自分がマジョリティについて戸惑いを覚えている感覚が何かをおぼろげならがも認識できたのは良かったと思う。いまの認識もときとともに変わっていくのだとは思う。
<書籍について>
綾瀬まるの中編小説で河出書房より刊行された書籍「森があふれる」の装丁に、アーティスト大小島真木が2011年に発表した「森の饗宴」を提供している。
<書籍情報>
- 書籍名: 忘却の野に春を思う
- 出版社 : 河出書房新社 (2019/8/8)
- 発売日 : 2019/8/8
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 183ページ
- ISBN-10 : 4309028160
- ISBN-13 : 978-4309028163
<アフィリエイトリンク>
Amazonアフィリエイトリンク