須田悦弘 ミテクレマチス・ヴァンジ彫刻庭園

須田悦弘 ミテクレマチス・ヴァンジ彫刻庭園

「クレマチスと睡蓮を見て、雑草を見わすれて」

静岡県長泉町にあるヴァンジ彫刻庭園で開催された「須田悦弘 ミテクレマチス 展」の鑑賞レポート。

目次

須田悦弘 ミテクレマチス

概要

  • 展名:須田悦弘 ミテクレマチス
  • 会期:2018年4月22日(日)〜10月30日
  • 場所:ヴァンジ彫刻庭園
  • その他:2025年現在ヴァンジ彫刻庭園は休館中
  • 巡回:なし

ヴァンジ彫刻庭園はクレマチスの丘にあり、2階建ての館と野外園で構成された美術施設、施設の後ろ盾であった銀行の不祥事により、ヴァンジ彫刻庭園は閉園となり、静岡県に譲渡され再開館の予定であるが2025年現在具体的な再開間の話は聞こえてこない。

当時のヴァンジ彫刻庭園は館内撮影は可能で本展も全作品撮影可能だった。

ヴァンジ彫刻庭園の建築設計は、宗本順三 + 柴原利紀 /ラウムアソシエイツが担当し、鹿島建設の施工で2002年4月に完成した。

図録などのグッズはショップ NOHARA(2025年現在閉店)にて販売された。

感想

本展は、ヴァンジ彫刻庭園の美術館部分に、須田悦弘氏が作成した8種のクレマチスと睡蓮、雑草の10種をヴァンジの彫刻が展示された状態の館内に展示している。

美術館の基本構造はコンクリート打ちっぱなし、地上から地下へ続く2階建ての建物となっている。

鑑賞順路は地上の庭園部分から館入口の自動ドアを抜けると小さな展示室あり、《テッセン・Clematis florida》があらわれた。
階段を下るとロフト的な展示室になり、常設のヴァンジの彫刻がある。

こちらからは、《ミケリテ・Michelite Clematis》、《白万重・Alba Plena》、《ソフィー・Clematis ‘Sophie》、《モンタナ・Clematis montana》を間近にみることができた。

この展示室は手すり越しに地下の展示室が見えて《睡蓮・Water lilly》が咲いていた。

地下展示室につながっている橋と渡り、階段を下ると展示室に着く。
地下展示室は美術館のメイン展示室で1カ所の小部屋以外は柱と壁だけのオープンな空間で常設のヴァンジの彫刻が展示されている。

こちらには、《カザグルマ・Clematis patens》、《踊場・Clematis ‘Odoriba’》、《カリシナ・Calysina Clematis》の3作品をみることができた。

また、地下展示室の吹き抜け部分から、先ほど見た4つのクレマチスを遠目に見ることができる。立体的な空間を生かした展示になっている。

様々な場所にひっそりと須田氏が創造した花たちがコンクリートの隙間からほんとうに咲いているように感じられる。

薄暗い館内を歩いていると須田悦弘氏の作品があらわれては消えていく。視界から消えた作品はすでに存在せず、再び視界に入れると作品は存在する。時の流れを鑑賞者がコントロールしているようで、いつまでも見続けていられる展示で去りがたい空間だった。

《睡蓮・Water lilly》を見ながら、後ろ髪を引かれつつ館を出ると地階の庭園にでる。地階の庭園はヴァンジの常設作品、鏡池、喫茶コーナーなどがあり、先ほど見た須田作品を生花で鑑賞できる。

こちらの喫茶コーナーは、季節の生花が飾られており、ハーブティーの葉っぱを買うことができた。訪問当日は薄曇りだけれど気温は高かったので、アイスレモネードとクッキーのセットをいただいた。

当時、展示リストを確認せず館内を見て回ったため、区切られた小部屋の映像コーナーに展示されていた《雑草》2018を見わすれる失態をおかしていることに後で気がついた。

まとめ

須田氏の作品は、いくつかの美術館で鑑賞しており、どの空間でも素晴らしい展示を見せてくれる。
この2018年のヴァンジ彫刻庭園の展示は、須田氏の作品を鑑賞するだけで無く、ヴァンジの彫刻と生花の咲く空間が一体となった素晴らしい展示だった。展示期間が長かったので秋頃に再訪しなかったのは悔やまれる。

2025年現在、ヴァンジ彫刻庭園は閉ざされたままだが一日も早く再開されることを望む。

寄り道

クレマチスの丘には車で行くことが多かったけれど、このときは電車と三島駅からの巡回バスにて現地を訪れた。

クレマチスの丘の駐車場には、淺井裕介さんの「動物になった白線」が描かれている。これは2025年の休館中も消えること無く残っている。

クレマチスの丘に到着後、IZU PHOTO MUSEUMで「星野道夫の旅」、少し離れたベルナール・ビュフェ美術館に移動して「藤田嗣治 本のしごと」、「ベルナール・ビュフェ再考」を鑑賞したのち、ヴァンジ彫刻庭園のそばにある和食処「うつわ茶房 」で、お昼ご飯にトラりんがじっと見ている巨大な魚のフライ定食をいただいた。

最後にヴァンジ彫刻庭園の「須田悦弘 ミテクレマチス」を鑑賞後、三島駅に戻って三嶋大社にお参りをして本日の旅は終了。

  • 2018年8月30日訪問

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更新履歴

  • 2025.5.16

撮影機材

  • LEICA TL +SUMMILUX TL 35mm +APO MACRO ELMARIT TL 60mm

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