シンプルテッサー ELMAR 50mm F2.8

LEICA ELMAR M 50mm F2.8をLEICA M8、LEICA M9で使用したレビューと写真作例
目次
ギャラリー
- 写真作例の撮影はLEICA M9、LEICA M8
レビュー


1.概要
エルマー M 50mmは1930年からリリースされている伝統のあるレンズで、初期は絞り開放値 F3.5からスタートして1965年からF2.8に明るくなっている。
紹介するレンズは1994年にリリースされた最新のエルマー 50mmだ。
1994年から2007年にかけて合計1.7万本程度製造され、2024年の時点で製造は終了している。
鏡筒色にブラックとシルバーがあり、ブラックは170gでシルバーは真鍮製のためブラックより80g重い250gとなっている。
主要なレンズ仕様はレンズ構成は3群4枚、絞り開放F値は2.8、絞り羽根は6枚、最短撮影距離は0.7mとなっている。
フィルター径は39mm、新品は専用のネジ込み円筒フード12550(黒色)、12549(銀色)が標準添付されている。
レンズ認識6bitコード標準付加のレンズもあり、6bitコードがないレンズはライカサービスで有償にてコードを追加することができる。


2.使用感
エルマー 50mm F2.8は沈胴鏡筒を備えたコンパクトな標準レンズだ。
廉価なレンズだが同年代のMマウントレンズと同じライカ・クオリティで作られており、沈胴機構もスムーズに動作し、外観に安っぽさは感じない。
とくに真鍮製のシルバーレンズはずっしりとした重量を感じる。M typ240のような大型のデジタルMライカに装着した際のバランスも良好であった。
描写は晴天下では補正をしなくても遠景まで抜けるような描写と見栄のよい発色をする。
トリプレットの発展型のほぼテッサーなので絞り開放は周辺部の画質は少々落ちるけれど少し絞れば改善する。
夕景、夜景はF2.8という明るさが手ぶれという点でネックになることがあった。この暗さを除けば万能に使えるレンズであった。
このレンズはシルバーとブラックを所有していた。両レンズ共にフォーカスリングの切れ角は少なくヘリコイドは軽い。フォーカスリングを回したときの感触はマニュアルフォーカスレンズ特有のねっとりでは無く、日本製AFレンズのようなスカスカとしている。
3.まとめ
結論としてエルマー 50mm F2.8をまとめると、絞り開放から安定して使用可能な標準レンズ。
高ISOの使えるデジタルカメラであれば、開放絞り値の暗さも苦にならず、ライカレンズのテイストを十分に味わうことができ、ライカレンズの入門として検討に値するレンズだ。
仕様・レンズ比較
沈胴式の50mmレンズは各社からリリースされており、とくにライカは古いエルマー、ズマール、ズミター、ズミクロンとリリースしており、同時期の日本での沈胴式レンズはキヤノンがセレナー 50mm F1.9をリリースしている。
本エルマーと同時代にコニカ、フォクトレンダー、Ms-opticsの3社が標準の50mmレンズを沈胴式でリリースしている。
これら沈胴式レンズの構成は、ライカはテッサー、コニカはガウス、フォクトレンダーとMs-opticsはヘリアーを採用しており、各社特徴のあるレンズとなっている。いずれのレンズも市場価格が安いため使い比べるのも楽しい。
- KONICA L39 HEXANON 50mm F2.4
- Voigtlander L39 HELIAR 50mm F3.5 Year101
- Ms-Optics APOQUALIA H 50mm F3.5
ヘリアーとテッサーを比べると、ヘリアーはエルマーより前群のレンズが1枚多いことがわかる。これはコート技術が未成熟な時代にレンズを貼り合わせることによって、収差の補正を狙ったためだ。
エルマーが80年近くレンズ構成を変えていないのはエルマーとしての性能はこれで十分であり、より高性能を求める場合はズミクロンシリーズ、明るさを求める場合はズミルクスシリーズと別レンズを用意しているため、リリース当時からレンズ構成を維持していると考えられる。


- レンズ構成図は各社の配付資料から引用し、サイズはこちらで調整しているため厳密ではない。
項目 | エルマー M | APOQUALIA-H |
焦点距離(mm) | 50 | 50 |
最大絞り | 2.8 | 3.5 |
最小絞り | 16 | 16 |
絞り羽根 | 6 | 12 |
レンズ構成 | 3群4枚 | 3群5枚 |
最短撮影距離(m) | 0.7 | 0.8 |
レンズ長(mm) | 21.6(M・沈同時) 37.6(M・使用時) | 38 |
レンズ最大径(mm) | 52 | 49 |
フィルター径(mm) | 39 | 30.5 |
重量(g) | 170(黒) 245g(銀) | 63 |
フード | 39mmネジ込み 12549(銀) 12550(黒) | 30.5mmネジ込み |
マウント | M | M |
リリース年 | 1994〜2007 | 2009 |
価格 | 10万円程度 | -65,000 |
参考情報
- LEICA WikiによるELMAR-M 50mm・説明ページ
- Ms-Optics APOQUALIA H 50mm F3.5・Shige’s hobby
- KONICA L39 HEXANON 50mm F2.4・Shige’s hobby
- Voigtlander L39 HELIAR 50mm F3.5 Year101・Shige’s hobby
- LEICA ELMAR 50mm F2.8・Shige’s hobby
更新履歴
- 2025.5.17
- 2024.06.06
- 2024.03.05
- 2022.05.12
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