中華製大口径 7Artisans M35mm f/1.4

中華製大口径 7Artisans M35mm f/1.4

7Artisans(七工匠) M 35mm f/ 1.4HASSELBLAD X2D-100Cで使用したレビューと写真作例

目次

ギャラリー

写真作例の撮影はHASSELBLAD X2Dを使用した。

レビュー

Before imageAfter image

1.概要

7Artisans(七工匠) M 35mm f/ 1.4は、2010年代にリリースされた中華製のLEICA SUMMILUX 35mm F1.4と同スペックを持つ格安レンズ。

Amazonで安売りされていたので購入し、LEICA M系のボディが手元に無いため、HASSELBLAD X2Dに装着して使ってみた。公式ページには、Sonnar、Biogonをフィーチャーしたと記載されているが、ゾナーのようなシンプルな構成でもなく、ビオゴンのような対称型でもないので、その特長を感じることはほとんど無く、最近流行の前玉凹レンズのレトロフォーカス型のレンズにみえる。

主な仕様は以下の通りで、詳細は表に載せている。

  • 開放F値 1.4
  • レンズ構成 9群10枚
  • 絞り羽根 10枚
  • 最短撮影距離 0.7m
  • ライカMレンジファインダーカメラ距離計連動 0.7m
  • フード組込
  • レンズカラーバリエーション ブラック

2.使用感

7Artisans(七工匠) M 35mm f/ 1.4の描写は、ピント面の解像感はよく1億画素にも十分に対応している。しかし、背後のボケは2線ボケ傾向と35mm判より外に関しては崩れもみられるが、これは想定しているイメージサークルの外なので文句は言えない。

フォーカスリングは無限から0.7mまで45度の回転角で標準的、ヘリコイドはスムーズに回っている。
レンズを持つと金属鏡筒+ガラスレンズのずっしりとした塊感を感じられ、意匠もロゴマーク以外はそれほど安っぽさもない。しかし、レンズの機能デザインは個人的に疑問を感じる。
LOMOのAtoll17mmと同様に中華レンズにありがちなフォーカスリングと絞りリングのデザインがほぼ同じで、絞りリングの幅がフォーカスリングよりも広いため、ファインダーを覗きながら手探りで操作していると絞りリングを回巣ことが多かった。これは絞りリングにクリックストップが無いことが原因の一つで、また、操作に関する慣れの問題と言えるが、フォーカスリングの幅が現在より広く、ローレット加工が絞りリングと異なっていれば、このように間違うことは無いので機能デザインがいたらないと考えられる。

フードは鏡筒から引き出すタイプで、引き出し後に回して固定するようなギミックは無い。フードを引き出しても10mm程度なので気休めの存在で逆光時における光線のカットには不十分で、ゴーストかフレアによる怪しい光とコントラストの低下が見られる。 

レンズはオーバーインフになっており、EVFで使う分には問題にはならないが、LEICA Mのファインダーで使用する場合は自分で調整する必要がありそうだ。調整道具は付属している。

7Artisans M 35mm f/1.4のイメージサークルは大きく、X2Dのオリジナルサイズ11656*8742(4:3)ピクセルで撮影し、35mm判の3:2で使えるところを切り取ると、10928*7286ピクセル残った。計算するとセンサー横幅で41mm程度使える範囲が残るので、35mmフルサイズセンサーでは十分に使えると判断できる。
また、絞り開放から十分な解像力のある写真を得ることができ、中国の光学設計も侮れない実力があることが実感できる。ライカはブランドとして確立され比較する物ではないが、このレンズの市販価格から恐るべきコストパフォーマンスだ。

HASSELBLAD X2D-100C Trimming Sample

3.まとめ

結論として7Artisans(七工匠) M 35mm f/ 1.4をまとめると、価格からするとよくできたレンズだ。HASSELBLAD X2D-100Cの撮影結果をみるかぎりイメージサークルも広いため35mm判センサーでは周辺部にかなりの余裕があることがわかる。

しかし、個人的には全体的にレンズデザインが野暮ったく感じることと、フォーカスリングと絞りリングのデザインは誤操作をしやすいため、この点は改善が必要だ。

仕様・考察など

35mm F1.4という仕様のレンズは、いくつかの中華メーカーからリリースされている。

同じような名前の名匠光学・TTArtisan 35mm f/1.4 ASPHは絞りリングが先端で、フォーカスリングは中央にあり、こちらの方がレンズデザインとしては好みだ。

7Artisans M 35mm f/1.4はレンジファインダーカメラ向けレンズとしては大きなレンズで、初代 Voigtlander NOKTON 35mm F1.2 を少し短くした程度のレンズ長となっている。これはイメージサークルを大きくとって周辺減光を少なくするためと考えられるが、2代目以降のNOKTON 35mm F1.2はレンズ長が60mm以下になっているため、レンズ長が約70mmの本レンズは7Artisans(七工匠)のリリース時点における技術力の限界を示している。

Before imageAfter image
項目7Artisans(七工匠) M 35mm f/ 1.4SUMMILUX ASPH.2nd
焦点距離(mm)3535
最大絞り1.41.4
最小絞り2216
絞り羽根109
レンズ構成9群10枚5群9枚
最短撮影距離(m)0.70.7
レンズ長(mm)69.446.2
レンズ最大径(mm)5953
フィルター径(mm)49E46
重量(g)404ブラック:250 シルバー・チタン:415
フード組込12589

ライカMライカM
リリース年2020年代1993-2005
製造本数18,404

参考情報

更新履歴

  • 2025.7.4
  • 2024.02.19
  • 2023.01.03

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