とても現代的 SUMMILUX M 35mm ASPH.

とても現代的 SUMMILUX M 35mm ASPH.

ライカ・ズミルックス M 35mm F1.4 ASPH.(チタンカラー)のレビューと写真作例

目次

ギャラリー

  • 写真作例はLEICA M10、LEICA M6 +FUJIFILM VALVIA50 +NIKON COOLSCAN-V

レビュー

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1.概要

ズミルックス・35mm F1.4 ASPH.は1993〜2010年までつくられた、焦点距離35mmのライカ M マウントレンズ。

レンズフードは専用の角形フードの12589を装着できる。
マウント形状が新しいためレンズ認識用6bitコードを付加する公式改造は可能である。
ブラック、シルバー、チタンの3色がリリースされており、合計2万本近く製造されている。そのうち、シルバーは3000から4000、チタンは1000〜2000程度とリストからは読み取れる。

レンズ構成は、前玉が凹レンズで、前群の4枚と、非球面レンズを除く後群の4枚で対象型をとっている。このレンズ以降の新型はフローティング機構が採用され、近接撮影時の画質が改善されていると言われている。

2.使用感

ズミルックス・35mm F1.4 ASPH.の非球面採用レンズ、2代目、フードがフック固定式(12589)・旧型のチタンカラーバージョンを紹介する。

写りは絞り開放からよく解像し、鮮やかな発色、歪曲、湾曲もよく補正された隙の無い描写は50mm F1.4 ASPH.と同じような雰囲気がある。
過去の写真データを見ていると、雨の日に持ち出すことが多かったようで、雨の艶っぽさを上手に表現してくれるレンズだと感じる。

レンジファインダーレンズの中では、最後の一本に限りなく近かったレンズで、ズミルックス35mmは球面のみのレンズと非球面採用レンズの両方を所有していたが球面のみレンズを手元に残した。

非球面採用レンズを残さなかった理由は球面のみレンズとくらべて、仕様面では絞り開放から使え、最短撮影距離が0.7mと優れており、こちらを残すのが合理的だが非球面採用レンズはレンズ本体が大きく鏡筒デザインがのっぺりとして起伏に富んだデザインが好きなこと、そしてヘリコイドのフィーリングが軽くて今ひとつだったのが決め手で手放した。
LEICA M9、LEICA M typ240、LEICA M-P typ240、LEICA M10とフルサイズデジタルライカ、M6とフィルムでの撮影、かなり使い込んだ思い入れがあるレンズだ。

3.まとめ

結論としてズミルックス・35mm F1.4 ASPH.をまとめると、フィルム、デジタルともに落ち着いた描写をし、解像感と情緒的描写のバランスがとれたレンズだ。

仕様・考察

ズミルクス M 35mmは、球面タイプ(1960年)、手磨き非球面タイプ(1988年)、非球面タイプ(1993年)、フローティングエレメント採用(2010年)・非球面タイプ、フード組み込み・フローティングエレメント採用・非球面タイプ(2022年)と進化している。

球面タイプは別ページで紹介しているのでここでは、非球面タイプについてのみ記述する。

1998年に非球面タイプとして初めてリリースされた、ズミルクス M 35mm Asphericalは、レンズ銘板に、Asphericalと記述されているのでわかりやすい。中古市場でもかなり高額なので、商品があればすぐにわかるだろう。2010年代初頭にASPHERICAL表記のズミルクス Mがギリギリ買える値段で見かけた事があったが2本ほど見送ったら、2020年代になりとても買える値段ではなくなっている。所有していたとしても売るタイミングというのは難しいので、手に入れなかった物は縁がなかった物と思うようにしている。

今回紹介している、非球面レンズの2代目は、3色カラーバリエーションがあり、長く製造されたレンズである。

2010年に、ピント合わせをおこなうレンズ群にフローティングエレメントを採用して、フードはフック式からねじ込み式にリニューアルされたレンズがリリースされた。フローティングエレメントは近接撮影時の描写性能が向上していると言われるが通常の撮影では光線状態などの影響で判断が難しいため、スタジオ撮影などでライティングを同一にして比較しなければその違いを認識する事は難しいと考える。

2022年にのリニューアルは大がかりで、ライカも時代の要請に応えるようになり、ミラーレスカメラでの使用を考慮し最短撮影距離が0.4mに短縮され、レンズフードは組み込み式で引き出し後にねじって固定するズミルクス M 50mm ASPH.と同じ機構に改められた。また、絞り羽根が11枚に増えている。レンズ構成は2010年モデルから変更はなく、レンズコートの進化、鏡筒変更に伴う機構のブラッシュアップがされていると考えられる。2020年代から日本の通貨安などもあいまってレンズの価格高騰がおこっており、日本国内における2024年のレンズ価格は約100万円となっている。

項目SUMMILUX ASPHERICALSUMMILUX ASPH.2ndSUMMILUX ASPH.3rdSUMMILUX ASPH.4th
焦点距離(mm)35353535
最大絞り1.41.41.41.4
最小絞り16161616
絞り羽根99911
レンズ構成5群9枚5群9枚5群9枚5群9枚
最短撮影距離(m)0.70.70.70.4
レンズ長(mm)46.24646
レンズ最大径(mm)535658
フィルター径(mm)E46E46E46E46
重量(g)ブラック:300ブラック:250
シルバー・チタン:415
ブラック:320ブラック:338
シルバー:338
フード1258712589専用ネジ込み組込
マウントライカMライカMライカMライカM
リリース年1988199320102022
製造本数1988-1993 4,0001993-2005 18,404
Floating elementなしなしありあり

DISTAGON T* 35mm F1.4 ZMとの比較

Before imageAfter image

SUMMILUX M 35mm ASPH.とDISTAGON T* 35mmを比較すると、ディスタゴンの大きいことがよくわかる。
一眼レフカメラ向け35mm F1.4と比べると小さいけれど、レンジファインダーカメラとしてはかなり大きなレンズだ。レンジファインダーカメラに装着するとSUMMILUX M 35mm ASPH.でも大きいレンズと感じるため、DISTAGONのサイズはもはやレンジファインダーカメラ向けレンズには見えない。

参考情報

更新

  • 2024.11.6
  • 2023.03.02
  • 2022.08.23

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