2焦点 DR SUMMICRON M 50mm

DR SUMMICRON M 50mm F2をLEICA M6で使用したレビューと写真作例
目次
ギャラリー
- 写真作例の撮影は、LEICA M6 +KODAK E100VS +NIKON COOLSCAN-V
レビュー


1.概要
DR SUMMICRON M 50mm F2は、ズミクロン50mmに眼鏡(近接アダプター)を装着することで0.48mまでの近接撮影を可能にしたレンズ。ギミックは機械的で眼鏡をレンズに装着すると、レンズ側にあるボールが押し込まれ、近接領域にヘリコイドが移動できるようになる。レンズから眼鏡を外した場合は、∞〜1mの範囲にピントが合い、通常のレンズと同様の取り扱いとなる。
眼鏡にもうけられたストッパー部品はM6以前のカメラ全高に合わせてあるため、M6-TTL以降の電子部品の追加でカメラ全高が高くなったカメラは、眼鏡のストッパーが邪魔になり眼鏡を装着できない。ストッパーを取れば、カメラへのレンズ装着は可能で、実際にM6-TTLで試していないが使用に問題はないはずである。DRズミクロン眼鏡の中古品で眼鏡のストッパーが除去されたものを見かけるのはこのためである。
このレンズを持っていたときは、ヘキサーRFを持っていなかったので、装着と利用が可能かは不明だ。おそらく眼鏡のストッパーを外せば装着と利用は可能だ。
2.使用感
DR SUMMICRON M 50mm F2は外観写真を見てわかるとおり眼鏡が付いたレンズである。DRズミクロンの眼鏡は取り外しが可能で、他の35mmの眼鏡付きレンズとは異なる作りになっている。
他の眼鏡付き35mmは、M3の50mmファインダー枠を35mmに拡大するのが主な目的で、最短撮影距離も0.65mとなっており、眼鏡無しの0.7mよりは短いがDRズミクロンのような0.48mまでの近接撮影能力はない。
描写は定評のある50mmズミクロンの写りで、近接時のパララックスも適度に補正されており、構図をギリギリまで追い込まなければ、それほど使いづらくは無い。
この時代のレンズのシルバークローム外観は表面仕上げのためか塗装面がツルツルな現代レンズと異なりマット調の仕上げがとても美しい。フォーカスリングのローレットも現代レンズではありえない凝った作りで、所有する満足感のあるレンズだ。
数多く製造されたレンズなので状態の良い個体も多く、探せば好みの個体が見つかる。
2010年以前は眼鏡付きレンズはかなり安く売られていたけれど、2020年代に入り他のレンズ同様に値上がりしている。
眼鏡付きレンズはカメラに装着するとレンジファインダーカメラの軽やかさをスポイルするがカメラにメカメカしい重厚感を与えてくれる。写真のようなグリップと眼鏡を付けた状態にすると、カメラ全体でそれなりの重量になり、首から下げるのは少ししんどいが目立つことは間違いない。
ミラーレスカメラにマウントアダプターを介して使用する場合は、基本的には邪魔な要素となる。しかし、眼鏡を取り外して近接撮影をする場合は、レンズのモードを近接モードに変更してから、レンズと眼鏡の接続部にあるボールを押し込みながらヘリコイドを動かす必要があるため撮影は面倒だと考えられる。2024年現在であれば補助ヘリコイド付きのマウントアダプターが各社から提供されているため、そちらを使う方が利便性は高い。DRズミクロンはレンズ部は固定でヘリコイドを動かしてピント位置を調整しているため、補助ヘリコイドを使用すること近接モードを利用することに差はないと考えられる。ミラーレスカメラの場合、ピントに関してはEVFを使うかぎり何ら問題はない。
フィルムカメラを使用していたときは、これがあると近接撮影ができるので好んで使用していた。
デジタルM型ライカではカメラの高さの関係から装着時にストッパー部品が邪魔になるため使用したことはなかった。マップカメラの提供しているコラムTHE MAP TIMESはデジタルMでは近接撮影ができない旨記述があり、ライカWikiはDRバージョンはM8、M9で使用できないとの記載がある。これが眼鏡のストッパーが原因か他の原因で装着できないかは確かめていない。
3.まとめ
結論としてDR SUMMICRON M 50mm F2をまとめると、レンジファインダーフィルムカメラで近接0.48mまで寄れる珍しいレンズ。焦点距離の切り替え機構も凝っており、メカ好きにはたまらない。
しかし、ミラーレスカメラではこの近接機構を使わなくても、接写するためのオプションがあるため、必要性はほとんど無い。レンズの製造クオリティが高いとの話を聞くことがあるが事実かどうかは分からない。
仕様・比較
初代のズミクロンは、沈胴式と固定鏡筒の2種類があり、そのうち固定鏡筒はこの眼鏡有りと、眼鏡無しがあるため、合計3種類のレンズが存在している。レンズ構成は6群7枚といずれのレンズも同じだ。
DRズミクロンは、「世界のライカレンズ」のP84・中村文夫氏の寄稿を見ると、レンズ構成は同一だが、レンズエレメントが異なることが確認できる。
項目 | DRズミクロン | ズミクロン |
焦点距離(mm) | 50 | 50 |
最大絞り | 2 | 2 |
最小絞り | 16 | 16 |
レンズ構成 | 6群7枚 | 4群7枚 |
絞り羽根 | 10 | 8 |
撮影距離(m) | ∞〜1.0 | ∞〜0.7 |
眼鏡使用時(m) | 0.9〜0.48 | – |
レンズ長(mm) | 43 | ? |
レンズ最大径(mm) | 53 | 53 |
フィルター径(mm) | 39 | 39 |
フード | SOOFM / ITDOO / IROOA | Build in |
重量(g) | 339 | 240:Black 335:Silver,Titan |
眼鏡重量(g) | 52 | – |
リリース年 | 1956 | 1994 |
製造本数 | ? | 94,573+ (1977-2005 ) |
参考文献・参考リンク
- LEICA SUMMICRON-M 50mm 公式ページ
- LEICA WikiによるSUMMICRON-M 50mm・説明ページ
- HEXAR RF・Shige’s hobby
- 「世界のライカレンズ」・P84にDR-SUMMICRONの記述あり・Ads by Amazon
更新履歴
- 2024.11.5
- 2024.02.20
- 2022.04.28
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