LEICA DR SUMMICRON M 50mm
近接モード搭載・標準レンズ
DR SUMMICRON M 50mm F2のレビューと写真作例
目次
ギャラリー
- 写真作例の撮影は、LEICA M6 +KODAK E100VS +NIKON COOLSCAN-V
レビュー
1.使用感
DRズミクロンは外観写真を見てわかるとおり眼鏡が付いたレンズである。DRズミクロンの眼鏡は取り外しが可能で、他の35mmの眼鏡付きレンズとは異なる作りになっている。
他の眼鏡付き35mmは、M3の50mmファインダー枠を35mmに拡大するのが主な目的で、最短撮影距離も0.65mとなっており、眼鏡無しの0.7mよりは短いがDRズミクロンのような近接撮影能力はない。
この時代のレンズのシルバークローム外観は表面仕上げのためか塗装面がツルツルな現代レンズと異なりマット調の仕上げがとても美しい。フォーカスリングのローレットも現代レンズではありえない凝った作りで、所有する満足感のあるレンズだ。数多く製造されたレンズなので状態の良い個体も多く少し探せば好みの個体が見つかるだろう。2010年以前は眼鏡付きレンズはかなり安く売られていたが、2020年代は他のレンズ同様に値上がりしている。
眼鏡付きレンズはカメラに装着するとレンジファインダーカメラの軽やかさをスポイルするがカメラにメカメカしい重厚感を与えてくれる。写真のようなグリップと眼鏡を付けた状態にすると、カメラ全体でそれなりの重量になり、首から下げるのは少ししんどいが目立つことは間違いない。
ミラーレスカメラにマウントアダプターを介して使用する場合は、基本的には邪魔な要素となる。しかし、眼鏡を取り外して近接撮影をする場合は、レンズのモードを近接モードに変更してから、レンズと眼鏡の接続部にあるボールを押し込みながらヘリコイドを動かす必要があるため撮影は面倒だと考えられる。2024年現在であれば補助ヘリコイド付きのマウントアダプターが各社から提供されているため、そちらを使う方が利便性は高い。DRズミクロンはレンズ部は固定でヘリコイドを動かしてピント位置を調整しているため、補助ヘリコイドを使用すること近接モードを利用することに差はないと考えられる。ミラーレスカメラの場合、ピントに関してはEVFを使うかぎり何ら問題はない。
フィルムカメラを使用していたときは、これがあると近接撮影ができるので好んで使用していたが、デジタルMは装着時にストッパー部品が邪魔になるため使用したことはなかった。マップカメラの提供しているコラムTHE MAP TIMESはデジタルMでは近接撮影ができない旨記述があり、ライカWikiはDRバージョンはM8、M9で使用できないとの記載がある。
フィルムカメラの使用頻度が減って行くにつれ、レンズも使わなくなったので売却してしまった。フィルムMを再度入手するなら一緒に求めたいレンズだ。
2.概要
DR ズミクロンは、ズミクロン50mmに眼鏡(近接アダプター)を装着することで0.48mまでの近接撮影を可能にしたレンズ。ギミックは機械的で眼鏡をレンズに装着すると、レンズ側にあるボールが押し込まれ、近接領域にヘリコイドが移動できるようになる。レンズから眼鏡を外した場合は、∞〜1mの範囲にピントが合い、通常のレンズと同様の取り扱いとなる。
眼鏡にもうけられたストッパー部品はM6以前のカメラ全高に合わせてあるため、M6-TTL以降の電子部品の追加でカメラ全高が高くなったカメラは、眼鏡のストッパーが邪魔になり眼鏡を装着できない。ストッパーを取れば、カメラへのレンズ装着は可能で、実際にM6-TTLで試していないが使用に問題はないはずである。DRズミクロン眼鏡の中古品で眼鏡のストッパーが除去されたものを見かけるのはこのためである。
このレンズを持っていたときは、ヘキサーRを持っていなかったので、装着と利用が可能かは不明だが、ストッパーを外せば装着、利用は可能と推測する。
3.競合
初代のズミクロンは、沈胴式と固定鏡筒の2種類があり、そのうち固定鏡筒はこの眼鏡有りと、眼鏡無しがあるため、合計3種類のレンズが存在している。レンズ構成は6群7枚といずれのレンズも同じだが、DRズミクロンは、「世界のライカレンズ」1のP84・中村文夫氏の寄稿を見ると、レンズ構成は同一だが、レンズエレメントが異なることが確認できる。
いずれも古いレンズなので、写りについては、レンズ状態による個体差の影響が大きいと思われる。
仕様・比較
項目 | ズミクロン(沈胴) | DRズミクロン | ズミクロン(IV) |
焦点距離(mm) | 50 | 50 | 50 |
最大絞り | 2 | 2 | 2 |
最小絞り | 16 | 16 | 16 |
レンズ構成 | 6群7枚 | 6群7枚 | 4群7枚 |
撮影距離(m) | ∞〜1.0 | ∞〜1.0 | ∞〜0.7 |
眼鏡使用時(m) | – | 0.9〜0.48 | – |
レンズ長(mm) | – | 43 | |
レンズ最大径(mm) | 47.8 | 53 | 53 |
フィルター径(mm) | 39 | 39 | 39 |
フード | SOOFM / ITDOO / IROOA | SOOFM / ITDOO / IROOA | Build in |
重量(g) | – | 339 | 240:Black 335:Silver,Titan |
眼鏡重量(g) | – | 52 | – |
製造本数リリース年 | 1951 | 1956 | 1978 |
製造本数 | 253,314 | ? | 1977-2005 94,573+ |
参考文献・参考リンク
更新履歴
- 2024.11.5
- 2024.02.20
- 2022.04.28
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