HASSELBLAD HC 35mm F3.5
ハッセルブラッド HC 35mm F3.5のレビューと写真作例
目次
ギャラリー
レビュー
ハッセルブラッド HC 35mm F3.5はハッセルブラッド Hシリーズカメラ用の広角・焦点距離35.8mmのレンズ。HCシリーズなので中判カメラHシリーズで使用する場合、センサーサイズ 40.2×53.7mmまでカバーし、そのとき焦点距離は約24mmになる。
X1D、X1DII、907X、X2Dでは、X H Lens Adapter*かXH CONVERTER 0.8*を経由して本レンズを使用できる。
- X H Lens Adapter*を使用した場合、焦点距離約29mm
- XH CONVERTER 0.8*を使用した場合、焦点距離23mm
HC 35mmはレンズの仕様でハッセルブラッドHシリーズ、Xシリーズで、x1.7テレコンを使用することができない。レンズ後端のガードがテレコンと干渉するように作られており物理的に装着できない。同じ広角レンズカテゴリーのHCD 24mm、HCD 28mm、ズームレンズの35-90mmも同様のガードがありテレコンを装着できない。
所有しているレンズは、FUJINONブランドのレンズを格安で購入したので、シャッター速度は1/800で、ハッセルブラッドXシリーズでレンズを使用するためのアダプター、X H Lens Adapter*、XH CONVERTER 0.8*を使用してカメラに装着してもオートフォーカス(以下、AF)が使用できない。
購入した後にレンズの状態を確認すると少しバルサム切れがみられるが、年代物だし値段も格安だからしょうが無いだろう。
X1DIIでレンズ情報を確認すると、ファームウェアは9.0.0でシャッター回数は約1000回であった。
MFフィールは良好で、EVFのピント拡大機能を使い問題なく狙ったピント位置で撮影ができる。
HCD35-90mmを持っているため、焦点距離35mmはそちらでまかなえる場合が多いが、HC35mmではXH CONVERTER 0.8*の性能をフルに発揮できると考えて購入した。
X H Lens Adapter*を使用した場合、逆光下でも特に問題は無く、Phocusを介して出力される画像は周辺部まで乱れなく結像しており、周辺減光も見られないので、44×33センサーで使用するのに十分な性能があることがわかった。
XH CONVERTER 0.8*を使用した場合も、周辺まで解像し像に歪みがなく、周辺減光(Phocusの補正込み)がないことを確認できた。HCD35-90の焦点距離35mmと異なり焦点距離23mmをフルでカバーしている。
また、本レンズはLEICA S Typ007で使用すると、AFが使用できるため、28mm、35mm、50mmの主要な広角レンズがAFで使用できるようになった。
*リンク先はrakutenのMapcamera
レンズ構成は複雑な10群11枚のレトロフォーカス型で、レンズの仕様書を確認するとレンズ性能はHC50mm1型と似ており、周辺部の画質低下がありそうなこと、歪みは外側で最大2%程度あることが読み取れる。HC50mmは周辺部の画質向上のためリニューアルされたが、HC35mmはリニューアルされなかった。主流センサーサイズとの兼ね合いから現在のレンズの性能で問題ないとの判断か?、新ズームHCD 35-90mmレンズの35mm域が十分な性能であったため?など、推測はできるが正式な情報は持ち合わせていない。
レンズ単体重量が1kgでコンバータ(175g か 430g)とカメラ(766g)を足すと2〜2.2kgとなり、HCレンズをつけたX1D-IIとしては軽い部類に入るが、レンズ鏡筒は大きく感じる。35mmフルサイズセンサーのミラーレスカメラと比べると大きく重い。
仕様
項目 | 値 | 備考 |
焦点距離(mm) | 35.8 | |
最大絞り | 3.5 | |
最小絞り | 32 | |
レンズ構成 | 10群11枚 | レトロフォーカス型 |
最短撮影距離(m) | 0.5 | |
レンズ長(mm) | 124 | |
レンズ最大径(mm) | 100 | |
フィルター径(mm) | 95 | |
重量(g) | 975 |
アクセサリー互換性
- Extension-Tube-H(H13/H26/H52)は使用できる。
- HTS 1,5 TILT AND SHIFT ADAPTERは使用できる。
- イメージサークルは中判フィルムサイズまでカバーする。
- Converter H 1.7x(x1.7 テレコンバーター)は使用できない。
AF対応について
HC/HCDシリーズレンズをマウントアダプター(X H Lens Adapter*、XH CONVERTER 0.8*)を経由してX1D,X1DII,X2D,907Xに装着しオートフォーカス(以下、AF)を駆動させるためには、レンズファームウェア領域が拡張された18.0.0以降のレンズが必要である。17.0.0以前のレンズに18.0.0以降のファーウウェアを適用しても書き込み領域が足りないため変更できない。
レンズにオレンジ色のマークがついた、通称オレンジドットのレンズは、レンズファームウェアが18.0.0以降であり100%AFに対応している。
しかし、オレンジドットのないレンズでも、AF対応可能なものはあり、レンズシリアルナンバーがVから始まる2010年以降に製造されたレンズについてはファームウェア領域が拡張されているレンズが多くAFに対応できる可能性が高い。
シリアルナンバーがSから始まるレンズは2000年代に製造されたレンズで、オレンジドットのないファームウェア17.0.0以前のレンズとなる。
上記にも例外があり、レンズの修理時にフォーカスユニット交換などで新しいファームウェアになっている場合もある。
ハッセルブラッド XシリーズでAFを使えるか否かは、シリアルナンバーから判断するだけでなく、カメラに装着して実際のレンズファームウェアを確認するのが最も確実である。
FUJINONレンズについて
HCレンズはフジフィルムブランド・SUPER EBC FUJINONのものがあり、HASSELBLAD HCカメラで使用できるが、最高シャッタースピードが1/800のレンズしかなく、最新の最高シャッタースピード1/2000と比べると表現の幅が狭まる。また、レンズファームウェアが古いため、XCDマウントカメラ・X1D、X1DII、907X、X2Dにおいてオートフォーカス(以下、AF)を利用するために必要なHCレンズ・ファームウェア19.1.0を適用することができない。
そのため2種類のマウントアダプター、X H Lens Adapter*、XH CONVERTER 0.8*を経由してXCDマウントカメラに装着してもAFは使用できない。
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フジフィルムブランドのHCレンズは、ハッセルブラッドの修理サポート対象外で、フジフィルムによる修理対応も終わっているため故障時はどうすることもできない。フジフィルムブランドのHレンズは格安で売られているが購入時はそのことを意識する必要がある。
ハッセルブラッドブランドのHCレンズであれば、古いレンズでもハッセルブラッドにて、有償だが修理対応してもらえる。
HCレンズは富士フイルム製造なので、X1D、X1DII、907X、X2Dと同じセンサーサイズの富士フイルムGFXシリーズもマウントアダプター(H MOUNT ADAPTER G)を用意している。こちらはMF(マニュアルフォーカス)専用となるが、カメラ側のメカシャッターだけでなく、レンズシャッターも使用できる。
参考リンク
更新履歴
- 2024.03.23:改稿
- 2022.03.23:初稿
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