最強望遠ズーム VARIO APO ELMARIT 70-180mm

最強望遠ズーム VARIO APO ELMARIT 70-180mm

バリオ・アポ・エルマリート(エルマリット) R 70-180mm F2.8をデジタルミラーレスカメラで使用したレビューと写真作例

目次

写真作例の撮影は以下のカメラを使用した。

レビュー

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1.概要

LEICA VARIO APO ELMARIT R 70-180mm F2.8は、ライカRマウントの末期にリリースされたレンズで、1995年から2000年に2250本作られた。レンズマウントのカムはRカムとROM端子付きを見たことがある。

所有していたレンズは、ROM端子付きで、シリアル番号が378xxxxで1997年に作られた500本の一つでそれなりに高価格で購入した。

ライカ純正のL用Rレンズアダプター(16076)を使用した際の問題点として、exifに記録される焦点距離はレンズのどの焦点距離で撮影しても70mmが記録される。これはRアダプターLとLEICA SL typ601の問題かもしれないが、焦点距離の情報がいい加減な場合、フラッシュの動作も怪しくなるように思われるが、本レンズでフラッシュを使う人間はほとんどいないので問題にならないのだろう。

以下は望遠端の180mmで撮影した結果のexifだ、記録されている焦点距離が70mmとなっていることが確認できる。ROM端子付きRマウントズームの一部は焦点距離に応じた値を記録できるレンズもある。

Before imageAfter image

2.使用感

LEICA VARIO APO ELMARIT R 70-180mm F2.8は2kgという重さを気にしなければ、焦点距離70mm、90mm、135mm、180mmを一本でまかなえる便利なレンズだ。
最短撮影距離は全域で1.7mと180mmの仕様に縛られているのは残念だ。

アポ・エルマリート 180mmは短焦点レンズで30万円程度はするので、どちらか片方を選ぶ場合、単焦点のキレを取るかズームの利便性を取るかが悩ましいだろう。
バリオ・アポ・エルマリート R 70-180mm F2.8の利点はズームレンズであることに尽きる。
アポ・エルマリート 180mmの利点は最短撮影距離が1.5mと短いこと重量が本レンズの約半分の1kgと軽量なことだ。

レンズ操作はライカRマウントレンズの回転式ズームレンズに準拠しており、根元に焦点距離を変えるズームスリング、中程にフォーカスリングとなっている。

MFの回転式ズームレンズは、フォーカスリングが前方にある方が使いやすいため合理的な配置となっている。焦点距離の変更はインターナル方式で鏡筒内部で行われるが、焦点距離を変えるとレンズ長がわずかに変化する。レンズ長は焦点距離180mmが最短で70mmにするとレンズ長が最長になる。

レンズフードは組み込み式で引出すとレンズ前端から30mm程度の長さになる。フードは無いよりはましな程度の長さではあるが逆光時においても描写に影響が出ることはほとんどない。

また、中望遠レンズで後玉の出っ張りがないためEOS-1DsMK IIIで問題なく使用できる。

3.まとめ

結論としてLEICA VARIO APO ELMARIT R 70-180mm F2.8をまとめると、70mmから180mmという代表的な望遠焦点距離を連続的に可変させて使用できるマニュアルのズームレンズ。

描写については文句はないが、最短撮影距離は1m程度まで寄れると文句の付けようがない。

残念な点は重量が重いこと、ズームリングとフォーカスリングが分離している回転式ズームを採用しているにもかかわらずオートフォーカスではないところだ。

仕様・考察など

本レンズは時代のトレンドに合わせて全焦点距離でF2.8を採用している。

全焦点距離でF2.8のズームレンズは日本メーカーが得意とするところで、似たようなスペックのズームレンズは日本製の場合は高くても20万円程度だが、本レンズの中古価格はその倍から3倍程度である。本レンズの国内流通本数が少ないため、ショップの中古価格は常に強気だと思われる。この記事を書いている2023〜2024年はebayで30万円くらいから出ているので、世界的には価格が下落している印象がある。比較的新しい日本メーカーのF2.8ズームレンズは最短撮影距離が1.2m程度の製品がリリースされているのでスペック的には見劣りしてしまう。そして、2024年現在日本製レンズもずいぶん高価になったが、ライカのレンズはそれ以上に価格が上がっている。

このレンズは初めてアポを冠したズームレンズでその名称に特徴があり、このレンズのみバリオ・アポ・名称の順で、他のアポを冠したズームレンズは、アポ・バリオ・名称の順に統一されている。このレンズを見ると何故こうなっているのか?と不思議に思うが、最初の担当者があまり考えずに命名した、次の担当者が語呂が気に入らなくて変えたなど、深い理由はないと推測するが調べた限りでは本件に言及する記述を見たことは無い。

ライカ・オリジナルと考えられるズームレンズは少なく、本レンズを含め以下のレンズが該当するとはずだ。

  • Vario Elmar R 21–35mm F3.5-4.0 ASPH.
  • Vario Elmarit R 35-70mm F2.8 ASPH.
  • Vario Elmarit R 28-90mm F2.8-4.5 ASPH.
  • Vario Elmar R 105mm–280mm F4.2
  • Super Vario Elmar SL 16-35mm F3.5-4.5 ASPH.
  • Vario Elmarit SL 24-90mm F2.8-4 ASPH.
  • APO Vario Elmarit SL 90-280mm F2.8-4 ASPH.

その他ライカのズームレンズとしては、TL用レンズの一部はKM社設計・製造との話を聞くが、SL用レンズはシグマOEMとパナソニックが協力しているとの話も聞くが、詳細な情報はほとんど表にでてこない。

全域F2.8では無くなったけれど、このレンズの理想的な発展型は、LEICA SL向けのAPO VARIO ELMARIT SL 90−280mm F2.8-4で望遠端でF4になるが焦点距離が伸びて使い易くなっている。

シグマOEMと思われるライカ バリオ・エルマリートSL f2.8/70-200mm ASPH.もあるけれど、これなら安価なシグマ版70-200mm F2.8 DG DN OSで十分に思える。

また、望遠端だけを使うことを考えると、APO ELMARIT R 180mmが同じ仕様を備えている。こちらは単焦点レンズなので重量は1kgを切り、焦点距離は固定なのでフォーカスだけに集中できる良さがある。望遠端のみを使うつもりであればこちらも候補になり、焦点距離の柔軟性を求める場合はズームレンズのVARIO APO ELMARITが候補になる。

項目バリオ・アポ・エルマリート R 70-180mmアポ・エルマリート R 180mm
焦点距離(mm)70-180180
最大絞り2.82.8
最小絞り2222
レンズ構成10群13枚5群7枚
絞り羽根88
最短撮影距離(m)1.71.5
レンズ長(mm)189.5132
レンズ最大径(mm)8976
フィルター径(mm)7767
重量(g)1870970
製造本数2250400
リリース年1995から20001997-2005

参考情報

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更新履歴

  • 2025.8.25
  • 2025.1.20
  • 2024.03.26
  • 2023.11.15:初稿

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