R 180mmの最終形 APO ELMARIT R 180mm

R 180mmの最終形 APO ELMARIT R 180mm

LEICA APO ELMARIT R 180mm F2.8をLEICA SL Typ601で使用したレビューと写真作例

目次

ギャラリー

  • 写真作例の撮影はLeica SL Typ601

レビュー

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1.概要

APO ELMARIT R 180mm F2.8は、1997年から2005年にかけて1900本造られた、ライカRマウントの望遠レンズ。2006年か2009年の間にも製造された可能性があるようだが詳細はわからない。

5群7枚のシンプルなレンズ構成で、APO仕様にはなっているが、非球面レンズは使われていない。

このレンズには前期型と後期型あり型番と仕様が異なる。

前期型は8枚の絞り羽根のつくる形に特徴があり、絞った際の絞りの角にエッジができる。
所有していたレンズも前期型で型番 ”11273”となっており、絞りを絞った際に手裏剣型のエッジがでる。説明によると1.4倍アポ・テレコンに非対応とのことだ。

x1.4アポ・テレコンの3-CAM・ROM無し版を持っていたが、本レンズは高価で後玉がそれなりに鏡筒後ろに見えるため、前玉がレンズに挿入されるx1.4アポ・テレコンを装着して、レンズにぶつかったときの両者のダメージを考えると試す勇気はなかった。

後期型は型番 ”11357”で絞り羽根の変更によるボケ改善と1.4倍アポ・テレコン対応しているとの記述があるが、後期型は使ったことがないので真実は不明だ。

LEICA WIKIから転載した、初期型と後期型のシリアル番号の割り当ては以下の通りである

SN Start SN End Product Year Total

  • 初期型・early-type(11273)
    • 3,798,410〜3,798,909 180mm f/2.8 APO-Elmarit-R /y1997 /500
    • 3,815,125〜3,815,624 180mm f/2.8 APO-Elmarit-R /y1997 /500
    • 3,840,000〜3,840,499 180mm f/2.8 APO-Elmarit-R /y1998 /500
    • 3,896,051〜3,897,500*1 180mm f/2.8 APO-Elmarit-R (ELC*2) /y2000 /1450
    • *1:この番号は他のレンズに割り当てられている場合もある。
    • *2:Ernst Leitz Canada
  • 後期型・late-type(11357)
    • 3,953,501〜3,953,750 180mm f/2.8 APO-Elmarit-R /y2002 /250
    • 3,986,434〜3,986,583 180mm f/2.8 APO-Elmarit-R /y2005 /150

Leica Wikiのシリアル番号表を見ると、後期型は400本製造されたらしく、シリアル3953501以降はすべて11357の後期型になるはずなのだが、ebayでレンズの製造番号が3953501以降にもかかわらず、銀箱に型番”11273”と記載された品が出品されていた。
箱とレンズのシリアルが一致していないやライカの管理がいい加減の可能性もあるが、後期型の型番”11357″は400本よりも少ないのかもしれない。ライカのシリアルは管理されているようでそうでも無くて面白い。

比較的新しい2000年以降にカナダ作られた、製造番号:3897356をカメラのキタムラで確認することが出来た。絞りはF4で真円にちかく忍者ボケはあらわれない。3897356の個体はLEICA SLのレンズ認識では11273と表示され前期型の番号がROMには登録されているようだ。

2000年以降のカナダ製レンズがすべて絞り羽根が新型になっているか、1.4テレコン対応かは不明だが、絞り羽根に関しては旧型はLEICAに依頼して部品があれば、有償か無償で交換してくれたはずなので前期型に円形絞りがあることは不思議ではない。また、後期型のROMに型番11357が記録されているかも不明である。

2.使用感

APO ELMARIT R 180mmは最新の単焦点望遠レンズで、絞り開放のF2.8からピント位置はフラットで解像度の高い画像を撮影できる。そして、ピント位置を外れたところは滑らかにボケていく。

APO ELMARIT R 180mm F2.8については、参考ページ「REVIEW: LEICA APO-ELMARIT-R 2.8/180」に詳しいレンズレポートがあるためそちらを参照いただくのがよい。

ここでは、レンズを絞った際にあらわれる忍者スターの作例を示す。忍者スターはF4が最もくっきりとしてF8以降ではほとんど目立たなくなる。

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3.まとめ

APO ELMARIT R 180mmは完成度の高い望遠レンズだ。しかし、製造時期によっては絞り値をF4〜F5.6にしたとき、ボケ形状にエッジがあらわれる。このエッジのついたボケが好みでない場合は、購入するレンズの絞り羽根が作る形状をに注意が必要である。実写しなくとも絞りを動かして羽根の作る形状をみるとエッジがあるか確認できる。

仕様・レンズ比較

APO ELMARIT R 180mmとAPO SUMMICRON R 180mmを比較すると、APO SUMMICRONの大きさがよくわかる。
野外での撮影は運搬時の重量や大きさからAPO ELMARIT R 180mmが適していると考えられる。APO SUMMICRON R 180mmはポートレイトなど決まったロケーションで集中して撮ることに向いていると考えられる。

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項目APO-ELMARITAPO-SUMMICRON
焦点距離(mm)180180
最大絞り2.82
最小絞り2216
絞り羽根88
レンズ構成5群7枚6群9枚
最短撮影距離(m)1.51.5
レンズ長(mm)132176
レンズ最大径(mm)76116
フィルター径(mm)67100
重量(g)9702,500
リリース年19971994
製造本数1,9001,700

参考情報

更新履歴

  • 2025.6.7
  • 2024.1.3
  • 2023.02.25
  • 2022.06.14

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