没後50年 髙島野十郎展・千葉県立美術館

没後50年 髙島野十郎展・千葉県立美術館

「没後50年 髙島野十郎展・千葉県立美術館」の感想「多彩な光と絵画表現」

目次

展概要

本展の題は「没後50年 髙島野十郎展」で、千葉県立美術館 のほか以下4会場を巡回する。

今回の展示は髙島野十郎の作品は福岡県立美術館の所蔵作品を中心として構成され、その他に目黒区美術館、三鷹市美術ギャラリー、一般財団法人 恵愛団、瀬戸内市立美術館、東京大学大学院農学生命科学研究科水圏生物科学専攻、東京大学大学院農学生命科学研究科生産 ・ 環境生物学専攻、東京大学医科学研究所、光本巧子氏蔵、竹内房子氏蔵、ブルーミング中西株式会社、Wakana collection、個人蔵。

関連画家の作品は目黒区美術館、三鷹市美術ギャラリー、石橋財団アーティゾン美術館、刈谷市美術館、練馬区立美術館、東京国立近代美術館、千葉県立美術館、豊田市美術館、愛知県美術館、個人蔵で構成されている。

展示室内は撮影可能だが、一部の作品には撮影不可のマークがあり、その作品については撮影することができない。
撮影不可作品がポツポツとあらわれるため、部屋全体の展示風景を撮るのに少々難儀する。

感想「多彩な光と絵画表現」

2025年8月9日に鑑賞した、「没後50年 髙島野十郎展」千葉県立美術館の感想。

髙島野十郎については、国立近代美術館で見たことがあるようなないような、あやふやな記憶しかないがチラシに掲載された「月」、「蝋燭」をみて実物を鑑賞にしたいと思い千葉県立美術館を訪れた。

本展の章立ては以下の全6章で、野十郎の作品を中心に171点がリストされている。

  • プロローグ 野十郎とはだれか Prologue: Who was Yajuro?
  • 第 1 章 時代とともに Chapter 1. Together with the Time
  • 第 2 章 人とともに Chapter 2. Together with People
  • 第 3 章 風とともに Chapter 3. Together with the Wind
  • 第 4 章 仏の心とともに Chapter 4. Together with Buddhist Compassion
  • エピローグ 野十郎とともに Epilogue: Together with Yajuro

各章にて印象に残った作品を挙げていく。

プロローグ 野十郎とはだれか

展覧会のオープニングは代表作を集めたゾーンで、最初に意志の強そうな自画像《絡子をかけたる自画像》が展示され、その横は代表作の《蝋燭》だ。始めて実物を見た《蝋燭》は炎が揺らめいているようでとても幻想的な作品だ。この《蝋燭》は3章を除く各章に計16点展示されており、それぞれ異なる長さの芯と炎が描かれており《蝋燭》作品を集めて薄明かりのなかで鑑賞したいとおもった。《蝋燭》は福岡県立美術館の1点を除き個人蔵で、これを日々鑑賞できる人はうらやましい。

このプロローグは「福岡県立美術館」の所蔵品で固められており、本展にもっとも作品を貸し出している「福岡県立美術館」のお勧め作品を一堂に会しているように感じられた。

《絡子をかけたる自画像》《蝋燭》高島野十郎

第 1 章 時代とともに

このゾーンは、下の《田園太陽》のような夕暮れの光を描いたバルビゾン派的な作品、ゴッホ調の作品など、ヨーロッパの影響が見られる作品を展示している。

また、野十郎と同時代に生きた画家の作品も展示されており、岸田劉生、青木繁、坂本繁二郎、なかでも国立近代美術館の、古賀春江《観音》は古賀作品の中でもとくに落ち着いた色でとても好みだ。各館から貸し出された作品をいつもとは異なる場所で鑑賞するのもよい。

《田園太陽》高島野十郎

第 2 章 人とともに

野十郎が描いた肖像画などほかの章ではみられない作品をみることができる。下の作品は野十郎の絵画仲間、大内田茂士《静物》、セザンヌ思わせる作品。

大内田茂士《静物》

第 3 章 風とともに

風景画が大量に展示されている。そのなかでも2点あった雪景色を描いた《雪の村》《積る》は、直接光を描く田園風景とは異なり、淡く反射する光を閉じ込めた小さな作品で、他の作品とは少し違う光の表現を見ることができる。

3章の展示から展示室8に入るのだが、展示室8は部屋の壁に統一感がなく、壁の隙間が目立つのも残念、いろいろ予算が厳しいのもわかるけれど、展示室の壁はなんとかして欲しいと、この部屋に入ると思う。

第 4 章 仏の心とともに

風景画の続きのようだが、色使いに変化が見られモティーフにシュルレアリスティックな造形も見られて面白い。

《蓮華》《寧楽の春》高島野十郎

エピローグ 野十郎とともに

展の最後は落ち着いた感じの作品でまとめられており、展示空間に静かな空気が満ちている。

目黒区美術館の所蔵する《百合とヴィオリン》は西洋のヴァニタス画を思わせるタッチの作品で、どこまでも芸風の広い画家だと最後まで飽きさせない展示がとてもよかった。

《満月》高島野十郎

美術館への移動

神奈川県民としては千葉は非常に遠い。せこい話だが、なるべくお金をかけずに訪問するため千葉県立美術館に行くときは以下のルートを利用している。

東京メトロパスを購入し、東西線に乗って東京メトロパスで行けるもっとも西の駅、西船橋駅が最初の目的地となる。西船橋駅からJR 武蔵野線に乗りかえて一駅行った先の南船橋駅京葉線に乗り換えて、千葉県立美術館最寄りの千葉みなと駅に到着する。千葉みなと駅から千葉県立美術館は徒歩で15分程度である。このルートだと居住地の神奈川県から約2時間で到着する。

あとのことも考えると千葉県立美術館が朝9時から開館しているのは非常にありがたい。本日はこのあと、千葉市美術館に移動する。それはまた別ページにて紹介。

これはメトロパスを最大限利用する方法で、メトロパスの料金700円+武蔵野線と京葉線の320円で千葉県立美術館に到着。帰りは同じく320円で西船橋駅まで出て、都内をウロウロするなら東京メトロをメトロパスで移動するとよりお得感がます。

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撮影

更新履歴

  • 2025.8.12

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