3枚玉 ELMAR M 90mm F4 (Triplet)

ライカ・エルマー 90mm F4のレビューと写真作例
目次
ギャラリー
写真作例の撮影はLEICA M9
レビュー


1.概要
ELMAR M 90mm F4 (Triplet)は、1962年から1965年の3年間だけつくられた、Mマウントの90mm望遠レンズ。
レンズ構成は3群3枚のトリプレット形式で、最短撮影距離は1m。
レンズとMマウントのヘリコイドを分離することができ、分離したレンズは、VISOFLEX Mマウント・ヘリコイドリング「OUAGO」(16467、16467N)を装着してVISOFLEX II(ビゾフレックス2)、VISOFLEX III(ビゾフレックス3)に装着することができる。
ここで述べたビゾフレックスはライカ M typ240、M10、M11向け外付け電子ビューファインダー(EVF)ではなく、ライカレンジファインダーカメラを一眼レフにするためのミラーボックスシステムのことだ。
2.使用感
ELMAR M 90mm F4 (Triplet)は3群3枚のレンズ構成で、その描写は3群4枚の旧エルマー 90mmより、抜けが良いとの評を見たことがあるが、3群4枚でもレンズ状態がよければ抜けのよい描写をするため、両者の違いを顕著に感じることは無かった。
また、90mmレンズはどこのメーカーがつくってもそう大外れしたレンズになることはなく、以前から使っていたCONTAX G 90mmとも描写的に大きく変わるところは感じられなかった。
購入当初はMマウントのままLEICA M9で二重像の合致で使用してみたところ、撮影者の修行不足もあるだろうが絞り開放のF4の撮影結果をPCで拡大して確認すると、狙ったところに完璧にピントがきている撮影結果は総撮影数の半分程度だった。
この結果から、焦点距離90mmはレンジファインダーカメラで使用するのは難儀なので、VISOFLEXで使うことにした。VISOFLEX IIIを介して一眼レフスタイルの撮影結果は満足できるピント位置の画像は8割程度あり、まずまずの歩留まりがっあった。中望遠レンズになると、一眼レフスタイルで使う方がよい。2020年代はミラーレスカメラの電子ビューファインダーで撮影する方が結果がよいのは間違いない。ボディ内手ぶれ補正を積んでいれば手ぶれ防止もできるため、技術の進歩は撮影者にとってありがたい点が多い。
3.まとめ
結論としてELMAR M 90mm F4 (Triplet)をまとめると、レンズの製造本数は1万本近くあるにもかかわらず、製造期間が3年と短いためか、通常のエルマー M 90mmにたいして、3〜4倍のプレミアム価格で売られている。使用したかぎりその価値に見合うかは疑問だ。
仕様・考察
本レンズの採用している3群3枚のシンプルな構成で、この変化は初期エルマー90mmの3群4枚であったが、硝材、レンズコートの進化などにより、後群の貼り合わせレンズが必要なくなったためと考えられる。
VISOFLEX II、VISOFLEX IIIにエルマー M 90mmレンズを装着するためにはフォーカシングユニット「OUAGO」が必要で、「OUAGO」は通常のエルマー90mm、このトリプレット・エルマー90mmの両方に対応しているはずだ。
「はずだ。」と書いたのは、この「OUAGO」とレンズが装着できないという現象に遭遇しているためだ。
具体的には、某カメラ市にレンズを持ち込みVISOFLEXに装着するための「OUAGO」を探したのだ。
しかし、「OUAGO」の在庫があった店でレンズと「OUAGO」の取付を確認させて貰うと、レンズが最後までねじ込める「OUAGO」とネジ込みが途中で止まる「OUAGO」があり、ネジ込みが中途半端にしかできない「OUAGO」はレンズの無限遠を使うことができなかった。
3群4枚の古いエルマー 90mmでも上記現象を経験しているため、エルマー M 90mm or 9cmをVISOFLEXで使用するときは、フォーカシングユニットとレンズが正しく接続できることを確認する必要がある。


項目 | TRIPLET ELMAR | ELMAR |
焦点距離(mm) | 90 | 90 |
最大絞り | 4 | 4 |
最小絞り | 32 | 32 |
絞り羽根 | 10 | 15 |
レンズ構成 | 3群3枚 | 3群4枚 |
最短撮影距離(m) | 1.0 | 1.0 |
レンズ長(mm) | 82 | 72(L39) |
レンズ最大径(mm) | 43 | 45 |
フィルター径(mm) | E39 | E39 |
重量(g) | 300 | 279(L39) |
フード | IUFOO | IUFOO |
レンズマウント | M/L39 | M/L39 |
リリース年 | 1964 | 1933 |
製造本数 | 9,400 | 107,480 |
参考情報
- Leica Wiki ELMAR 90mm F4
- クラシックカメラ選書 19 ライカレンズの見分け方(朝日ソノラマ)・アマゾンアフィリエイトリンク
- 仕様の記載と仕様の違いが記述されており、レンズ描写への言及はない。
- 付録にレンズ構成図が載っている。
- 世界のライカレンズ Part1(写真工業社)・アマゾンアフィリエイトリンク
- トリプレットエルマーはP86に野崎治朗氏のレビューあり
- 固定鏡筒 エルマー 9cm
- 沈胴鏡筒エルマー 9cm
- テレ・エルマー 13.5cm
- TRIPLET ELMAR 90mm 1964ver.・LENS.DB
- ELMAR 90mm 1933ver.・LENS.DB
更新履歴
- 2025.7.11
- 2024.04.25
広告
- LEICA Rレンズ・Ads by Rakuten
- LEICA L39 レンズ・Ads by Rakuten
- LEICA M レンズ・Ads by Rakuten
- ライカレンズ・Ads by Amazon
- ライカデジタル・Ads by Amazon
- ライカボディ・Ads by Amazon
- ライカアクセサリー・Ads by Amazon
- ライカ書籍・Ads by Amazon
- LEICA R-Adapter-L (16076)・Ads by Amazon
- LEICA R8・Ads by Rakuten
コメントを残す