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国際芸術祭「あいち2025」愛知芸術文化センター

Last updated on 2025-11-11

2025年10月に訪問した国際芸術祭「あいち2025」栄会場・愛知芸術センターの鑑賞レポート

目次

展覧会概要

  • 国際芸術祭「あいち2025」・栄会場
  • 会期:2025.9.13〜11.30
  • 会場:愛知芸術文化センター

参加アーティスト(敬称略)

  • 10階
    • ムルヤナ、杉本博司、太田三郎、水谷清、宮本三郎、ウェンディー・ヒュバート、大小島真木、アフラ・アル・ダヘリ、諸星大二郎、山本作兵衛、川辺ナホ、ダラ・ナセル、ハラーイル・サルキシアン、バーシム・アル・シャーケル、小川待子
  • 8階
    • シルビア・リバス、浅野友理子、ロバート・ザオ・レンフイ、マユンキキ、プリヤギータ・ディア、カマラ・イブラヒム・イシャグ、クリストドゥロス・パナヨトゥ、ムハンマド・カゼム、イキバウィクルル、バゼル・アッバス&ルアン・アブ=ラーメ、ソロモン・イノス、是恒さくら、ジョン・アコムフラ
  • 2階
    • ミルナ・バーミア
  • 地下1階
    • 久保寛子
  • 地下2階
    • 久保寛子(フォーラムⅡ)、札本彩子(アートスペースX、B2F展示ケース)

鑑賞レポート

国際芸術祭「あいち2025」・栄会場は愛知芸術文化センターの10階、8階、2階、地下1階、地下2階を使用した大規模な展示会場。

陶磁会場、瀬戸会場、豊橋市民芸館のポップアップを鑑賞し、こちらに着いたのは18時半を過ぎていた。幸い金曜日なので20時まで鑑賞可能と言うことで、1時間半ほど滞在して鑑賞した。

例によってマップをよく見ていなかったため、2階、地下1,2階の細かな展示は鑑賞できていない。

国際色豊かなラインアップで始めて鑑賞する作家も多くとても楽しめた。時間に制限無ければ一日中楽しめる会場になっている。1時間半ほどの鑑賞時間で印象に残った作家について記していく。

■ウェンディー・ヒュバート、大小島真木、アフラ・アル・ダヘリ

この展示室は3名の作家が同時に展示し一つのインスタレーションのようになっている。

ウェンディー・ヒュバートは5枚のペイント作品、大小島真木は青森で製作された《明日の収穫》と11の文章と陶器作品のインスタレーション、アフラ・アル・ダヘリは紐、髪をモティーフにした大型のインスタレーションを構築している。

ウェンディー・ヒュバート、大小島真木、アフラ・アル・ダヘリウェンディー・ヒュバート、大小島真木、アフラ・アル・ダヘリ

《明日の収穫》は青森で見たときは若干窮屈な展示場所だったが、こちらは天井も高く奥行きもあり、大きな作品を一目で楽しめる。

大小島真木の陶器のインスタレーションは陶器とともに食・農に関する一節が置かれた素焼きのブロック置かれており、作品をみながら読み進めると各時代の作家が食・農に着いて考えていたことを知ることができる。

引用されたの著者は、安藤昌益(1750)、伊藤野枝(1918)、石川三四郎(1920)宮沢賢治(1926)、鈴木大拙(1944)、宮本百合子(1946)、坂口安吾(1947)、丸山眞男(1947)、藤原辰史(2019)、石倉敏明(2020)、東千矛(2020)と幅広い年代を網羅しており多読家である作家の個性が感じられる。一説の最後に引用元図書名が記されており内容に興味が湧いたら原文を読むことも可能だ。

奥に見えるアフラ・アル・ダヘリのロープを垂らしたインスタレーションは、ロープのつくる影が印象的で、内側に入ることができ立つ位置によって異なる景色が

アフラ・アル・ダヘリ、大小島真木アフラ・アル・ダヘリのインスタレーション

■杉本博司、太田三郎、水谷清、宮本三郎

自然史博物館で動物の剥製を撮影した杉本博司の「ジオラマ」シリーズと、「猛獣画廊壁画」を対比した展示となっている。

「猛獣画廊壁画」とは戦中に東山動物園で殺処分、病餓死などで動物たちがほとんど居なくなり、そのかわりとして、太田三郎、水谷清、宮本三郎によって描かれた3枚の絵画だ。参考情報として中日新聞の記事を載せているが他もほぼ同様の記載になっている。情報の元を辿りたいところだが、すぐにはでてきそうにないので代表して中日新聞記事のリンクを載せておく。

  • 太田三郎《東山動物園猛獣画廊壁画No.1、北極・南極》ホッキョクグマ、ペンギン、アザラシなど
  • 水谷清《東山動物園猛獣画廊壁画No.2、南方熱帯》虎、オランウータン、ヒョウ、インコなど
  • 宮本三郎《東山動物園猛獣画廊壁画No.3、アフリカ》ゾウ、猿など

2024年に修復が完了し、今回の杉本博司とのコラボレーションが実現している。戦争や飢饉という今日の課題に焦点を当てるところは、キュレーターが考えたのか杉本氏の発案かは不明だが、時期的に適切なテーマ選定といえる。

写真右は、杉本博司《ジオラマ》のシロクマ と太田三郎《東山動物園猛獣画廊壁画No.1、北極、南極》ホッキョクグマ、ペンギン

杉本博司《ジオラマ》、太田三郎、水谷清、宮本三郎《猛獣画廊壁画》杉本博司《ジオラマ》、太田三郎、水谷清、宮本三郎《猛獣画廊壁画》

■ムルヤナ

10階入口から大型のインスタレーションを展開、カラフルな海中世界から死を象徴するような海底の世界をシームレスに展開している。

海中世界から3法に道が分かれており、右手側に大小島真木《明日の収穫》が見えたので、右の部屋に行ってしまった。正面に進んで巨大な骨のオブジェを見るほうがムルヤナの世界を楽しめたと思う。

《海流と開花のあいだ・Between Currents and Bloom》《海流と開花のあいだ・Between Currents and Bloom》

■バーシム・アル・シャーケル

部屋に入るとビビッドな色彩にとても美しいと感じた。しかし、この美しい作品《スカイ・レボリューション》は2003年のイラク戦争の爆撃直後に目にした光景を描いた作品とキャプションに記載がありとても驚いた。それを見てアメリカがフセインに仕掛けた戦争をテレビの画面越しにみた記憶がよみがえった。そのときは独裁者を排除するために武力行使が正当化されるのか?考えてみたが日々にかまけて忘れていった。

今日本でその光景を目撃し制作された作品をみている。とても不思議な感覚がする。

それから20年以上の時間を経ても世界から戦災は無くならない。

バーシム・アル・シャーケル《スカイ・レボリューション》
バーシム・アル・シャーケル《スカイ・レボリューション》

■小川待子

静寂を感じる陶器の作品、ハードめの展示が多いので安らぐ空間。

小川待子《結晶と記憶:五つの山》
小川待子《結晶と記憶:五つの山》

諸星大二郎

この部屋だけ他の展示室とは異なる雰囲気があり、原画を引き延ばして展示するとその存在感が際立ってみえる。

マユンキキ

「北海道旭川と、天龍峡を中心とした天竜川流域(愛知県東部・奥三河~長野県南部・伊那谷)を行き来しながら制作」とのことで距離的なスケールも大きい作品。

こちらも展題の「灰」をイメージしたような世界が広がっている。

マンユキキ《川村カ子ト アイヌについて》マンユキキ《川村カ子ト アイヌについて》

是恒さくら

愛知県と鯨の関わりをリサーチして作られた鯨の骨格を模した大型インスタレーション。
その隣の部屋で、捕鯨の模様を映した映像作品、ジョン・アコムフラ《目眩の海・Vertigo Sea》を上映しており、鯨との関わり方について考えさせられる。

是恒さくら《白華のあと、私たちのあしもとに眠る鯨を呼び覚ます》

久保寛子

地下2階から吹き抜け部分に大きなタペストリー《青い4つの手を持つ獅子》を展示している。

久保寛子《青い4つの手を持つ獅子》

芸術祭の出品作ではないが、シースルーエレベーターから鑑賞できる作品、北山良夫《私(あなた)》はその大きさに圧倒される。こちらを訪れた際は、ぜひシースルーエレベーターに乗って鑑賞して欲しい。

北山良夫《私(あなた)》
北山良夫《私(あなた)》

参考情報

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更新履歴

  • 2025.11.5

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