コンパクト望遠 APO LANTHAR SL 180mm F4

コンパクト望遠 APO LANTHAR SL 180mm F4

フォクトレンダー・アポ・ランサー(ランター) 180mm F4をSIGMA SD9で使用したレビューと写真作例

目次

ギャラリー

写真作例の撮影はSIGMA SD9

レビュー

Before imageAfter image

1.概要

APO LANTHAR SL 180mm F4は、コンパクトな望遠レンズで焦点距離180mmはコシナ・フォクトレンダー全レンズの中で最長焦点距離だ。

主な仕様はレンズ構成は7群9枚、最短撮影距離は1.2m、絞り羽根は9枚、フィルター径は49mm、レンズ前方にねじ込んで装着する。

レンズフードは丸形フード(LH-75S)、角形フード(LH-75)の2種類が装着できる。
このフードはカラー・ヘリアー75mm、アポ・ランサー90mm、アポ・ランサー180mmで共通している。

2.使用感

APO LANTHAR SL 180mm F4の描写は180mmの圧縮感に前後の滑らかなボケが合わさり、望遠レンズの醍醐味を味わえるレンズだ。

使用していたカメラは、SIGMA SD9でセンサーサイズが小さいため、35mm版換算の焦点距離は306mmと望遠レンズの中でも長焦点距離になる。それでも扱いづらさは無く、適度に放れた猫を撮影するときに重宝したレンズだ。

中心部を切り出すSIGMA SD9での写りは申し分なく、長焦点距離のわりには日中使うかぎり手ブレに悩まされることも無かった。また、逆光耐性も問題ない。

306mmの長焦点だけれど、最短撮影距離が1.2mと寄れるところもこのレンズの強みである。

操作性には若干難があり、マクロ・アポ・ランサー125mmよりもさらにレンズマウント側にフォーカスリングが配置されており、鏡筒前方に重いレンズを配置しているため撮影時の重量バランスはよくない。
フォーカス時は根元の銀色リングはすこし指をかける程度で、鏡筒全体で繰り出すように使っていた。

M42マウント版を所有していたが、35mm判フルサイズセンサーカメラを導入する前に手放してしまったので、35mm判フルサイズの作例は無い。

本レンズは製造本数が少ないこともあり、中古市場においてわりと高価格な水準を維持している。

フードの縮緬可能が施されたLH-75は質感がよく、中古市場では1万円程度の値で見かけることもあり、フード付属による価格の高低は大きい。

3.まとめ

結論としてAPO LANTHAR SL 180mm F4をまとめると、コンパクトな望遠レンズで可搬性を重視する撮影者にとってはありがたい存在だ。描写も中央部を見るかぎり、絞り開放からキレのある破綻の無い描写をするため、安心して使うことができる。

仕様・考察

APO LANTHAR SL 180mm F4は、180mmにしてはコンパクトにまとめられており、最も短くなる無限遠状態のときは全長80mmで、同じ焦点距離でAPO仕様のライカ アポ・テリート 180mm F3.4は135mmあり、また、APO LANTHAR の最短撮影距離は1.2m、APO TELYT 180mmは最短撮影距離が2.5mで、この2点からもAPO LANTHAR の優位性がわかる。

Before imageAfter image
項目APO LANTHARAPO-TELYT
焦点距離(mm)180180
最大絞り43.4
最小絞り2222
絞り羽根98
レンズ構成7群9枚4群7枚
最短撮影距離(m)1.22.5
レンズ長(mm)79135
レンズ最大径(mm)65.668
フィルター径(mm)4960
重量(g)485750
フードLH-75S
組み込み
マウントニコンF オリンパスOM キヤノンFD M42 ペンタックスK ライカR CYライカR
製造年2003.081975
定価¥65,000?
製造数?17,000

2024年現在のフォクトレンダーレンズのラインナップは最長の焦点距離で90mmまでしかない。同じくCOSINAが担当しているカール・ツァイス・ブランドにおいても長焦点レンズは最長で135mmまでしかなく、COSINAは望遠側の市場は完全に捨てていると思われる。

最後に、本レンズと同時期にリリースされたSLレンズは以下の7本である。

12mmと15mmはミラーアップして使用するレンズなので一般的な撮影に向いていない。実質40mmからはじまるレンズシリーズとなっている。

後のSL IIシリーズでCOLOR SKOPAR 20mmCOLOR SKOPAR 28mmNOKTON 55mmとAuto Topkor 58mmを変更したNOKTON 58mmが追加され焦点距離のバリエーションが増える。

  1. ウルトラ・ワイド・ヘリアー 12mm(ミラーアップ専用)
  2. スーパー・ワイド・ヘリアー 15mm(ミラーアップ専用)
  3. Ultron(ウルトロン) 40mm
  4. COLOR HELIAR(カラー・ヘリアー) 75mm
  5. APO LANTHAR(アポ・ランサー) 90mm
  6. Macro APO LANTHAR(マクロ・アポランサー) 125mm
  7. APO LANTHAR(アポランサー・アポランター) 180mm

ミラーアップ専用の2本以外はレンズデザインが統一されており、黒い鏡筒にフォーカスリングにシルバーのアクセントを入れたデザインは、クラシックとモダンが同居したデザインで好ましい。

項目ULTRONCOLOR HELIARAPO LANTHARMacro APO LANTHARAPO LANTHAR
焦点距離(mm)407590125180
最大絞り22.53.52.54
最小絞り1622222222
絞り羽根99999
レンズ構成5群6枚9群11枚7群9枚
最短撮影距離(m)0.40.70.50.381.2
レンズ長(mm)
(Nikon Ai-S)
29.540.257.688.279
レンズ最大径(mm)63.563.563.57665.6
フィルター径(mm)5249495849
重量(g)255250390690485
リリース年2002.052000.072002.032001.062003.08
定価¥45,000¥50,000¥55,000¥95,000¥65,000
  • 初期にリリースされたコシナのフォクトレンダーブランド、一眼レフ向けレンズのリスト、15mmと12mmの2本は、ミラーアップして使う特殊レンズなので下表からは除外している。

参考情報

更新履歴

  • 2025.7.13
  • 2024.03.28:改稿
  • 2023.11.07:初稿

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