現代的ビオゴン解釈 BIOGON 35 ZM

Carl Zeiss BIOGON ZM T* 35mm F2をフィルムカメラとデジタルカメラで使用したレビューと写真作例
目次
ギャラリー
- フィルム写真作例
- カメラにRollei 35RFを使用し、フィルムはコニカ・シンビ100P(リバーサルフィルム)を使用、フィルムのスキャンはMINOLTA DIMAGE Scan Proでスキャンした。
- デジタル写真作例は、RPSON R-D1を使用
レビュー


1.レンズ概要
CARL ZEISS BIOGON 35mm F2 ZMは、2005年にリリースされた、コシナ製造のカール・ツァイス・ブランドのレンズ。
主な仕様は以下の通りで、詳細な仕様は表に載せている。
- レンズ構成 6群9枚
- 絞り羽根 10枚
- 絞りのクリックストップ 1/3毎
- 最短撮影距離 0.7m
- 全域でライカM型レンジファインダー距離計と連動
- フード 別売のバヨネットフード
- レンズカラーバリエーション シルバーとブラック
同じCARL ZEISSブランドの1996年に京セラ・コンタックスから発売されたCONTAX G Planar 35mm F2はレンズ構成にプラナーを採用している。仕様にてレンズ構成の比較をおこなった。
2.使用感
CARL ZEISS BIOGON 35mm F2 ZMは、レンズは金属鏡筒に納められており、コンパクトだがずっしりと重い。
現代レンズに求められる描写水準を十分に満たしており、コシナの最新設計とレンズコーティングの進化により、逆光でも妖しげな光やコントラストの低下がおこることもない。
Zeiss IkonやHEXAR RFなどのレンジファインダーカメラに装着した際の重量バランスは良好で、フォーカスリング、絞りリングの操作性にも問題はない。
EPSON R-D1に装着した場合は、センサーの倍率換算により、焦点距離50mm相当の標準レンズとなる。描写傾向は異なるが、焦点距離としてはプラナー50mmの代替として使用できる。
このZMのビオゴン35mmは対称的なレンズ構成を持ちながら、周辺光量の確保、各種補正などを有利にするためバックフォーカスを長くとる設計をしており、レンジファインダー向け焦点距離35mmとしては細身でレンズ全長が43mmとLEICA SUMMILUX M 35mm F1.4 ASPH.(レンズ長46mm)とほぼ同じ長さとなる。
そのため、カメラに装着したとき間延びした印象を受ける。
同じZMレンズシリーズで広角レンズのビオゴン21mm、25mmは同じく細長いスタイルをしているけれど、焦点距離を考えると仕方がないと割り切れるが、後にリリースされたビオゴン ZM 28mmはレンズ構成の対称形を意識しならがコンパクトな鏡筒にまとまっているので、ビオゴン ZM 35mmももう一工夫して欲しかった。
その反省からではないであろうが、後にリリースされるZM Cシリーズの21mmと35mmのレンズ長さは短くなっており全体的に締まったスタイルで、コンパクトなレンジファインダーカメラに似合うレンズだ。
3.まとめ
結論としてCARL ZEISS BIOGON 35mm F2 ZMをまとめると、レンズは全体としてそつなくまとまっており現代的でシャープな描写はデジタルカメラにも向いている。
レンジファインダー向け35mmレンズは選択肢が多いため、カメラに装着した際の印象が、レンズを使う頻度に直結するので、細身で長尺なレンズ外観が所有しているカメラとマッチしているかはレンズを所有するための1つの判断材料となるだろう。
仕様・レンズ比較
Planar 35mmはレンズ構成にプラナー(ダブルガウス型)形式を採用しており、BIOGON 35mm ZMのモダンビオゴンとは異なるためレンズサイズも大きく違う。写りに関してはシャープなモダンビオゴンに対して、プラナーは柔らかな写りをするため描写の方向性も異なる。
- レンズ構成図は各社のPDFより引用、サイズはこちらで調整しているため、厳密ではない。


項目 | BIOGON | PLANAR |
焦点距離(mm) | 35 | 35 |
最大絞り | 2 | 2 |
最小絞り | 22 | 16 |
絞り羽根(枚) | 10 | 7 |
レンズ構成 | 6群9枚 | 5群7枚 |
最短撮影距離(m) | 0.7 | 0.5 |
レンズ長(mm) | 43.3 | 31.5 |
レンズ最大径(mm) | 52 | 56 |
フィルター径(mm) | 43 | 46 |
重量(g) | 230 | 160 |
フード | バヨネット | GG-1 |
マウント | ZM | CONTAX-G |
リリース年 | 2005 | 1996年 |
価格(定価・税別) | ¥95,000 | ¥47,000 |
ZMレンズリスト
ZMレンズシリーズは合計13本リリースされており、はじめに標準レンズであるプラナー50mmがリリースされ、その2ヶ月後にこのビオゴン 35mmがリリースされた。
- Distagon T✻ 15mm ƒ/2.8 (Made in Germany)
- Distagon T✻ 18mm ƒ/4
- Biogon T✻ 21mm ƒ/2.8
- C Biogon T✻ 21mm ƒ/4.5
- Biogon T✻ 25mm ƒ/2.8
- Biogon T✻ 28mm ƒ/2.8
- Distagon T✻ 35mm ƒ/1.4
- Biogon T✻ 35mm ƒ/2
- C Biogon T✻ 35mm ƒ/2.8
- C Sonnar T✻ 50mm ƒ/1.5
- Planar T✻ 50mm ƒ/2
- Tele-Tessar T✻ 85mm ƒ/4
- Sonnar T✻ 85mm ƒ/2 (Made in Germany)
参考リンク
- Zeiss.com lens datasheets biogon 35mm
- Zeiss.com lens datasheets C biogon 35mm
- Zeiss.com lens datasheets Planar 35mm
- DISTAGON T*1,4/35 ZM・コシナ公式ページ
- BIOGON T*2/35 ZM・コシナ公式ページ
- BIOGON T*2.8/35 ZM・コシナ公式ページ
- PLANAR G 35mm Mマウント改造・Shige’s hobby
- LEICA SUMMILUX M 35mm ASPH.・Shige’s hobby
更新履歴
- 2025.3.20
- 2024.04.18:記載修正
- 2024.01.09:最初の投稿
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