AF Planar T* 35mm +CONTAX G1,G2

CONTAX G PLANAR T* 35mmをCONTAX G1で使用したレビューと写真作例
目次
ギャラリー
- 写真作例の撮影はカメラボディにCONTAX G1、フィルムにAGFA CT Precisa 100を使用した。
- フィルムスキャンはCOOLSCAN 5 EDを使用した。
レビュー

1.概要
CONTAX G PLANAR T* 35mmは、1996年にリリースされたCONTAX G向けオートフォーカスレンズ。
主な仕様は、焦点距離35mm、絞り開放値 F=2、最短撮影距離0.5m。
CONTAX G2とともにリリースされた広角レンズで、CONTAX G1で本レンズを使用するためには、CONTAX G1のROMを更新するサービスをカメラに適用する必要がある。
中古の場合はフィルム室にグリーンのラベルが貼られていることを確認する。

2.使用感
プラナー G T* 35mmはCONTAX G1(ROM更新済み)、G2で使用した。
ピント合わせはオートフォーカスが使用可能で、CONTAX G1、CONTAX G2のファインダーで適正な撮影範囲が表示される。
マニュアルフォーカスを使う場合は面倒で、レンズ鏡筒に距離を示す表示がないため、カメラのファインダーに表示される距離計を頼りに、G1はカメラ上部のフォーカスリング、G2はカメラ正面のフォーカスリングで撮影距離を調整して撮影する。
オートフォーカスの合焦位置は今ひとつ信用できない。
マニュアルフォーカスをするにしても被写体との距離を見極める必要があり、それが適正かを見極める術がないため、マニュアルフォーカスを使うことはほとんど無かった。
プラナー 35mmは、ダブルガウス型の後玉がフィルム面と距離がとれる設計なので、純正ボディのCONTAX Gシリーズの、TTL(Through the Lens)実絞り測光(中央重点平均測光)は不満の無い精度で露出決定をしていた。
プラナーの名前のとおりフラットな像面でネガフィルムでの解像度に不満はない。
解像感はキレるような鋭い描写ではなく柔らかい像を結ぶ。
また、周辺部に減光もなく扱いやすいレンズだ。
専用フードは46mmねじ込み式のGG-1で提供されている。小さなフードで付けっぱなしにしていたので、フードが無い場合との差は確認していない。撮影をしていて逆光時に怪しい光を見ることはほとんどなかったので、レンズのT* コートが効いているかもしれない。
Ms-opticsで改造したレンズの作例はデジタルカメラで撮影した結果をアップしている。

3.まとめ
結論としてプラナー G T* 35mmをまとめると、フィルムカメラのCONTAX G1、G2で撮影するなら、この35mmは必須のレンズだ。これ1本でほとんどの用途に対応できる万能さがある。最初のレンズラインアップに無っかのはこれ1本で済ませられると困るとの思惑があったのではと邪推したくなる。写りはフィルムカメラで使うにはまったく問題ない。
しかし、ミラーレスカメラなどのデジタルカメラで使う場合は少々微妙で、2020年代の5万円を超えた価格は古いレンズに投資するには高価だ。3万円以下なら投資してもよいと思える。
買う理由を探すなら、このレンズの大きさはコンパクトで魅力的であり、レンズのデザインが気に入っていれば写欲向上につながるため購入を否定することはない。
余談
カールツァイスのプラナー銘を持つ35mm判向け焦点距離35mmのレンズは数が少なく、このレンズのほか、旧CONTAX向けのプラナー 35mm F3.5のみである。その他のカールツァイス製レンズで焦点距離35mmはビオゴンかディスタゴンの名前になっている。
プラナーの名前を持つレンズは、標準レンズの焦点距離50mm〜80mmで多く採用されている。
焦点距離35mmでプラナー形式のレンズはあまり見かけない理由を調べると、参考リンクの「ニッコール千夜一夜物語 第三十七夜 W-Nikkor 3.5cm F2.5」にある記述を引用すると、「ガウスタイプが良好な性能を得るには、画角60~70度が限界」(引用終わり)とあるように、焦点距離35mmの対角画角63度は、先述の限界に近い焦点距離となる。
そのため、レンジファインダーカメラはフィルム面にレンズ後群が近づくことが許容できるので、ビオゴン形式を採用することが多くなり、一眼レフカメラはレンズの大きさに寛容なので、レンズ性能を追求する場合、レトロフォーカス形式を採用することがおおくなる。
このことが焦点距離35mmでプラナー形式が少ない理由と考えられる。
ここで、Kyocera CONTAXが35mmにプラナー形式を採用した理由として、マーケティング主導のレンズラインナップのバランス説を述べてみたい。
CONTAX G1リリース時には、ホロゴン 16mm、ビオゴン 28mm、プラナー 45mm、ゾナー 90mmとCarl Zeissの代表的なレンズ形式が網羅されており、新カメラとレンズのリリースを飾るためによく練られたレンズラインナップだ。
続く、CONTAX G2でリリースされるレンズは、21mm、35mm、35-70mmズームの3本になるわけだ。
その場合、21mmと35mmをビオゴン形式にすると、新レンズ発売のリリースにBIOGON 21mm、BIOGON 35mm、VARIO SONNAR 35-70mmと記される。
全体を通しても、21mm、28mm、35mmとレンズラインナップにビオゴン形式が続くことになり、下表のように一覧にした際、レンズラインナップのバランスに偏った印象を受ける。
そこで、35mmをプラナー形式にすることで、新レンズ発売のリリースは、BIOGON 21mm、PLANAR 35mm、VARIO SONNAR 35-70mmとなり一覧表にした際のバランスがよくなる。
レンズ性能で考えるならば35mmはビオゴンを採用することが妥当と思われる。しかし、マーケティング的観点からプラナー形式を採用したのではないだろうか?
2000年代にリリースされた、レンジファインダーカメラ、ライカMマウント向けの焦点距離35mmレンズ ZMシリーズは、BIOGON T* 35mm F2 ZM、C BIOGON T* 35mm F2.8 ZM、DISTAGON T* 35mm F1.4 ZMの3本がリリースされており、Kyocera・CONTAXがGシリーズの35mmにプラナーを採用したのは興味深い。
もちろん、KyoceraでもBIOGON 35mmの可能性を考えていたはずで、CONTAX Gシリーズが続いて追加のレンズが発売されていれば、そのなかにBIOGON 35mm F2.8というレンズがあったこもしれない。
35mmがBIOGONの場合 | リリース状態 | |
16mm | HOLOGON | HOLOGON |
21mm | BIOGON | BIOGON |
28mm | BIOGON | BIOGON |
35mm | BIOGON | PLANAR |
45mm | PLANAR | PLANAR |
90mm | SONNAR | SONNAR |
35-70mm | VARIO SONNAR | VARIO SONNAR |
仕様・レンズ比較
項目 | PLANAR | PLANAR | BIOGON |
焦点距離(mm) | 35 | 35 | 35 |
最大絞り | 2 | 3.5 | 2 |
最小絞り | 16 | 22 | 22 |
絞り羽根 | 7 | 9 | 10 |
レンズ構成 | 5群7枚 | 4群5枚 | 6群9枚 |
最短撮影距離(m) | 0.5 | 0.9 | 0.7 |
レンズ長(mm) | 31.5 | – | 43 |
レンズ最大径(mm) | 56 | – | 52 |
フィルター径(mm) | 46 | – | 43 |
重量(g) | 160 | – | 240 |
フード | GG-1 | – | Carl Zeiss レンズシェード 35mm/50mm |
マウント | CONTAX-G | 旧CONTAX | ライカM |
製造年 | 1996年 | 1932年 | 2005.3.25 |
定価 | ¥47,000 | – | ¥95,000 |
参考情報
- Wikipediaによる、コンタックス Gの説明
- DISTAGON T*1,4/35 ZM
- BIOGON T*2/35 ZM
- BIOGON T*2.8/35 ZM
- CONTAX G PLANAR 35mm Ms-optics改造レンズ・Shige’s hobby
- CONTAX G2・Shige’s hobby
- CONTAX G1・Shige’s hobby
- Carl Zeiss BIOGON T* 35mm F2・Shige’s hobby
- ニッコール千夜一夜物語 第三十七夜 W-Nikkor 3.5cm F2.5
更新履歴
- 2025.5.1
- 2024.2.24
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