CONTAX HOLOGON T* 16mm(Ms-optics)

Mマウント改造・ホロゴン

Kyocera / CONTAX Gマウントの16mm F8のレビューと写真作例

ギャラリー

  • 写真作例の撮影は、CONTAX G1 +FUJIFILM ASTIA 100
  • 写真作例の撮影は、LEICA M9とEPSON R-D1

レビュー

ホロゴン16mmは、1994年に京セラがコンタックス G1とともにリリースしたマニュアルフォーカスレンズ。ここでは、Ms-optics(宮崎光学)にてライカ Mマウント(レンジファインダーカメラ距離計非連動)に改造されたレンズについて紹介する。

レンズ外観はカメラ売り場において、とても目をを引く個性的なレンズだ。
CONTAX Gシリーズ・レンズは28mm~90mmまで単焦点の4本と35-70のズームレンズ1本は日本製だが、本レンズのみ Made in Germany by Carl Zeissとなっている。

レンズスペックは絞りF8固定で暗く、周辺減光も大きい。そのため、それを抑制するためのF値=F16と暗くなる専用フィルターを装着しなければ、周辺まで光量の整った画像を得ることができない。

また、本レンズはCONTX Gシリーズのオートフォーカス(以下、AF)に対応しないマニュアルフォーカス(以下、MF)レンズだ。そのため、レンズ鏡筒にフォーカスレバーを備えている。このため、フランジバックが近いライカMマウントにマウント変更がおこなわれたレンズを見かける。

レンズマウントフランジバック
コンタックス G29mm
ライカ M27.8mm

所有しているレンズは、Ms-optics(宮崎光学)でマウント変更したレンズだが、レンズマウント部に空間がないため、ライカMレンジファインダーカメラの距離計には連動しない。

写りはギャラリーを見ていただければ分かるとおり、超広角16mmだが歪みは無くとても気持ちの良い直線を描く。ギャラリーはフィルムの写真をスキャンしてアップしており、古きフィルムの懐の深さを感じていただければと思う。このときは36枚撮りをして指が映り込んでいる写真も何枚かあった。フィルム撮影の場合は目測で撮影しても、よほど外れてなければ失敗写真になることはない。

デジタルカメラでの撮影は、フィルムカメラよりピントにシビアであるため、目測では無くライブビューを使うのが無難と考える。また、カメラの搭載するセンサーによっては、周辺部にカラーキャストを起こすことがある。しかし、この切れの良い画像はモノクロ向きでもあり、色を捨ててモノクロームで使うことも考えたいレンズだ。

興味本位からHASSELBLAD X2Dに装着して数枚撮影したところ、イメージサークルは圧倒的に足りていないがカラーキャストが無いことに驚いた。晴天下であれば十分に実用できそうなのでときどき持ち出したいと思う。それにしてもX2Dに装着した姿は美しい。

Cat・猫
HASSELBLAD X2D撮影例

このレンズは後玉が出っ張っているので、ライカのシャッター膜にかかりそうな気がするが、筆者が使った範囲だが、MマウントカメラではHexar-RF、Leica M6、M8、M8.2、M9、Mで問題がなかった。
しかし、シャッター膜ギリギリのところにレンズガードがくるため、膜がたわんだりゆがんだりすると事故につながる危険性はある。フィルムカメラでは裏蓋開けて、幕を上げると本当にギリギリのところにレンズガードがあって少々恐ろしくなる。
実際の撮影時にはカメラにボトムグリップをつけて使うのが無難と考える、普通にカメラボディを握って撮る場合、油断していると撮影結果の端に指が映り込んでいる。フィルム時代はこれで何度か痛い目を見た。いろんな意味で自己責任で使うレンズだ。

前玉がとても大きく美しいこのレンズは、実用性はなくとも眺めるだけで満足できることと、Gレンズ改造品を手元でコンプリートしているため、使う頻度は限りなく少ないがキープしている。
レンズ構成図を見てわかるとおり、前玉の貼り合わせがくせ者でバルサム切れと言われる剥がれが起きて気泡が発生した個体をいくつか見た。以前は修理もおこなわれていたようだが現在は不明である。
CONTAX専門の修理業者である、リペアサービス諏訪ではレンズの修理は都度ご相談とのことなので、気になる個体がある場合は検討のするのも良いと考える。

付属のファインダーは水準器がついている珍しいタイプだが、像がゆがんで見えてお世辞にもよい外付けファインダーとはいえない。自身がフィルムカメラで使用していたときはZeissの15mmファインダーかVoigtlanderのアングルファインダー(アタッチメント15mm)でフレームを決めていた。
EVF全盛の時代なのでこれを使うことは少ないだろうし、あまり実用性が高いものではないため、おまけでついてくればラッキーくらいで付属していなくても無理に入手する必要はないと思う。

中古市場では、オリジナルのGマウント、改造Mマウントの両方をみかける。
基本的な実用性が低いため売れないか、購入者がすぐに手放していると推察される。
筆者の個体はフィルム時代に購入したので中古で10万円を切る価格で購入できたと記憶している。Mマウント改造費用を含めて10万円程度というところだろうか、現在中古では20万円前後で流通しているので価格は高めで安定しているようだ。

数々のレンズのオマージュをリリースする中華勢だが、市場ニーズの低さとレンズの質量が大きく加工もめんどくさそうな本レンズは復刻する気にはならないだろう。

仕様・比較

項目HOLOGONBIOGONBIOGONPLANARPLANARSONNARVARIO SONNAR
焦点距離(mm)16.5212835459035-70
最大絞り8(固定)2.822.83.5-5.6
最小絞り16(フィルター装着)221622
レンズ構成3群5枚7群9枚5群7枚5群7枚4群6枚4群5枚8群13枚
最短撮影距離(m)0.30.51.0
レンズ長(mm)1135.530.531.538.563.054.0
レンズ最大径(mm)57595656565660
フィルター径(mm)
専用NDフィルターあり
554646464646
重量(g)120200150160190240290
重量(g)
Mマウント
124194
(222)*1
115161219
(259)*1
リリース年1994年1996年1994年1996年1994年1994年1999年
*1:フード+フィルター

参考文献・参考リンク

更新

  • 2024.07.31:改稿
  • 2024.02.15:改稿
  • 2022.01.24:初稿

広告

シェアする

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


コメントする

Shige's hobby