CONTAX HOLOGON T* 16mm(Ms-optics)
Kyocera / CONTAX Gマウントの16mm F8のレビューと写真作例
目次
ギャラリー
Leica M6 +Provia400X year 2012
HASSELBLAD X2D
LEICA M9
レビュー
ホロゴン16mmは個性的な外観で印象的なレンズで、CONTAX Gシリーズのレンズのなかで唯一のMade in Germany by Carl Zeissだ。
レンズスペックは絞りF8固定で暗く、周辺減光も大きいため、Filter Size値がさらに暗いF16になるフィルターを装着しなければ均一の像を得ることができない。
CONTX GシリーズのAF(オートフォーカス)、ライカM型のカメラ距離計にも連動しない。
あまり良い点を書き連ねることができず、正直なところ実用性はかなり低いが風貌が好みで使っているレンズだ。
CONTAX Gマウントのレンズを購入したがG1/G2ボディを売ってしまったあとに、MS-Optics(宮崎光学)でライカMマウントに改造していただいた。
フィルム撮影の場合は目測で撮影しても、よほど外れてなければ失敗写真になることはない。
デジタルカメラはよりピントにシビアであるため、目測では無くライブビューを使うのが無難と考える。
写りはギャラリーを見ていただければ分かるとおり、超広角16mmだが歪みは無くとても気持ちの良い直線を描く。ギャラリーはフィルムの写真をスキャンしてアップしており、古きフィルムの懐の深さを感じていただければと思う。このときは36枚撮りをして指が映り込んでいる写真も何枚かあった。
デジタルカメラでは、カメラセンサーによっては、周辺部にカラーキャストを起こすが、切れの良い画像はモノクロ向きであり、積極的にモノクロームで使いたいレンズだ。
興味本位からHASSELBLAD X2Dに装着して数枚撮影したところ、イメージサークルは圧倒的に足りていないがカラーキャストが無いことに驚いた。晴天下であれば十分に実用できそうなのでときどき持ち出したいと思う。それにしてもX2Dに装着した姿は美しい。
このレンズは後玉が出っ張っているので、ライカのシャッター膜にかかりそうな気がするが、筆者が使った範囲だが、MマウントカメラではHexar-RF、Leica M6、M8、M8.2、M9、Mで問題がなかった。
しかし、シャッター膜ギリギリのところにレンズガードがくるため、膜がたわんだりゆがんだりすると事故につながる危険性はある。フィルムカメラでは裏蓋開けて、幕を上げると本当にギリギリのところにレンズガードがあって少々恐ろしくなる。
実際の撮影時にはカメラにボトムグリップをつけて使うのが無難と考える、普通にカメラボディを握って撮る場合、油断していると撮影結果の端に指が映り込んでいる。フィルム時代はこれで何度か痛い目を見た。いろんな意味で自己責任で使うレンズだ。
中古市場では、オリジナルのGマウント、改造Mマウントの両方をみかける。
基本的な実用性が低いため売れないか、購入者がすぐに手放していると推察される。
筆者の個体はフィルム時代に購入したので中古で10万円を切る価格で購入できたと記憶している。Mマウント改造費用を含めて10万円程度というところだろうか、現在中古では20万円前後で流通しているので価格は高めで安定しているようだ。
前玉がとても大きく美しいこのレンズは、実用性はなくとも眺めるだけで満足できることと、Gレンズ改造品を手元でコンプリートしているため、使う頻度は限りなく少ないがキープしている。
レンズ構成図を見てわかるとおり、前玉の貼り合わせがくせ者でバルサム切れと言われる剥がれが起きて気泡が発生した個体をいくつか見た。以前は修理もおこなわれていたようだが現在は不明である。
CONTAX専門の修理業者である、リペアサービス諏訪ではレンズの修理は都度ご相談とのことなので、気になる個体がある場合は検討のするのも良いと考える。
付属のファインダーは水準器がついている珍しいタイプだが、像がゆがんで見えてお世辞にもよい外付けファインダーとはいえない。自身がフィルムカメラで使用していたときはZeissの15mmファインダーかVoigtlanderのアングルファインダー(アタッチメント15mm)でフレームを決めていた。
EVF全盛の時代なのでこれを使うことは少ないだろうし、あまり実用性が高いものではないため、おまけでついてくればラッキーくらいで付属していなくても無理に入手する必要はないと思う。
数々のレンズのオマージュをリリースする中華勢だが、市場ニーズの低さとレンズの質量が大きく加工もめんどくさそうな本レンズは復刻する気にはならないだろう。
仕様
項目 | HOLOGON | BIOGON | BIOGON | PLANAR | PLANAR | SONNAR | VARIO SONNAR |
焦点距離(mm) | 16.5 | 21 | 28 | 35 | 45 | 90 | 35-70 |
最大絞り | 8(固定) | 2.8 | ← | 2 | ← | 2.8 | 3.5-5.6 |
最小絞り | 16(フィルター装着) | 22 | ← | 16 | ← | 22 | ← |
レンズ構成 | 3群5枚 | 7群9枚 | 5群7枚 | 5群7枚 | 4群6枚 | 4群5枚 | 8群13枚 |
最短撮影距離(m) | 0.3 | 0.5 | ← | ← | ← | 1.0 | ← |
レンズ長(mm) | 11 | 35.5 | 30.5 | 31.5 | 38.5 | 63.0 | 54.0 |
レンズ最大径(mm) | 57 | 59 | 56 | 56 | 56 | 56 | 60 |
フィルター径(mm) | – 専用NDフィルターあり | 55 | 46 | 46 | 46 | 46 | 46 |
重量(g) | 120 | 200 | 150 | 160 | 190 | 240 | 290 |
重量(g) Mマウント | 124 | 194 (222)*1 | 115 | 161 | 219 (259)*1 | – | |
リリース年 | 1994年 | 1996年 | 1994年 | 1996年 | 1994年 | 1994年 | 1999年 |
参考文献・参考リンク
- WikipediaによるHOLOGON レンズの説明ページ
- Zeiss Photography Historical Products(リンク先ページ中段にCONTAX Gレンズのデータシートあり)
更新
- 2024.02.15:改稿
- 2022.01.24:初稿
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