DISTAGON 45 for CONTAX645
ライカSでは実用的な焦点距離のレンズ
Kyocera/Contax製中判・標準レンズ、DISTAGON 45mmのレビューと写真作例
目次
ギャラリー
- 写真作例の撮影はLEICA S typ007
レビュー
1.使用感
ディスタゴン 45mm F2.8はCONTAX 645カメラとともにリリースされたレンズで、ライカSシリーズで使うと35mm判換算ほぼ35mmとなり、広角レンズと標準レンズの橋渡しとなる実用性の高いレンズだ。コンタックス645で645フィルムを使用すると28mmと昔の広角レンズのスタンダードな焦点距離となる。
逆望遠型のレンズ構成で前群と後群の中央に分厚いレンズが配置され、ほとんどの場面で歪みが気になることもない。中判カメラの広角レンズを試すには良い選択だ。
フォーカス速度はそれほど速くはないが、遅すぎるほどではない。LEICA Sで使用すると電源を入れてから実際に撮影可能になるまでにワンテンポのラグがあり、こちらは気になることがある。
スリープ復帰からも同様で、カメラとレンズの通信確立に少し時間がかかるようだ。
35mm判換算で焦点距離36mmは使いやすい画角で、散歩をする際などの目的が明確でないスナップ撮影に重宝する。ライカSとディスタゴン45mmは2kg弱にはなるため軽快とは言い難いが、HCレンズや他のレンズと比べると若干マシと思える。
2.レンズ概要
7群9枚のレンズにしては800gありずっしりと重く、フィルター径はCONTAX 645レンズの汎用的なサイズである72mmを採用している。
レンズ付け根に絞り環を装備しているが、16038 [ライカ SアダプターC]を用いて、ライカSで使う場合は絞り環は無視され、カメラ側で絞り値を設定して撮影する。レンズ中央のフォーカスリングはフォーカスの最中に割り込みをかけることができる。
レンズフードは専用品(GB-71)、蛇腹フード(GB-B1)を使用する。
3.近スペックレンズとの比較と考察
DISTAGON 45mmは開放F値2.8と明るく絞り開放におけるボケの美しさなど、写りは大判対応レンズのゆとりを感じる。
中判一眼レフ形式のレンズと比較するのが妥当で、直接の比較対象としては、「ライカ エルマリート S f2.8/45mm ASPH.(Order no. 11077 | CS: 11078)」が当てはまる。こちらの定価は100万円近苦金額的な入手難易度が高い。また2023年現在商品は終売している。
机上のスペック比較は以下リンク先の仕様・比較に示すとおりだが、概要を記すと、エルマリート-S 45mmは重くて大きいが、9群12枚の贅沢なレンズ構成、非球面レンズの採用、ガラスの小さいリアフォーカスによるフォーカス速度の高速化など、最新の光学設計を取り入れている。MTFチャートの比較ではライカは27mm、ZEISSは35mmまで記載と記載範囲は違うが、エルマリートSとディスタゴンを比較すると、グラフはエルマリート-Sの圧勝であり、これはリリースが新しいこと、高価格なだけのことはあるレンズだと理解できる。しかし、エルマリート-S 45mmはセンサーサイズ45x30mmに最適化している割りには大柄なレンズで、これは一眼レフ向けの長いフランジバックに最適化されたレンズであるためと考えられる。
中判フィルムサイズをカバーするレンズとしては、HASSELBLADではHシリーズレンズに焦点距離45mmはなく焦点距離50mmのHC-50-II型がある。このレンズはレンズシャッターが組み込まれているため、DISTAGON 45mmよりも一回り多くなレンズとなっている。
中判デジタルセンサー向けレンズでは、HASSELBLADのXCD 45 F4P、FUJIFILMのGF50mmが焦点距離としては、近いもしくは同じだが、レンズがカバーするイメージサークルが44*33mmと小さいこと、フランジバックを短いミラーレスカメラに最適化されており、比較する対象ではないだろう。
仕様
レンズ名 | ディスタゴン45mm | エルマリートS45mm | HC 50mm-II | GF50mm |
焦点距離(mm) | 45.5 | 45 | 50 | 50 |
最大絞り | 2.8 | 2.8 | 3.5 | 3.5 |
最小絞り | 32 | 22 | 32 | 32 |
絞り羽根 | – | – | – | 9 |
レンズ構成 | 7群9枚 | 9群12枚 | 7群11枚 | 6群9枚 |
最短撮影距離(m) | 0.5 | 0.6 | 0.6 | 0.55 |
レンズ長(mm) | 99 | 132 | 116 | 48 |
レンズ最大径(mm) | 80 | 88 | 85 | 84 |
フィルター径(mm) | 72 | 82 | 77 | 62 |
重量(g) | 821 | 1030 | 975 | 335 |
リリース年 | 1999 | 2013/10/10 | 2016? | 2019/9/26 |
価格 | 250,000円 2023年中古価格7万円〜 | シャッター無し847,000円 シャッターあり979,000円 | 650,000円 | 138,500円 |
参考文献・参考リンク
更新履歴
- 2024.9.1
- 2024.03.04:改稿
- 2023.05.14:初稿
広告
- 表示される外部リンクの一部は広告となっており、クリックするとサイト管理者に収入が発生する可能性がある。本ウェブサイト維持のためご理解とご協力をお願いする。
- アフィリエイトリンクについては、こちらを参照のこと。