ご長寿広角レンズ ELMARIT M 21mm

ご長寿広角レンズ ELMARIT M 21mm
eye catch

LEICA ELMARIT M 21mm F2.8をデジタルレンジファインダーカメラ LEICA M10 & LEICA M9とレンジファインダーカメラ LEICA M6で使用したレビューと写真作例

目次

ギャラリー

写真作例の撮影は以下のカメラ、フィルム、フィルムスキャナを使用した。

レビュー

Before imageAfter image

1.概要

エルマリート(エルマリット) 21mm F2.8は1979年に発売され20年間販売された長寿の広角レンズ。

主な仕様は以下の通りで、詳細は表に載せている。

  • 開放F値 2.8
  • レンズ構成 6群8枚
  • 絞り羽根 8枚
  • 最短撮影距離 0.7m
  • ライカMレンジファインダーカメラ距離計連動 0.7m
  • フード 専用フード(12543 / 12537)

本レンズのバリエーションは以下の3種類で、レンズ構成はいずれも同一である。
最初期型と言われる最短撮影距離の短いレンズはプレミア価格で売られている。

M型ライカの内蔵ファインダーには21mmのファインダー枠がないため、撮影範囲の確認のために外付けファインダーを用意する必要がある。

2.使用感

エルマリート 21mm F2.8の描写は絞り開放で周辺が少し流れたり、全体的に描写が甘く20年後に発売される非球面版ELMARIT 21mmのようなキレキレの描写ではない。
もちろん、30年以上前の古いレンズなので所有していたレンズの経年劣化による影響は否定できない。

フィルムレンズの作例をみると、露出をアンダー気味に撮るとよい感じで深みと軟らかさを持った画像を得ることができる。デジタルで撮った場合は、画像処理をしないとあっさりめの画像となる。

エルマリート 21mm F2.8はレトロフォーカスのレンズ構成を採用しており、対称型レンズでみられるデジタルセンサーによる周辺部のカラーキャストはほとんどみられなくなった。広角レンズなので周辺減光は少し見られ、またレンズコーティングが発展途上のレンズのため正面方向に太陽を入れると妖しげな光を拾うことがある。これは専用のフードをしていてもあまりカットできない。作例4枚が逆光時の怪しい光を拾っている。

このレンズは少し古い広角レンズ特有の前玉とその枠が大きな鏡筒をしている。この広角レンズ然としたレンズ鏡筒の姿が好みで、レンズの前期型を使って手放したあと後期型を再入手している。21mmの使用頻度から最終的には売ってしまい手元にない。

フォーカスリング、絞りリングの操作性は、まともに整備されたレンズであれば、同年代のライカレンズと同様にスムーズな操作性を持っている。2025年現在ほとんど意味は無いが、ライカMマウントレンズ固有の6bitコードを付加することも可能だ。

3.まとめ

結論としてエルマリート 21mm F2.8をまとめると、古い広角レンズなので、キレるような解像感のある描写は期待できない。広角レンズで柔らかな描写をしてもそれほどメリットが無いため、風景をメインに撮影するなら、より設計の新しいレンズが向いている。

本レンズの価格も他のライカレンズ同様に上昇傾向にあるため、デジタルカメラでの使用がメインであれば、お勧めしづらいレンズだ。

仕様・考察など

ライカ 21mmレンズ

ライカのMマウント21mmは、シュナイダー社製スーパーアンギュロン 21mmからはじまり、このエルマリート21mmから自社設計となり1979年から1997年頃まで製造、販売された。
その後継として、1997年に非球面レンズを採用し、凹凸の少ない鏡筒のエルマリート 21mm ASPH.が発売された。
その後、スーパー・エルマー 21mm、ズミルックス 21mmなど、21mmのラインナップが広がっている。

このレンズの前モデルとなるシュナイダー社設計のMマウント・スーパーアンギュロン 21mmは、レンズ後玉がフィルム、センサーに近いため、一部のデジタルカメラではセンサーに入射する太陽光の角度によって撮影画像の周辺に紫色のカラーキャストが発生することがある。

外付けファインダー

撮影範囲確認用のファインダーは、ライカ製の古いスチール製ファインダーを使っていた。
このファインダーは前面ガラスの端が欠けており、それほどファインダーの見え方は良いものではないけれど、カメラに付けたときの見た目のよさで愛用している。
CARL ZEISSのBIOGON 21mm ZMと同時にリリースされた21mmファインダーの見え具合はとてもよい。
CONTAX BIOGONmm、AVENON 21mmに付属するファインダーも使用したけれど、見え具合は今ひとつだ。

ファインダーの見え具合としては、CARL ZEISS(ZM版) > LEICA >CONTAX=AVENONの順だった。

ELMARIT 21mmとELAMRIT 21mm ASPH.のレンズ構成を比べると、比較的似たレンズ構成をしており、ELAMRIT 21mm ASPH.はELMARIT 21mmの発展系と言うことが見てとれる。

  • レンズ構成図は各社の配付資料から引用し、サイズはこちらで調整しているため厳密ではない。
Before imageAfter image
項目エルマリート 21mm F2.8エルマリート 21mm F2.8 ASPH.
焦点距離(mm)2121
最大絞り2.82.8
最小絞り2216
レンズ構成6群8枚7群9枚
絞り羽根8枚8枚
最短撮影距離(m)0.70.7
レンズ長(mm)46.546
レンズ最大径(mm)6258
フィルター径(mm)E60E55
フード12543(旧・ピン)
12537(新・フック)
12592
14041
リリース年19791997
製造本数13,9307,250
重量(g)290415(シルバー)
300(ブラック)

参考情報

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更新履歴

  • 2025.9.22
  • 2025.4.18
  • 2024.8.21
  • 2024.03.11
  • 2023.10.20
  • 2022.10.15

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