ELMARIT M 21mm ASPH.
ライカ・エルマリート M 21mm ASPH.のレビューと写真作例
目次
ギャラリー
- 写真作例は愛知県の明治村でLEICA M6 +KODAK E100VSで撮影しNIKON COOLSCAN ED Vでスキャンした。
レビュー
エルマリート M 21mm ASPH.は、ASPH.とあるように、非球面レンズを採用した21mmの広角レンズ。
ズミクロン28mm以降に非球面レンズが採用されたレンズの一本で、写りは過去の広角レンズの粗をよく研究してそれが解消されたレンズで、素の状態で歪みや周辺減光などが気になることはほとんどない。また、ボケが汚いなど非球面のネガティブな面も感じることはない。
意匠はレンズ先端が少し小さくなり、フィルターサイズはE55(55mm)に変更された。
この時期のレンズはライカオリジナルのフィルター径E60(60mm)を脱却し通常のフィルター径に戻りはじめた時期になる。(2023年現在のライカレンズは、67mmや82mmなど、一般に流通するフィルター径を採用している。)
レンズのフォーカスリングには、しっかりと指にかかるフォーカスレバー(指掛けレバー) があり、ライカマニュアルフォーカス特有の滑らかな回転とあいまって、撮影のはかどるレンズである。
中古では当然だがこのフォーカスリングの回転状態は必ず確認することをお勧めする。滑らかに加点しないレンズは、鏡筒が歪んでいるか、グリスが異常を起こしている可能性が高いため、メンテナンスが必要になる。ライカレンズの場合メンテナンス費用も高額な場合があるため、あらかじめ納得のいく品を購入する方がいろいろな意味で幸せだと思う。
この非球面仕様の21mmは製造時期によって、6ビットコードが付加されたものと付加されていないものがある。付加されていないものはライカで有償にて6bitコードを付加したマウント部品と交換してもらえる。
球面仕様のELMARIT 21mmは、販売された時期に6bitコードが存在しなかったので、ほとんどのレンズに6bitコードは付加されていないが、こちらもLEICAカスタマーサービスで交換を依頼できる。
SUPER ELMARは販売された時期からすべてのレンズに6bitコードがついている。
本レンズはコンパクトな見た目とは違い、レンズを構成するガラス枚数が増えたため、球面タイプの前モデルより重くなり、カメラに装着してカメラをかまえると旧エルマリート 21mmと比べて、ずっしりした重さを感じる。
手ぶれ防止の観点からもカメラとレンズには、ある程度の重量は必要だと思っているが、このレンズはM型ライカに装着するとちょうどよいバランスとなると感じる。
このレンズを使っていたときは、デジタルカメラのライカ M9とフィルムカメラのライカ M6を併用していた時期にあたり、写真作例には、ライカ M6 + リバーサルフィルムで撮影した結果を載せている。
リバーサルフィルムは、NIKONのCOOLSCAN ED VとスキャンソフトウェアVueScanで電子データに変換している。
本レンズの属する非球面広角シリーズは、28mm,24mm,21mm,18mmとリリースされ、そのうち21mmと24mmは兄弟レンズでフードは同一で鏡筒もほぼ同じだ。
数年後に21mm、24mmは開放F値が少し暗いエルマー・シリーズにリプレースされ、2023年現在の現行レンズはSUPER ELMAR 21mmとELMAR 24mmとなる。21mmのみSUPERと名がついているのは、SUPER ANGLONからの名残かもしれない。
レンジファインダーカメラの性質上、単焦点レンズが多くなるのは当然のことだが、レンジファインダーレンズをつくるライカとコシナの単焦点レンズの豊富さは、レンズ遊びをする者にとってはとても魅力的である。
また、これを書いている2023年のSIGMA単焦点レンズの充実ぶりは、カメラメーカーでありながら、他社へのレンズ供給をおこない続けるサードパーティーの立ち位置も崩さない、シグマ独特の取り組みとして面白い。
仕様・比較
項目 | ELMARIT | ELMARIT ASPH. | SUPER ELMAR |
焦点距離(mm) | 21 | 21 | 21 |
最大絞り | 2.8 | 2.8 | 3.4 |
最小絞り | 22 | 16 | 16 |
レンズ構成 | 6群8枚 | 7群9枚 | 7群8枚 |
絞り羽根 | 8枚 | ← | ← |
最短撮影距離(m) | 0.7 | ← | ← |
レンズ長(mm) | 46.5 | 46 | 43 |
レンズ最大径(mm) | 62 | 58 | 53 |
フィルター径(mm) | E60 | E55 | E46 |
フード | 12543(旧・ピン) 12537(新・フック) | 12592 14041 | 12465 |
リリース年 | 1979 | 1997 | 2011 |
製造本数 | 13,930 | 7,250 | – |
重量(g) | 290 | 415(シルバー) 300(ブラック) | 279 |
参考文献・参考リンク
- LEICA WikiによるElmarit M 21mm f/2.8 ASPH.の説明
- ライカのレンズ P42に紹介記事あり(リンク先はアマゾンアフィリエイト)
更新履歴
- 2024.07.24
- 2023.12.14
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