LEICA ELMARIT R 19mm 1st

ラッパ型旧世代の広角レンズ

ライカ・エルマリート 19mm F2.8 1型のレビューと写真作例

目次

ギャラリー

  • 写真作例の撮影は LEICA SL typ601

レビュー

エルマリート(エルマリット)19mmは、1975年にリリースされたライカRマウント用の広角レンズ。

ここで紹介する1型は、すでに50年程度経過したレンズで、外観は古式な広角レンズ然とした立派な前玉を持つレンズだ。外観はロシア製のMir-20M(20mm/F3.5) の前期型とよく似ているが、このレンズもマイナーなレンズなので、姿が浮かぶ人は少ないと思う。

設計製造はLEICAオリジナルで広角レンズの設計を自社化した初期のレンズで、フードはこの時代のLEICAレンズによくある、2本のピンで固定するバヨネット式だ。このレンズはフードを装着するととても大柄になり、19mm II型のコンパクトさに慣れていると持ち出しに躊躇する大きさである。LEICA SL typ006に装着するとボディとレンズのバランスはよいが、押しの強い迫力のある姿になる。

Rマウントの広角レンズは、焦点距離21mm、15mmについては、ツァイス、シュナイダーから技術提供もしくはOEMで調達していたが、この19mmは初代、2代目ともにライカ設計、製造となっている。販売量と設計にかかる費用を天秤にかけた結果かも知れないが、この時代に何があったのかは興味深い。

このレンズも以前から中古市場で見かけることが少ないレアレンズの一つだが、描写は古い設計の広角レンズなりで、撮影結果から広角レンズ特有の歪みが気になることがある。所有個体は古いレンズでガラスに劣化が見られることもあり、順光時でも少しぼんやりしたコントラストが低い描写となり、、逆光時はゴーストかフレアによる妖しげな光の映り込みと極端なコントラストが低下が見られた。

被写体に寄りつつ周囲を包み込む広角レンズの特性は十二分に味わえるため、描写はデジタル補正でなんとかなるところもあり、中古価格が安ければ使ってみて損は無いレンズだと思う。
実用的な性能だけを考えた場合、Carl ZeissのZシリーズ・Distagon 18mmなどをチョイスするのが無難と思える。

レンズには、1カム、2カム、3カムが用意されており、正規のROM端子付きは製造されていないはずで、改造ROM端子付きも中古市場で見たことが無い。製造年数が長く総製造数8200本と数がある割には市場で見かけることが少ないレアレンズの一つ。

本レンズは中古屋に委託して売れ残っていた自身のズミルックス R 80mm / 3カムと交換で入手した。すでに新型の19mmを持っていたので、所有する必然性は低かったが、使ってみたい好奇心が勝り入手した。しかし、前述のように描写に見るべきところが無かったので、早々に売却した。

仕様・比較

項目I型II型備考
焦点距離(mm)1919
最大絞り2.82.8
最小絞り1622
レンズ構成7群9枚10群12枚
絞り羽根66
最短撮影距離(m)0.30.3
レンズ長(mm)5860マウント面からの距離
レンズ最大径(mm)8871
フィルター径(mm)82
重量(g)815560
製造本数8,2005,900
リリース年1975-19871990-2003

参考文献・参考リンク

更新履歴

  • 2024.7.30
  • 2024.04.12
  • 2023.12.14
  • 2022.12.31

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