ラッパ型広角レンズ ELMARIT R 19mm 1st

ラッパ型広角レンズ ELMARIT R 19mm 1st

ライカ エルマリート(エルマリット) 19mm F2.8 1型のレビューと写真作例

目次

ギャラリー

  • 写真作例の撮影は LEICA SL typ601

レビュー

1.概要

ELMARIT R 19mm 1stは、1975年にリリースされたライカRマウント用の広角レンズ。

このレンズは設計、製造はライカがおこなっており、ライカが自社で広角レンズの設計をした初期のレンズだ。
レンズフードは型番12529でこの時代のLEICAレンズによくある、2本のピンで固定するバヨネット式だ。

主な仕様は以下の通りで、詳細は表に載せている。

  • 開放F値 2.8
  • レンズ構成 7群9枚
  • 絞り羽根 6枚
  • 最短撮影距離 0.3m
  • フード 専用ピン止めフード(型番12529

2.使用感

ELMARIT R 19mm 1stの描写は、古い設計の広角レンズなりで、被写体との距離によっては広角レンズ特有の歪みが目立つ場面がある。

所有個体は古いレンズでガラスに劣化が見られたため、順光時でも少しぼんやりしたコントラストが低い描写をし、逆光時はゴーストかフレアによる妖しげな光の映り込みと極端なコントラストが低下が見られる。

また、レンズにフード 12529を装着するととても大柄なレンズとなり、ELMARIT R 19mm II型のコンパクトさに慣れていると持ち出しに躊躇する大きさである。LEICA SL typ006に装着するとボディとレンズのバランスはよいが、カメラバックへの収まりが悪く、野外で使用すると押しの強い迫力のある姿が目立つ。

レンズは1カム、2カム、3カムが用意されており、正規のROM端子付きは製造されていないはずで、改造ROM端子付きも中古市場で見たことが無い。製造年数が長く総製造数8200本と数がある割には市場で見かけることが少ないレアレンズの一つ。

本レンズは中古屋に委託して売れ残っていた自身のズミルックス R 80mm / 3カムと交換で入手した。すでに新型の19mmを持っていたので、所有する必然性は低かったが、使ってみたい好奇心が勝り入手した。しかし、前述のように描写に見るべきところが無かった。

ここで紹介する1型は、すでに50年程度経過したレンズで、外観は古式な広角レンズ然とした立派な前玉を持つレンズだ。外観はロシア製のMir-20M(20mm/F3.5) の前期型とよく似ているが、このレンズもマイナーなレンズなので、姿が浮かぶ人は少ないと思う。

3.まとめ

結論としてELMARIT R 19mm 1stをまとめると、古い時代の広角レンズで、被写体に寄りつつ周囲を包み込む広角レンズの特性は十二分に味わえる。予算に合うものがあれば使ってみて古い広角レンズの味を楽しむのも良いだろう。

しかし、曇りの発生している個体の場合、撮影結果のコントラスト低下、ゴースト、フレアの発生がみられることを覚悟する必要がある。また、広角レンズは設計が新しいものほど、よりよく収差が補正され、描写の歪みが押さえられているため、全面がフラットで隅まできちんと描写するレンズを望む場合は、古いレンズを使うとがっかりすることになる。

仕様・比較

ELMARIT R 19mmを新旧で比較すると、旧型(I型)が大きいことがよくわかる。古い広角レンズの設計は前玉を大きくすることで焦点距離を短くする設計が主流だった歴史をあらわしている。

それにくらべ新型はモダンな設計になっており、同じ仕様ながらレンズ径旧型の88mmから71mmになりコンパクトな鏡筒になっている。

レンズ構成図は各社の配付資料から引用し、サイズはこちらで調整しているため厳密ではない。

Before imageAfter image
項目I型II型
焦点距離(mm)1919
最大絞り2.82.8
最小絞り1622
レンズ構成7群9枚10群12枚
絞り羽根66
最短撮影距離(m)0.30.3
レンズ長(mm)5860
レンズ最大径(mm)8871
フィルター径(mm)82
重量(g)815560
製造本数8,2005,900
リリース年1975-19871990-2003

参考情報

更新履歴

  • 2025.6.6
  • 2024.7.30
  • 2024.04.12
  • 2023.12.14
  • 2022.12.31

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