ロングライフ ELMARIT R 28mm 1st

ELMARIT R 28mm 1stをフィルムとデジタルカメラで使用したレビューと写真作例
- 本サイト表示の広告詳細は本リンク先に記載、本文の斜め文字のリンクはアフィリエイトリンク
目次
ギャラリー
写真作例の撮影は以下のカメラを使用した。
- LEICA R8 +lomography lady gray BW 400・一眼レフフィルムカメラ
- CANON EOS-1D Mark-IV・デジタル一眼レフカメラ
- LEICA SL Typ601・ミラーレスカメラ
- LEICA M Typ240・デジタルレンジファインダーカメラ &ミラーレスカメラ
- SONY α7Sii・ミラーレスカメラ
- SONY α7・ミラーレスカメラ
- FUJIFILM X-Pro1 +SPEED BOOSTER R 0.71・ミラーレスカメラ
- ギャラリーは写真をクリックすると拡大表示となる
レビュー


1.概要
ELMARIT R 28mm 1stはRマウントレンズの中ではモデルライフの長い長寿なレンズで、1970年から1992年までの22年間に途切れること無く5万本ほど作られた。他のモデルライフが長いレンズは生産した在庫が無くならないためか、ときどき生産休止をしているレンズもみられるため、このレンズは息長く売れ続けたレンズということになる。
このレンズがリリースされた1970年はフィルムカメラLEICA FLEXの時代で、製造終了となる1992年はLEICA R7のリリース年となっているため、ライカ一眼レフカメラとともに歩んだレンズと言える。
レンズ構成は8群8枚ですべてのレンズが独立し貼り合わせ面はなく、絞り羽根は8枚、最短撮影距離は0.3m。
詳細な仕様とLEICA ELMARIT R 28mm-II型の比較は「仕様・考察など」に記載している。
2.使用感
ELMARIT R 28mm 1stの描写は、端正で隅まで不満のない解像度で、周辺光量落ちもほとんど感じない。これは、下に掲載したHASSELBLAD X2D-100Cの作例からも分かり、35mm判で使用するには必要十分な性能がある。
このことは、新しい後期型もしくはII型と呼ばれるレンズに変わるまで、このレンズが20数年売られ続けた実力を示していると言える。
レンズはコンパクトな筐体に8群8枚のレンズが詰まって重量感があり、レンズにライカ 12509・プラスチックフードを付けて完成するデザインとなっている。フードがない見た目は先がすぼんだおちょぼ口でとなり、あまり格好良くは無い。
35mmフルフレームセンサー以外のセンサーにおける35mm判換算焦点距離は以下のとおりだ。
- APS-H= 28*1.3 =36mm
- APS-C(CANON)= 28*1.6 =45mm
- APS-C= 28*1.5 =42mm
- APS-C +SPEED BOOSTER = 28*1.5*0.71 =30mm
■フィルムカメラ
LEICA R8+モノクロフィルムの結果をみると、lomography lady gray BW 400ではハイライト、シャドウともに階調がしっかり残っており中間部も滑らかで申し分ない。
適切な露出で使用すればレンズはしっかりとフィルムに結果を残すことができる。
デジタルカメラの結果からより解像度の高いリバーサルフィルムでも問題はないと思われる。
■デジタル一眼レフカメラ
キヤノン製デジタル一眼レフカメラでマウントアダプターを介して使用する場合、CANON EOS 1D Mk-IVは問題なく使用できる。1D Mark-IVは焦点距離36mm相当の広角レンズとなり、本来の焦点距離より少し狭いが、35mmレンズの代替として使用できる。
描写については1600万画素の1D Mark-IVで撮影した結果に大きな破綻は見られない。
1D Mark-IVは修理可能期間が終了した関係から、2025年現在かなり中古市場価格が下がっており以前使用していたLEICA R8、R9をデジタルカメラにコンバートするDMR(Digital Module R)とほぼ同じセンサーサイズということもあり、DMRの代替カメラとして導入した。
35mmフルフレームセンサーのEOS 1Ds Mk-IIIはカメラミラーがレンズの後玉と干渉しエラー20(Err20)が表示され使用できなかった。CANON EOS 7DはAPS-Cサイズセンサーを搭載しておりカメラのミラーが小さいため問題なく使用できる。
ライカRマウントレンズのEOSデジタルで使用した結果をまとめたデータベースがリンク先にある。この情報は一部当方の所有しているレンズの結果と異なる部分があるため、当方で作成したページ「APS-Hラストフラッグシップカメラ CANON EOS-1D Mark-IV」も参照していただけると情報の補完となる。
■ミラーレスカメラ
両カメラともに2400万画素のイメージセンサーを搭載しており、レンズは画素数を十分に生かせている。
LEICA SL Typ601は「LEICA L用Rレンズアダプター 16076」を経由してROM端子のないRマウントレンズを装着するとカメラに登録されたRマウントレンズリストからレンズ名を選択して撮影画像のExifにレンズ情報を登録できる。
LEICA M Typ240は「LEICA M用Rレンズアダプター 14642」を経由してRマウントレンズを装着すると、カメラに登録されたRマウントレンズリストからレンズ名を選択して撮影画像のExifにレンズ情報を登録できる。こちらの機能はデジタルMマウントの6bitコードの機能を利用している。このRマウントのレンズ情報を持っているのはEVFが利用可能なデジタルMマウントカメラだけと考えられる。


SONY α7は2400万画素、SONY α7Siiは1200万画素で、このくらいの画素数であれば描写は問題ない。
使い勝手についてはピント調整についてはEVFの拡大機能を使うことにより正確にピント位置を決定でき、ミラーレスαは2代目から手ぶれ補正機構を搭載しているため、Rマウントレンズを使い易くなっている。
ソニーカメラは標準機能ではマニュアルフォーカスレンズの焦点距離や名前の情報をExifに登録する方法がないため、撮影後にExifを編集するか、すでに販売の終了したアプリを使う必要がある。
X-Pro1はFUJIFILMのAPS-Cサイズセンサーを搭載したカメラで、SPEED BOOSTERはフォーカルレデューサーで、センサーサーズでカットされる情報を拡大鏡によって補うことができる。絞り値が1段明るくなるメリットはある。描写は中央部は大きな画像の劣化は見られないが、周辺部は35mmフルフレームセンサーカメラの撮影結果と比べると歪みが増幅され描写の悪化が見られる。フォーカルレデューサーを使うとオリジナルレンズに近い焦点距離を得られるが、周辺部の描写が許容できるかは撮影者次第で周辺部の描写がそもそも怪しいレンズはその悪さがより強調されるので注意が必要だ。
中判デジタルカメラのHASSELBLAD X2D-100Cで使用したところ、周辺部でケラレがみられるが、35mm判よりは広いイメージサークルを持っており、35mm判では余裕があることがわかる。周辺部を落としても不自然で無い場面ではシーンによってはトリミングしなくても十分に使える。
下写真はHASSELBLAD X2D-100Cで撮影した結果で、撮影はセンサーシャッター(電子シャッター)を使用している。


このレンズは2度購入しており、2023年に再購入してデジタル一眼レフカメラ、ミラーレスカメラ、LEICA R8にフィルムを詰め込んだりして使っている。
3.まとめ
結論としてELMARIT R 28mm 1stをまとめると、フィルム時代の広角レンズで歪みも少なく、絞ればそれなりに解像するため、通常に使用には不満が無い。
デジタルカメラで撮影すると解像感や平坦性は現代レンズと比べると劣るが、それを描写の味として楽しむならアリのレンズだ。
20年にわたって作られた、1型エルマリート R 28mmは、年代毎に細かな意匠は異なるが、レンズの基本的なところは変わっていない。写りに疑問がある場合はレンズの曇りや劣化の可能性が疑われるためオーバーホールをお勧めする。
仕様・考察など
ELMARIT R 28mm 1stの絞り羽根は8枚あり、標準のエルマリートシリーズが絞り羽根6枚を採用しているのと比べると、少し贅沢な絞り羽根を採用している。これはライカRマウントレンズにおいて焦点距離28mmにより上位のズミクロン、ズミルックスが企画されなかったためと考えられる。
ライカRマウントの焦点距離28mmのレンズは、エルマリート 28mm以外では、特殊な「パースペクティブ・コントロール」機能を備えたPC-Super-Angulon 28mmだけだ。
フィルターはライカ 12509・プラスチックフードに挿入する場合、ネジの無いドロップインのシリーズ7フィルターを使用でき、それ以外に48mm径のフィルターをレンズ前方にねじ込むことができる。先端にねじ込む48mmフィルターはライカ独自のフィルター径で市場の数が少なく、それほど綺麗でない中古品でも高価格で流通している。
ライカ 12509・プラスチックフードは、中古市場でライカフードにしてはそこそこ安く、そして個数も多いためフードなしでレンズ購入してフードを探しててもそれほど大きな出費にはならない。
再購入時はフードが付属していなかったため、中古のレンズフードを探して購入したら7,000円ほどであった。
また、ライカ 12509・プラスチックフードはエルマリート R 35mm II型と共通で使用できる。
ライカRマウント特有のレンズCAMは、このレンズについて1-CAM、2-CAM、3-CAM、R-Only-CAMが正式にリリースされていることを確認している。
自身が知るかぎり正式なROM端子付きレンズはリリースされていないはずだが、R-Only-CAMについて以前はリリースされていないと思っていたが、1987年版のエルマリートを手に入れたらR-Only-CAMだったということがあるため、ROM端子付きも正式版についてもリリースされているかもしれない。なんにせよ、ELMARIT R 28mm 1stのROM端子付きレンズは数が少なく、中古市場に出るときはROM無しレンズとくらべて価格が高価になる。
通常の黒色レンズは総製造本数5万本と数が多いため、中古市場では常時数本見かけ、2020年代においても比較的いつでも購入できるレンズである。また、NIKON-Fマウントに改造されたレンズを見かけることもある。特別バージョンであるLEICA R3 サファリと一緒に売られたオリーブ色は生産数が少なくレアなため通常の黒鏡筒よりかなり高価で取引されている。


項目 | ELMARIT I型 | ELMARIT II型 |
焦点距離(mm) | 28 | 28 |
最大絞り | 2.8 | 2.8 |
最小絞り | 22 | 22 |
絞り羽根 | 8 | 6 |
レンズ構成 | 8群8枚 | 7群8枚 |
最短撮影距離(m) | 0.3 | 0.3 |
レンズ長(mm) | 40 | 48 |
レンズ最大径(mm) | 63 | 67.5 |
フィルター径(mm) | シリーズ7、48 mm | 55 |
重量(g) | 390 | 435 |
フード | 12509 | 組み込み |
マウント | ライカR | ライカR |
製造本数 | 50,510(1992年まで) | 3,700(2002年まで) |
リリース年 | 1970〜 | 1993〜 |
参考情報
- R型ライカのすべて/著者:中村信一/朝日ソノラマ編 Ads by Amazon
- Canon Leica-R Compatibility Database
- Elmarit 28mm F2.8 Leica wiki
- ELMARIT R 28mm 2nd・Shige’s hobby
- LEICA R8・Shige’s hobby
- CANON EOS 1D Mk-IV・Shige’s hobby
- LEICA SL Typ601・Shige’s hobby
- LEICA M Typ240・Shige’s hobby
- SONY α7Sii・Shige’s hobby
- SONY α7・Shige’s hobby
- FUJIFILM X-Pro1・Shige’s hobby
広告
- 広告リンクは商品写真、価格、送料など確認し複数サイトで比較することをお勧めする。
- LEICA Rレンズ・Ads by Rakuten
- LEICA L39 レンズ・Ads by Rakuten
- LEICA M レンズ・Ads by Rakuten
- ライカレンズ・Ads by Amazon
- ライカデジタル・Ads by Amazon
- ライカボディ・Ads by Amazon
- ライカアクセサリー・Ads by Amazon
- ライカ書籍・Ads by Amazon
- LEICA R-Adapter-L (16076)・Ads by Amazon
- LEICA R8・Ads by Rakuten

Amazon Prime Sale
更新
- 2025.9.19
- 2025.7.1
- 2025.1.3
- 2024.03.09:改稿
- 2023.11.19:初稿
コメントを残す