3枚玉広角レンズ MS-PERAR 21mm F4.5

3枚玉広角レンズ MS-PERAR 21mm F4.5

Ms-optics PERAR(ペラ) 21mm F4.5をフィルムカメラとデジタルカメラで使用したレビューと写真作例

目次

ギャラリー

  • 写真作例の撮影カメラはLEICA M8、LEICA T typ701、HEXAR RF +Rollei B&W 640(フィルム)

レビュー

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1.概要

MS-PERAR 21mm F4.5は2015年にリリースされたMs-optics(宮崎光学)全体では6製品目、トリプレットシリーズとしては4つめとなる広角レンズだ。レンズ銘板にSUPER TRIPLEと表記があるように、レンズは3群3枚のトリプレット構成でPERAR(ペラ)の名称を与えている。

レンズの詳細な仕様は表に載せているが、主な仕様を抜粋すると以下の通りである。

  • レンズ構成は3群3枚
  • 絞りはF4.5~F16
  • 絞り羽根は10枚
  • レンズ厚みは5mm
  • 最短撮影距離は0.5m
  • ライカM型レンジファインダーカメラの距離計連動範囲は0.8m
  • フィルターはレンズ前面に25mm径フィルターをねじ込む
  • フードは専用の25mm径のラッパ型フードが付属

2.使用感

MS-PERAR 21mm F4.5の描写は、3枚という少ないレンズによる抜けのよさが特徴で、3枚というシンプルなレンズでこれだけの画質を得られることに驚きを感じる。ギャラリーに掲載した縮小画像でも若葉の描写などで実感いただける。

とてもコンパクトなレンズだが操作性に問題はなく、ピントは鏡筒下部のピントレバーをスライドさせてスムーズなピント合わせができる。絞りは鏡筒前部にあるため、そこに装着したフードを回すことにより変更できる。絞りにクリックストップはないため、正確な絞り値は目視で確認する必要がある。

レンジファインダーカメラの距離計連動は0.8mと制約されるけれど、最短撮影距離は0.5mとなっており、目測もしくはミラーレスカメラでEVF(電子ビューファインダー)を使用すればより寄った撮影が可能である。

しかし、3枚玉なので完璧な補正はできておらず、周辺部の像面湾曲による像の流れ、若干の糸巻きの歪みが発生する。また、レンズ後端がセンサー面に近いため、ライカM typ240のような造りの古い35mm判フルサイズセンサーカメラでは、過大な周辺減光の発生、絞り開放で青空を撮影した際に光線角度によって撮影画像の周辺部にカラーキャストが現れる。

それらを回避するための方法の一つは、より小さいサイズのセンサーを使い問題となる周辺部をカットすることだ。

  • APS-Hサイズセンサーは27mmとなり、広角28mmの代用となる。
  • APS-Cサイズセンサーは32mmとなる。
  • マイクロフォーサーズでは42mmとなる。

そして、モノクロームで撮影すると先述した欠点は緩和されるためモノクロームで使うこともお勧めできる。

中判デジタルカメラである、HASSELBLAD X2D-100Cで使用したところ、周辺部でケラレがみられイメージサークルは35mm判が限界だ。純正フード、フィルターは35mm判では問題ないけれど中判デジタルカメラではケラレる面積の拡大に繋がるため装着しない方がよりベターな結果となる。また、光の入射角によってはもう少し広く使え、下作例では太陽が上にあるため下方向に使える範囲が広くなっていることがわかる。
そして、X2D-100Cのセンサーは周辺部でカラーキャストをおこさないのは好ましい。

下写真はHASSELBLAD X2D-100Cにて撮影、センサーシャッターを使用。

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3.まとめ

結論としてMS-PERAR 21mm F4.5をまとめると、レンズ厚みは5mmで鏡筒はフラットなボディキャップに近い厚みをしており、ペラシリーズの特徴であるコンパクトなレンズはフィルムカメラであればMINOLTA CLE、デジタルカメラではSONY α NEX、α5000、α6000シリーズ、LUMIX GM5などのボディが小さなカメラによく似合うレンズだ。

コンパクトな広角レンズでフィルムカメラに装着して、F8程度に絞りこんでパンフォーカスでスナップすることに向いている。フィルムでは周辺部の落ち込みが主題を浮き上がらせる効果がありドラマチックな描写となる。

仕様・考察

Ms-Opticsのリリースした3群3枚のトリプレットレンズPERARシリーズは、4本のレンズがありMS-PERAR 35mm F3.5MS-PERAR 28mm F4MS-PERAR 24mm F4があり、このMS-PERAR 21mm F4.5がもっとも広角なレンズとなる。

焦点距離21mmは広角レンズの主戦場でさまざまなメーカーからレンズがリリースされている。本レンズのスペックである21mm / F4.5クラスのレンズは、フォクトレンダーのCOLOR SKOPAR 21mm F4PRussiaのRussarがある。

以下、比較表に示しているとおり、3つのレンズの中でも、PERAR 21mmはもっともコンパクトなレンズとなる。

いずれのレンズも、PERAR 21mm同様に、35mm版フルサイズセンサーで使用した場合、周辺減光や周辺部でのカラーキャストが現れる可能性が高い。レンズは大きくなるけれど、レトロフォーカス型のレンズは、周辺光量も確保されカラーキャストが現れることはほとんど無いため、デジタルカメラでは使いやすい。

製造者Ms-opticsVoigtlanderLOMO x ZENIT
項目PERARCOLOR SKOPARNew Russar+
焦点距離(mm)212120
最大絞り4.545.6
最小絞り162222
絞り羽根10106
レンズ構成3群3枚6群8枚4群6枚
最短撮影距離(m)0.5
∞〜0.8mはカメラ距離計連動
0.5
∞〜0.7mはカメラ距離計連動
0.5
レンズ長(mm)5.225.423
レンズ最大径(mm)5055
フィルター径(mm)253949
重量(g)45136112
リリース年201520072014年12月05日
価格(税別)¥60,000-¥55,000-¥63,000-

参考情報

更新履歴

  • 2025.7.2
  • 2024.11.22
  • 2024.03.09:改稿
  • 2022.04.26:初稿

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