初代・コンパクト35mm ELMARIT R 35 1st

初代・コンパクト35mm ELMARIT R 35 1st

LEICA R ELMARIT 35mmをSONY α7Siiで使用したレビューと写真作例

目次

ギャラリー

  • 写真作例の撮影はSONY α7SII

レビュー

Before imageAfter image

1.概要

エルマリートR 35mm・初代は1963年にリリースされた、Rマウント・焦点距離35mmの広角レンズ。

主な仕様は以下の通りで、詳細は表に載せている。

  • 開放F値 2.8
  • レンズ構成 5群7枚
  • 絞り羽根 6枚
  • 最短撮影距離 0.3m
  • フード 専用ダブルフックフード(12564 Elmarit-R 35mm f/2.8, Summicron-R 50mm f/2用)
  • レンズカラーバリエーション シルバークロームとブラック

シルバークロームはときどき中古で見かけるけれど、総じて高価格で取引されている。

2.使用感

エルマリートR 35mm・初代はRマウント 35mmシリーズにおいて一部マニアに人気のレンズで、より人気のあるズミクロン 35mmズミルックス 35mmの影に隠れた存在だ。
LEICA WIKIの記述によると、1963年から1992年の29年間に同じレンズ銘でレンズ構成と鏡筒を変化させながら3バージョン販売されている。

SONYのフルサイズセンサーカメラ、α7Siiで使用したかぎり、画質に大きな破綻は無く、半世紀前のレンズとしてよくできている。これはα7Siiの1200万画素と少ない画素数が好影響の一因と考えられ、より高画素センサーでは撮影結果に粗がみられる可能性がある。

レンズ仕様の焦点距離35mm、開放絞り値F2.8という仕様は、ズームレンズでは大口径だが単焦点としてはそれほど明るいレンズでは無いため、廉価で凡庸なレンズとみなされている。エルマリートR 35mm・初代は3種類のエルマリート R 35mmの中で特に安価だ。これは製造時期が古く製造本数が多いことも価格に影響している。

レンズを入手したとき、フード12564にはめ込むシリーズ6フィルターを手持ちのフィルターコレクションから探したが見当たらず、レンズ前面に切ってあるネジを見つけて適合するねじ込みフィルターを探して、手元にあった43mm、46mm、48mmと試したがいずれも嵌まらなかった。
そこでエルマリートR 35mm・初代のネジ径を調べたところ43.5mmフィルターがねじ込めることがわかった。
43.5mmフィルターはMARUMI、KENKOが製品をリリースして2023年現在もカメラ店にて購入することができる。同じフード12564とシリーズ6フィルターを使用する、ズミクロン R 50mm・初代も本レンズと同じ仕様である。

3.まとめ

結論としてエルマリートR 35mm・初代をまとめると、低画素のセンサーであれば35mmフルサイズカメラでも十分に実用的なレンズだ。

中古市場では比較的状態がよいレンズが安く並んでいるため、Rマウント 35mmをとり比べるのもよいだろう。フード12564は別で探すと高価なためフードが付属したレンズの購入することをお勧めする。

仕様・シリーズレンズ比較

ELMARIT R 35mmの初代と2代目を比べると、Lens.DB、LEICA Wikiの記述ではレンズ長さは同一だが、レンズを横から写した写真を比べると長さが異なるようである。残念ながら実物が手元に無いため正確な長さは測定できないため、事実は不明だ。古いレンズなので仕様の数字がいい加減なことは良くあると思われる。

Before imageAfter image
  • レンズ構成図は各社の配付資料から引用し、サイズはこちらで調整しているため厳密ではない。
項目ELMARIT-R 35-IELMARIT-R 35-II
焦点距離(mm)3535
最大絞り2.82.8
最小絞り2222
絞り羽根66
レンズ構成5群7枚6群7枚
最短撮影距離(m)0.30.3
レンズ長(mm)4040
レンズ最大径(mm)6363
フィルター径(mm)43.5 シリーズ648 シリーズ7
重量(g)310410
フード12564 円筒・鉄爪・逆付け可能 SUMMICRON-R 50mmと共用 レンズキャップは1416312509 角形・ピン固定 ELMARIT-R 28mmと共用
マウントライカRライカR
製造年19631972
製造本数31,950(1971まで)8,250(1977まで)

レンズ部品の共有

この初代エルマリート35mmはズミクロン50mmとよく似ており、フードを含めさまざまな部品を共用しているようだ。しかし、フォーカスリングなどの幅が異なるため鏡筒は完全に同一では無い。

ライカは同じ時期に製造するレンズについてコストダウンのために部品を共用することがあり、このレンズはそのはしりと言える。

2020年台のライカ SL レンズは、非球面レンズを採用した6本のAPO SUMMICORNシリーズ(21mm、28mm、35mm、50mm、75mm、90mm)において鏡筒外装を共有したため、本来コンパクトにできる35mmと50mmは過剰な大きさになった。

その反省からか、35mmと50mmは非球面レンズの採用をやめたコンパクトなレンズをリリースしているが、それも専用設計ではなく35mmと50mmで鏡筒を共有し、PANASONICのOEMと思われるレンズ構成をしている。
ライカのカメラメーカーとしてMマウント以外は徹底的に合理化する姿勢が伝わってくる事例である。

参考情報

更新履歴

  • 2025.5.30
  • 2024.7.28
  • 2023.11.23:初稿

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