34ズーム VARIO ELMAR R 105-280mm

LEICA VARIO ELMAR R 105-280mm F4.2を中判ミラーレスカメラ HASSELBLAD X2Dで使用したレビューと写真作例
目次
ギャラリー
- 写真作例の撮影はHASSELBLAD X2Dを使用した。
レビュー


1.概要
VARIO ELMAR R 105-280mm F4.2はRマウント末期の1996年にリリースされた望遠ズームレンズ。
主な仕様は以下の通りで、詳細な仕様は表に載せている。
- 焦点距離は105mm〜280mm
- レンズ構成 10群13枚
- 絞り羽根 8枚
- 最短撮影距離 1.7m(全域)
- フードは組込式
このVARIO ELMAR R 105-280mm F4.2は日本メーカーが流行らせた、F4通しの100-300mmレンズ(34ズーム)と同じカテゴリーになる。F値を律儀に4.2と表記しているところに製造者の誠実さを感じる。マーケティング的には数値をごまかしてF4とした方が売れるのは間違いない。以前所有していたシグマの100-300mm F4は重量が1400g程度で、このレンズは500g程度重い。
1996年から1997年の2年間に約1500本作られ、それほど製造本数が多くないの割に日本の中古市場でよく見かけるレンズだ。これはズームレンズ人気の高い日本にそれなりの数が販売されたためと推測する。
10年間で5回くらい見かけていて、このたびめでたく捕獲した。価格は状態にもよるのだろうがピンキリで、最も安い物は2015年くらいに15万円程度で見かけた。2022年でも20万円から30万円の範囲で見かけるため、ebayなどの海外市場での販売価格とくらべると日本はずいぶん安く売られている印象がある。
2.使用感
VARIO ELMAR R 105-280mm F4.2の第一印象は重いである。
画質は非アポクロマートレンズなので、被写体によってはボケの汚さが目立ち色滲みをおこす。
これは設計が古めのズームレンズ特有の描写だ。作例4枚目5枚目で確認できる。
操作性はズームリングとフォーカスリングはともに回転操作を採用しており、2リング式ズームレンズとなっている。2リング式ズームはフォーカスをカメラ任せにできるオートフォーカスレンズに向いており、Rマウントのマニュアルフォーカスの場合、両方のリングを手動で動かすため、焦点距離とフォーカスの操作を同時におこなうことは難しい。たぶんできない。
そのリングレイアウトは、レンズ付け根側がズームリングでレンズ先端側がフォーカスリングとなっている。両方のリングの幅はほぼ同じ幅なので、操作頻度の高いフォーカスリングはより広い方が操作しやすい。
2つのリングは適度な重さがあり意図しない位置変更はおこらない。
ズームリングは左端が広角端の105mmで右に回すとテレ方向に動き右端が望遠端の280mmとなる。
フォーカスリングはズームリングより軽く軽快に操作できるが回転角が330度程度あるため、無限から最短まではかなりの距離を回すことになる。
そして、このレンズはインターナルフォーカスでは無く、フォーカスでレンズ長がかわるレンズで、左端が無限遠で右に回すと撮影距離が短くなりレンズは伸びる。右端が最短撮影距離でレンズは最も長くなる。
そして、やはりこの大きさのズームレンズの場合、焦点距離の変更に伴い自動的にフォーカスを変更する、オートフォーカス(以下、AF)機構が欲しくなる。特に野外で動く対象を撮影する際には焦点距離は固定して、フォーカス作業に集中するしか無い。
最短撮影距離はすべての焦点距離で最短1.7mであり、焦点距離280mmはかなり寄れる。
レンズフードは組み込み式で、前に引っ張り出すのみでフードロックの機構はない。
X2Dの44mm x33mmセンサーで撮影した結果、焦点距離105mm青空を写すと四隅にケラレが見られる。そして、ズームしていくと徐々にケラレは解消され280mmの位置ではほぼ全面を使用できる。このように、35mmフォーマットにたいしては余裕を持ったイメージサークルであるため、35mmフルサイズセンサーカメラで使う場合、色滲みはどうしようもないけれど、周辺減光には悩まされない。
撮影倍率を増加させるテレコンバーター、APO-EXTENDER x2を使った場合もレンズ運用に問題はなく、APO-EXTENDER x2を付けた撮影結果を見ても画質は大きな劣化は感じられない。下の月は、中央を切りだして縮小した結果だ。APO-EXTENDER x1.4はLENS-DB.comの情報によると問題なく使えるようだ。

3.まとめ
結論としてVARIO ELMAR R 105-280mm F4.2をまとめると、この大きく2kg近い重量のマニュアルフォーカスレンズで2リング式の操作方法には無理がある。両方のリングを動かすのは困難なので、焦点距離を固定して使うことになるため、280mmの望遠端しか使わないのであればより画質のよいAPO TELYT 280mmがお勧めだ。
LEICA SL向け、APO VARIO ELMARIT 105-280 F2.8-F4を使用すると、フォーカスをカメラにまかせて自身は構図に集中できる便利さを実感する。
仕様・レンズ比較
VARIO ELMAR R 105-280mm F4.2は焦点距離が望遠端でAPO TELYT 280mmとかぶるレンズだ。
レンズスペックの違いを確認すると、レンズ最大径、フィルター径は同じ、VARIO ELMAR R 105-280mm F4.2のレンズ長が20mm長く、重量は100g重い、絞り開放のF値は4.2と少し暗い。
両者の決定的な違いは使用時の重量バランスで、全長が長く大きなレンズが鏡筒前方に配置されているVARIO ELMAR R 105-280mm F4.2はAPO TELYT 280mmと比べると撮影する際の重量バランスが悪いため手ブレをおこしやすい欠点がある。


項目 | VARIO ELMAR | APO-TELYT |
焦点距離(mm) | 105-280 | 280 |
最大絞り | 4.2 | 4 |
最小絞り | 22 | 22 |
レンズ構成 | 10群13枚 | 6群7枚 |
絞り羽根 | 8枚 | 8枚 |
最短撮影距離(m) | 1.7 | 1.7 |
レンズ長(mm) | 236 | 208 |
レンズ最大径(mm) | 88 | 88 |
フィルター径(mm) | 77 | 77 |
重量(g) | 1950 | 1875 |
製造本数 | 1500 | 2000 |
リリース年 | 1996〜1997 | 1993〜1997 |
参考情報
- Descriptions of VARIO-ELMAR-R 105-280-F4.2 on LEICA WIKI
- LENS DB.com
- APO TELYT R 280mm F4・Shige’s hobby
- APO VARIO ELMARIT SL 90-280mm・Shige’s hobby
更新履歴
- 2025.5.20
- 2025.1.25
- 2024.07.15
- 2022.11.07
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