VARIO SONNAR 45-90 F4.5 for CONTAX 645 

645判カメラ向け標準ズームレンズ

Kyocera/Contax製中判・ズームレンズ、VARIO SONNAR 45-90mm F4.5のレビューと写真作例

目次

ギャラリー

  • 写真作例の撮影はLEICA S typ007

レビュー

  1. 使用感
  2. レンズの概要
  3. 他レンズとの比較

1.使用感

バリオ・ゾナー・45-90mm F4.5(以下、VE45-90)1はCONTAX645カメラ終焉の3年前、2002年にリリースされた645判カメラ向けのズームレンズ。LEICA S Typ0072との見た目のマッチングはよく気に入っているレンズの一つだ。

レンズの描写は期待通りで、DNGを現像した絵を確認するとF値は暗いこともあり、シャープさは単焦点と渡り合える。
歪みは焦点距離45mmの場合、無限遠で歪みはほとんど気にならないが、どのレンズでも概ね共通する撮影距離1mくらいのところで、レンガのような格子を撮ると樽形に歪むことが確認できる。
歪み方は素直なので画像処理ソフトでの補正は簡単だろう。さすがにマイナーなレンズなので、普段使用しているAffinity Photo 2のレンズ補正候補リストにはレンズ名は見当たらない。

他のCONTAX645レンズ同様にオートフォーカス(以下、AF)の合焦速度はそれほど速くはない。最大の欠点はAF合焦点を超えて戻るときにピントが確定する動作だ。最初のAF合焦点でピタリと止まってくれると嬉しいのだが、だいたい一往復して合焦位置で止まる。AF停止位置での合焦精度は問題ない。

これはマウントアダプター経由で使用しているためなのは間違いないが、電源を入れてから実際に撮影可能になるまでにワンテンポのラグがあり、スリープ復帰時にカメラとレンズの通信確立に少し時間がかかるところなどは他の645レンズと変わらない。ウェブではライカSとCONTAX 645レンズの組み合わせにおいて、スリープ復帰時にフリーズすると書き込みをみたことがあるが、筆者自身の使用方法は使い終わるとカメラのメインスイッチを切るため、スリープ機能を使わないのでスリープ復帰時にフリーズしたことはない。

このレンズは、HCD35-90を持っていたので購入を見送っていたが、DISTAGON55mm、Planar80mmは価格的に手に入れることが難しそうなので、ZEISSレンズでそのレンジをカバーしてくれることを期待して購入した。所有しているDISTAGON 45mmとはかぶってしまうがそこは目をつぶるつもりだったが、このレンズの万能性からDISTAGON 45mmは不要と判断して売却してしまった。しかしその後、銀座の酸っぱいお店でDISTAGON 55mmを安価で見つけてしまい購入してしまったので、レンズ所有方針はブレブレである。

本レンズの専用フード・GB-1043は中古市場に物が少なく価格が高い。2023.6.2にGB-104のデッドストック新品を手に入れた。傷も無い状態なので使うのが惜しいところであるが、そのうち野外で試そうと思う。
DISTAGON 35mm用のGB-101はフード径φ100でバヨネット爪位置も、GB-104と同じなので流用可能だ。GB-101では焦点距離的にはフード長さが足りないが、無いよりはよいので日中野外では使用している。

DISTAGON 55mm同様に製造本数が少ないと言われているが、つねに中古市場には数本供給されているように感じるため、中古店を丹念に探せば見つかるレンズだろう。

2.レンズ概要

VE45-90のズームレンジは45mm〜90mm、LEICA S typ007で使用すると、センサーサイズの倍率0.8をかけて標準領域の36mm〜72mmをカバーする2倍ズームレンズとなる。

開放F値はズーム全域で4.5となっており、F値通しはマニュアルカメラ時代の高級ズームレンズのイメージを踏襲しているのかもしれないが、カメラの電子化が進んだ現在のPモードで使用する場合、ズームレンズのF値が変化することはそれほど問題にならないため、可変F値で広角側の明るさが増す方がうれしいと個人的には思う。しかし、このレンズはズームレンジが2倍なのでF値を可変にしても広角の45mm側でF3.5〜4止まりであろうからF4.5通しでもあまり変わらないとも言える。

レンズはインターナルズームではなくズーミングにより全長が少しだけ変化する。ズーミングによる長さ変化は不規則で、45mm位置で5mm程度長くなり、55mm位置が最も短く、90mm位置が最も長く9mm程度前方に繰りだす。

操作は手前側がズームリング、レンズ先端側がフォーカスリング、AFレンズなので、後述する近接撮影時以外はフォーカスはカメラ任せで、フレーミングに集中できる。

近接撮影用のAuto Extension tube 13mmを使用して撮影すると、AFは使えるが合焦精度が悪く、シャッターか切れないことが何度かあったのでMFモードを使用した。
近接撮影をしていての実感では、LEICA S typ007のAFは被写体とAFフレームのあわせ方にもよるが、近接撮影時は合焦精度が落ちるためMFで使うことが多い。
そして、所有しているレンズ固有の問題かもしれないが、レンズのAF駆動音は高音の少し耳障りなことがある。

LEICA S typ007 + 16038 [ライカ SアダプターC]で使用すると、画像ファイルのEXIFに焦点距離が残るようになっており、いくつの焦点距離で撮影したか、撮影後に確認できるため、現代のズームレンズと遜色のない使い勝手を得られる。この組み合わせではレンズ側に装備されている絞り環は機能せず、カメラ側で絞り値を設定する必要がある。

3.他レンズとの比較

中判カメラのズームレンズでは、HASSELBLAD HCD35-90LEICA VARIO ELMAR 30-90などがあるが、焦点距離の範囲ではバリオ・ゾナーがもっとも狭いレンズだ。

サイズはHASSELBLAD HCD35-90が大きく重く、LEICA VARIO ELMARは30〜90mmと焦点距離カバー範囲が広く、レンズサイズはバリオ・ゾナーと同等で開放F値はF3.5と明るいと、ライカのバリオ・エルマーは3レンズの中でスペックがもっともよい。これはレンズ設計が新しいこととデジタル中判センサー45*30mmに最適化されていることが要因と考えられる。しかし、マニアが集う赤丸フォーラムでは散々な書かれようで、ズームレンズにものすごく期待している人がいてちょっと引ひいた。

ライカ自身が記している「絞り開放値が少し暗いことを除けば、単焦点レンズと優劣つけがたく有効にお使いいただけます。4という言葉を信じて、単焦点レンズとガチンコ勝負したのかもしれない。
ズームレンズの技術が進歩した分だけ、単焦点レンズの描写も改善されるはずなので、設計年だが同じであれば、単焦点レンズの方が描写がよいのは当然の結果だ。
ズームレンズは利便性のかわりに、写りが犠牲になるのは昔から変わらない。

このバリオ・ゾナーの焦点距離範囲が45-90mmを採用して、35-90mmとならなかったのは、広角端を35mmとすることによるレンズの大型化、ズームレンズで広角端で35mmをカバーすると商品構成上、DISTAGON 35mmの立場がなくなることもあり、このレンズスペックになったと推測する。しかし、これは邪推で単純に技術的問題、価格的問題かもしれない。

HCD35-90mm lens configuration diagram (taken from the official Hasselblad page)

VARIO SONNAR 45-90mm lens construction diagram (taken from the official ZEISS page)

仕様・比較

レンズ名CONTAX
VARO-SONNAR45-90
HASSELBLAD
HCD35-90
LEICA
VARIO ELMAR 30-90
焦点距離(mm)45.9〜87.536.3〜8730〜90
最大絞り4.54.5(5.6)3.5(5.6)
最小絞り323232
レンズ構成10群12枚11群13枚11群14枚
最短撮影距離(m)0.50.650.65
レンズ長(mm)115167113.5
レンズ最大径(mm)102102.5101
フィルター径(mm)959595
重量(g)114014101030
リリース年20022016年(オレンジドット)2012年
価格379,000円
2023年中古価格15万円〜
102.4万円
2023年中古価格30万円〜
122万円
2023年中古価格50万円〜

参考文献・参考リンク

更新履歴

  • 2024.07.16:更新
  • 2024.03.04:更新
  • 2023.05.24:初稿

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  4. バリオ エルマー S 3.5-5.6/30-90 ASPH ↩︎

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