LEICA SUMMICRON M 90mm (初代)
ライカ・ズミクロン 90mm F2のレビューと写真作例
目次
ギャラリー
- ズミクロン 90mm F2の写真例(LEICA M9 +VISOFLEX 3型)
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レビュー
Mマウントのズミクロン 90mm F2は、1953年から製造されたレンズで変遷が複雑でレンズの世代表記は揺れが見られる。ちょうどライカM3が発売される時期とかさなっており、多くのMマウントレンズが発売された時期である。いくつかの参考文献から個人的に妥当と感じられる表記を選んで記載している。
代表的な表記の揺れは、中古市場でときどき見かける、フード別付けの(フード型番:SOOZI)ズミクロンだけを初代ズミクロン Mとする記述と、フード組み込みズミクロンのうちフィルター径がE48(48mm)のものは初代ズミクロンに含めるという記述だ。
こちらではフィルターサイズE55mmに変わるまでのズミクロンのレンズ構成は同じあるため、フード別付けのズミクロンとE48のズミクロンは初代ズミクロンと見なしたい。また、次に説明するVISOFLEX用オプションとの関係からも、フード別付けとE48を初代、E49を2代目、E55を3代目に分類するのが妥当と考える。
初代をあえてわけるのであれば、フード別付けは初代・前期、フード組み込みE48は初代・後期と表記する。
外観の違いという分類を採用する場合は、フード別を初代、E48を2代目、E49を3代目、E55を4代目と言う表記になるだろう。ここでは、前述の3分類で表記していると考えていただきたい。
今回紹介するレンズ、E48 ズミクロンのレンズ鏡筒はシルバーとブラックがあり、レンズの光学部はMマウントヘリコイドにねじ込まれており、レンズ先端を持って回すとヘリコイドとレンズが分離する。これは、M型ライカを一眼レフカメラのように使用するビゾフレックス(VISOFLEX)向けの機構となる。
ビゾフレックスで本レンズを使うには、ビゾフレックス 2型の時代リリースされたヘリコイド(focusing adapter 16463・ZOOEP )を用意する必要がある。レンズ先端を16463・ZOOEPに装着するとビゾフレックス Mマウントのレンズとなる。
ビゾフレックスヘリコイド、16463(ZOOEP・シルバー)は、後述するエルマリート135mmに装着できないため初代ズミクロン専用と思われ、レンズにブラックバージョンがあるが16463のブラックは見たことがない。
この16463を眼鏡付きエルマリート M 135mmから取り外したレンズに嵌めようとしたが、ねじ込み部に邪魔な突起がありねじ込むことができなかった。
E49になった2代目ズミクロン M 90mm本体はブラックのみと考えられ、2代目ズミクロンをビゾフレックスで使用するためには、ヘリコイド・focusing adapter 16462・ブラックを用意する必要がある。このヘリコイドはエルマリート M 135mmで使用することもできる。
E49・2代目ズミクロンと眼鏡付きエルマリート M 135mmは、ズミクロンが1963年、エルマリートが1962年のリリースで同世代のレンズで、共通のヘリコイドでビゾフレックスに適用できることから、初代ズミクロンと、E49ズミクロンで世代をわけることの理由の一つになると考えている。
アダプター型番は2代目ズミクロン用が16462、初代ズミクロン用が16463と番号の逆転がおこっているのは少々不思議だが、この理由を説明する材料を持ち合わせていない。
三代目ズミクロンは、フィルター径がE55になりモダンな外観に変更された。レンズとヘリコイドと一体化し、分離してのVISOFLEXへ装着する機構は無くなった。レンズ構成もズミクロン R 90mmと同じものになっている。フードは組込み式で変わらないがフード形状はシンプルな段差のない1段の筒型フードになっている。
参考リンクのLeica Wikiには、初代ズミクロン M 90mm、眼鏡付きエルマリート M 135mmなどで、VISOFLEXに装着する際はfocusing adapter 16464を使うように記載されているが、16464はエルマー65mmなどで使用するアダプターでズミクロン M 90mmは使えない。そのほか2代目ズミクロンの写真として最初期のSUMMICRON M90mmシルバーの外観写真が記載されているなど、Leica Wikiの記載も完全では無いと考える。
VISOFLEXマウントはフランジバックが長く様々なマウントアダプターを使うことができ、ライカ Rマウントアダプターを使用するとR型LEICAカメラで使用できる。
最短撮影距離を短縮する延長チューブOUEPOは黒と銀があり、ねじ込み式なので16463、16462のどちらにも使用できる。
レンズはとても重みがあり、ガラスと鉄の塊りを感じるレンズだ。M型カメラに装着するとレンズ側が重く重量バランスはあまり良くない。
0.85倍のファインダーを持つM型ライカ以外では、90mmのファインダー枠はとても小さく、撮影範囲がとても小さく見える。また、二重像合致式のピント合わせはピント精度が厳しくピンボケ写真が増えるため、本レンズはほとんどVISOFLEXを経由して使用していた。いまはミラーレスカメラの高精細EVFを使用すればピント合わせは簡単だと思う。
90mmを超えるレンズは、R型の方が便利なのは間違いないのでM型レンズは処分してしまった。
過去の写真を整理していると、ウェットな描写は現代レンズに合いよい味だと思える。
古いレンズなのでレンズ仕様について様々調べていくと、一時嵌まったVISOFLEX沼に再び足を踏み入れそうになった。
仕様
項目 | 値 | 備考 |
焦点距離(mm) | 90 | |
最大絞り | 2 | |
最小絞り | 16 | |
レンズ構成 | 5群6枚 | |
絞り羽根 | 15枚 | |
最短撮影距離(m) | 1.0 | 全域カメラ距離計連動 |
レンズ長(mm) | 110 | マウント面からの距離 |
レンズ最大径(mm) | 66 | 三脚座を除く |
フィルター径(mm) | 48 | E48フィルター |
重量(g) | 660 | |
リリース年 | 1953年 |
参考文献・参考リンク
- SUMMICRON-M 90mm F2-1st@Leica wiki(English)
- SUMMICRON-M 90mm F2-2nd@Leica wiki(English)
- クラシックカメラ選書 19 ライカレンズの見分け方(朝日ソノラマ)・アマゾンアフィリエイトリンク
- 仕様の記載と仕様の違いが記述されており、レンズ描写への言及はない。
- 付録にレンズ構成図が載っている。
- ライカのレンズ (写真工業社)・アマゾンアフィリエイトリンク
- 沈胴式エルマーはP124に宮城六郎 氏のレビューあり
更新履歴
- 2024.04.30:更新
- 2023.6.6:ギャラリーと情報を更新
- 2022.9.1:初稿
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