MINOLTA TC-1転用 G-ROKKOR 28mm (L39)

ミノルタGロッコール 28mm F3.5をフィルムカメラとデジタルカメラで使用したレビューと写真作例
目次
ギャラリー
写真作例の撮影はHEXAR-RFとLEICA M8.2を使用した。
レビュー


1.概要
MINOLTA G ROKKOR 28mm F3.5は、高級コンパクトカメラ TC-1向けに設計されたレンズを、同じレンズ構成でライカL39スクリューマウントに仕立て2000本限定でリリースされたレンズだ。
鏡筒はシルバー外装で美しく、フードも同色にまとめられている。そして、フードを外すと全長20mm程度とコンパクトなレンズで、写真にある銘板入りの豪華なパッケージに入っており、フード先端のキャップはレンズと同素材のねじ込み式でMINOLTAロゴが入る。L39スクリューのリヤキャップも専用で凝った衣装が施されていた。
絞り羽根はこのレンズの元になったコンパクトカメラ TC-1は、円形のプレートが入れ替わる方式だったが、このLマウント版は一般的な9数羽根で構成された絞りに置き換えられている。
MINOLTAとしては、Leitz Minolta CL / Minolta CLE向けにMマウントレンズをリリースして以来、久々となるライカ・レンジファインダーカメラ向けのレンズだ。
こちらのレンズの最短撮影距離は0.8mが正しく、0.45mとの記載をみかけることもあるが、0.45mはコンパクトカメラTC-1の最短撮影距離で、それと混同していると考えられる。

2.使用感
MINOLTA G ROKKOR 28mm F3.5はフィルムカメラでもよく使ったレンズで、写真にあるように、ZEISS IKON、MINOLTA CLEに装着した姿はとても美しく、写欲をかき立てるフォルムになる。いずれもすでに手元にないシステムだが、持っているだけでニヤニヤできる。
描写はフィルムカメラで使用する際は周辺減光を意識した作画をすればほとんど気になる欠点は無い。周辺減光がそれなりに目立つので被写体を中央に持ってきて強調する撮影をしたくなるけれど、それだけでは飽きがくるレンズなので、撮影者側で工夫する必要がある。
デジタルカメラでは、APS-Hサイズセンサーのライカ M8.2 の時に使用し写真作例にあるようにクロップ加減が絶妙で、35mmフルサイズセンサーのライカ M9では欠点として目立ったしまう周辺減光とカラーキャストが目立たなくなるため使い易いレンズとなる。
35mmフルサイズセンサーでも、α7sや新しいタイプのセンサーではカラーキャストは改善されると考えるが、周辺減光はレンズの特性なのでどうしようもないと思われる。周辺減光を自動で補正するカメラもあるがそれは大きなお世話だ。
このレンズは貼り合わせ面がないため、バルサム切れを心配する必要が無いのはオールドレンズとしてありがたい存在だ。同じ画角のRICOH・GR 28mm(より広角のGR 21mmも同じ)は結構な確率でバルサム貼り合わせ面の剥離による曇りが出ている個体がある。
3.まとめ
結論としてMINOLTA G ROKKOR 28mm F3.5をまとめると、コンパクトカメラ向けに作られたレンズなので、コンパクトさを優先した設計で中央部分以外の画質はけっこう怪しい。デジタルではよりネガティブな描写が目立ちやすい。
これは同じくコンパクトカメラから転用されたGR 28にも言えることだが、精密な記録に向いたレンズではなくスナップなど撮影者がその場の光線からセンスとイマジネーションで作品作りが求められるレンズだ。
仕様・考察 など
本レンズは1998年発売だが2005年くらいまでは新品レンズがカメラ屋においてあった。限定ものでもすぐに売りきれない牧歌的な時代で、転売ヤーと忙しすぎる現代とは異なる時間の流れが十数年前には存在した。
個人的経験の比較として、TC-1も使っておけばよかったと思うが、GR1で焦点距離28mmのコンパクトカメラに満足していた時代だったので、TC-1を使うことなく時は過ぎてしまった。
同時代に発売されたGR28mmは真鍮製と思われ180gでずっしりしているが、こちらはアルミ製で、110gと軽量に仕上がっている。
レンジファインダーカメラにおける28mmレンズは、50mm、35mmと並んで種類が多く、好みの1本を探し出すのはそれなりに労力と費用がかかる。鏡筒の大きさを無視すれば初代ELMARIT M 28mmがもっとも好みだが、G ROKKOR 28mm、GR 28のようなコンパクトなレンズも手元にあると便利なことは間違いない。


項目 | G ROKKOR 28 | GR 28 |
焦点距離(mm) | 28 | 28 |
最大絞り | 3.5 | 2.8 |
最小絞り | 22 | 16 |
絞り羽根 | 9 | 10 |
レンズ構成 | 5群5枚 | 4群7枚 |
最短撮影距離(m) (距離計連動) | 0.8 | 0.7 |
レンズ長(mm) | 19.5 | 23 |
レンズ最大径(mm) | 51 | 49.5 |
フィルター径(mm) | 40.5 | 40.5 |
フード | 40.5mmラッパ型ネジ込み | 40.5mmラッパ型ネジ込み |
マウント | L39スクリュー | L39スクリュー |
重量(g) | 110 | 180 |
リリース年 | 1998.9 | 1997 |
2000 | 3000 | |
価格(定価・税別) | ¥110,000 | ¥98,000 |
参考情報
- M型ライカのすべて―M型ライカのボディとレンズの魅力を徹底検証する・P85に紹介あり
- 世界のライカレンズ Part2・P98に溝口清秀氏のレビューあり
- 上記リンク先はアマゾン・アフィリエイトリンク
- GR 28・Shige’s hobby
更新履歴
- 2025.7.3
- 2024.05.17:更新
- 2024.02.22:更新
- 2022.07.03:初投稿
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