Hシリーズ最望遠 HASSELBLAD HC300mm

ハッセルブラッド HC 300mm F4.5のレビューと写真作例
目次
ギャラリー
レビュー


1.概要
HASSELBLAD HC 300mm F4.5はHシリーズでは最大望遠となるレンズだ。
中判カメラHシリーズで使用する場合、645版フィルム、デジタルセンサーでは40.2×53.7mmまでカバーし、そのとき焦点距離は35mm判換算では焦点距離は約197mmとなる。
HASSELBLAD Xシリーズカメラ、X1D、X1DII、907X、X2Dでは、XH Adapter、XH CONVERTER 0.8のどちらかを経由して使用する。CONVERTER H x1.7テレコンバーターを併用することも可能で、3種類のEXTENSION TUBES H(13mm/26mm/52mm)を使用した近接撮影も可能である。
- XH Adapterを使用した場合、焦点距離240mm F4.5
- XH CONVERTER 0.8を使用した場合、焦点距離192mm F3.5
- XH AdapterとCONVERTER H x1.7テレコンバーターを併用した場合、焦点距離408mm F7.1
レンズ単体重量が2kgでコンバータ(175g か 430g)とカメラ(766g)を足すと約3kgとなり、手持ちで気軽に持ち運びたくはなくなる。そこにx1.7テレコンを付けると+500gで3.5kgとさらに重量がかさむ。
古いHC300mmは、レンズとボディの通信不良が頻発したので、残念ながらレンズは返品となり、2週間程度の使用で終わってしまった。
レンズ単体全長が200mmだがX2Dに装着する際にテレコンとアダプターを足すと300mmを超え、レンズ単体重量の2kgにテレコン700g、アダプター400gを足すと3kgオーバーとなるため、持ち出しにはそれなりの覚悟がいる。
レンズには回転式の三脚マウントが装着されているが、雲台へのプレート部分がハッセルブラッド専用形状なので、アルカスイス互換に変更するためにアルカスイス ARCASWISS ハッセル用 クイックプレートを用意する必要がある。
○アクセサリー互換性のまとめ
- 最短撮影距離を短縮するExtension-Tube-H(H13/H26/H52)を使用できる。
- X2Dファームウェア3.1.0(2023.12.1リリース)はXH Adapterとの組み合わせでIBISが機能する。
- X2Dファームウェア3.1.0(2023.12.1リリース)はXH CONVERTER 0.8との組み合わせでIBISが機能する。
- CONVERTER H x1.7テレコンバーターを使用できる。
- イメージサークルは645判フィルムサイズまでカバーする。
- あおり撮影をおこうHTS 1,5 TILT AND SHIFT ADAPTERを使用できる。
- ライカ純正マウントアダプターS-Adapter Hを使用してLEICA S シリーズカメラで使用できる。
- FUJIFILM純正のH MOUNT ADAPTER Gに対応する。
- <NG>
- あおり撮影をおこうHTS 1,5 TILT AND SHIFT ADAPTERは使用できない。
- X2Dファームウェア4.0.0(2024.11リリース)は、XH AdapterとXH CONVERTER 0.8のどちらのアダプターを使用しても、CONVERTER H x1.7テレコンバーターとの組み合わせでIBISが機能しない。
2022.09.22現在、X2DとConverter H 1.7xの組み合わせでレンズエラー46が発生する。- 上記は2022.12.15リリースのX2Dファームウェア1.0.5にて改善した。
旧ファームウェアではX H Lens AdapterとXH CONVERTER 0.8との組み合わせでIBISが機能しない。
2.使用感
HASSELBLAD HC 300mm F4.5は、ハッセルブラッド Hシリーズカメラ用のもっとも長い焦点距離300mmの望遠レンズ。
HC 300mmは2度購入していて、最初の購入はFUJINONブランドのレンズをそれなりの価格で購入した。オレンジドットがないモデルなので、シャッター速度は1/800に制限され、X H Lens Adapter、XH CONVERTER 0.8でオートフォーカス(以下、AF)が使用できなかった。MFフィールは良好で、EVFのピント拡大機能を使い問題なく狙った位置での撮影ができた。
X H Lens Adapterを使用した場合、逆光下でも特に問題は無く、Phocusを介して出力される画像は周辺部まで乱れなく結像しており、周辺減光も見られないので、44×33センサーで使用するのに十分な性能があることがわかった。
二度目の購入は、馴染みのカメラ屋にほぼ未使用の新型モデルであるオレンジドット版レンズ(以下、オレンジドット)が並んでおり、価格的にも非常に魅力的だったので購入を決断した。オレンジドットは、レンズファームウェア19.1.0に更新することにより、X1DIIでAFを使用することができた。
AFの合焦速度は昔のコンパクトデジタルカメラのようにのんびりとしており合焦に時間がかかるため動体の撮影は難しい。
X2Dではカメラ側のAFが改良されたとのことで、レンズ単体でAFの合焦速度を確認したところ、X1DIIとそれほどかわらなかった。月を撮影する際の合焦にさえ、それなりの時間がかかるため、白樺峠の空を渡りで飛んでいく鷹をAFで撮影するのは難しいと感じている。2023年は峠を訪問できなかったが2024年はどうだろうか?
X2Dはのディ内手ぶれ補正機能を持っているが、2023.12.1のファームウェア v3.1.0でテレコン併用時のAFに対応した。しかしX2Dのボディ内手ぶれ補正・IBIS(In body Image Stabilizer)は、HC300+ HC1.7テレコン併用時にIBISが機能しない。ハッセルブラッドには改善を注文し続けているので、次のファームウェアで改善されることを願っている。
中判カメラで使用できるAF対応の望遠レンズは、本レンズとCONTAX 645用のTele-Apotessar T*350mm F4がある。レンズスペックの違いは仕様の表をご覧いただくとして、Tele-Apotessar T*350mm F4は購入して使用したことはないが、カメラ屋で実際にカメラ(LEICA S Typ007)につけて試させて貰ったところ、わかりきったことであるがレンズが重い。テレコンを装着すると4kgをこえるためより重さを実感する。カメラシステム全体で1kg程度の差だがHC 300mmのほうが、手持ちで撮影するにはすこしマシと感じた。
3.まとめ
結論としてHASSELBLAD HC 300mm F4.5をまとめると、HASSELBLAD Hシリーズ、Xシリーズカメラ用オートフォーカスレンズの中でもっとも焦点距離が長いレンズ。
しかし、オートフォーカスの性能は静物にしか使えない性能で、基本的にはマニュアルフォーカスで使うレンズだ。
○オートフォーカス対応について
HC/HCDシリーズレンズをマウントアダプター(XH Adapter、XH CONVERTER 0.8)を経由してX1D,X1DII,X2D,907Xに装着しオートフォーカスを動作させるには、レンズファームウェア19.1.0が必要である。レンズファームウェア19.1.0を適用するためには条件があり、ファームウェア18.0.0以降のレンズが必要である。古いファームウェアの17.0.0以前のレンズはファームウェア19.1.0を適用することができない。
Xシリーズカメラにおける、オートフォーカス対応状況をまとめると以下の通りである。
- オレンジドット レンズ
- レンズにオレンジ色のマークがついた、通称オレンジドットのレンズは、レンズファームウェアが18.0.0以降であり、ファームウェア19.1.0に更新することによりオートフォーカスが動作する。
- HC120、HC120-IIはハッセルブラッド社の制限により、ファームウェア 19.1.0でもAFは動作しない。
- 非オレンジドット レンズ
- AF可能なレンズ
- レンズファームウェア18.0.0以降の場合、ファームウェア19.1.0に更新してAFが動作する。
- 非オレンジドットレンズは、シリアルナンバーがVから始まる2010年以降に製造されたレンズの一部レンズがレンズファームウェア18.0.0以降となっている。
- AF不可能なレンズ
- レンズファームウェア17.0.0以前のレンズ
- シリアルナンバーがSから始まるレンズ(2000年~2009年に製造)
- フジノンブランドのレンズ
- AF可能なレンズ
上述にも例外があり、レンズの修理時にフォーカスユニット交換などで新しいファームウェアになっている場合もある。
ハッセルブラッド XシリーズでAFを使えるか否かは、シリアルナンバーから判断するだけでなく、カメラに装着して実際のレンズファームウェアを確認するのが最も確実である。
○FUJINONレンズについて
HCレンズはフジフィルムブランド・SUPER EBC FUJINONのものがあり、両レンズ共にHASSELBLAD HCカメラで使用できる。FUJINONブランドのレンズは最高シャッタースピードが1/800が最高速度なので最新の最高シャッタースピード1/2000と比べると表現の幅が狭まる。
また、レンズファームウェアが古いため、XCDマウントカメラ・X1D、X1DII、907X、X2Dにおいてオートフォーカス(以下、AF)を利用するために必要なHCレンズ・ファームウェア19.1.0を適用することができない。
そのため2種類のマウントアダプター、X H Lens Adapter、XH CONVERTER 0.8を経由してXCDマウントカメラに装着してもAFは使用できない。
フジフィルムブランドのHCレンズは、ハッセルブラッドの修理サポート対象外で、フジフィルムによる修理対応も終わっているため故障時はどうすることもできない。フジフィルムブランドのHレンズは格安で売られているが購入時はそのことを意識する必要がある。ハッセルブラッドブランドのHCレンズであれば、古いレンズでもハッセルブラッドにて、有償だが修理対応してもらえる。
HCレンズは富士フイルム製造なので、X1D、X1DII、907X、X2Dと同じセンサーサイズの富士フイルムGFXシリーズもマウントアダプター(H MOUNT ADAPTER G)を用意している。
このアダプターはフォーカスはマニュアルフォーカスのみで、シャッターはレンズシャッターとカメラ側のメカシャッターを使用できる。
仕様
項目 | HC300 | Tele-Apotessar T*350mm F4 |
対応カメラ | ハッセルブラッド H | CONTAX 645 |
焦点距離(mm) | 292.0 | 349.4 |
最大絞り | 4.5 | 4 |
最小絞り | 45 | 45 |
レンズ構成 | 7群9枚 | 8群9枚 |
最短撮影距離(m) | 2.45 | 1.9 |
レンズ長(mm) | 198 | 273 |
レンズ最大径(mm) 三脚座を除く | 100 | 114 |
フィルター径(mm) | 95 | 95 |
重量(g) | 2120 | 3610 |
オプション・テレコンバーター | x1.7 | x1.4 |
テレコン装着時スペック 焦点距離 / F値 / 重量(g) | 510 / F7.1 / 2585 | 490 / F5.6 / 4120 |
定価(円・税別) | 738,815 | – |

参考情報
更新履歴
- 2024.03.20:改稿
- 2022.12.29:初稿
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