Hシリーズ広角レンズ HASSELBLAD HC35mm

Hシリーズ広角レンズ HASSELBLAD HC35mm

ハッセルブラッド HC 35mm F3.5をHASSELBLAD Xシリーズカメラで使用したレビューと写真作例

目次

ギャラリー

写真作例の撮影は以下のとおり。

  • HASSELBLAD X2D-100C +XH-adapter
  • HASSELBLAD X2D-100C +XH-Converter0.8
  • HASSELBLAD X1DII-50C +XH-adapter
  • HASSELBLAD X1DII-50C +XH-Converter0.8

レビュー

  1. 概要
  2. 使用感
  3. まとめ
Before imageAfter image

1.概要

ハッセルブラッド HC 35mm F3.5はハッセルブラッド Hシリーズカメラ用の広角・焦点距離35.8mmのレンズ。
HCシリーズなので、中判カメラHxDシリーズで使用する場合、645判フィルムとデジタルはセンサーサイズ 40.2×53.7mmまでカバーしする。このときの35mm判換算換算22mm程度となる。

HASSELBLAD XシリーズカメラであるX1D、X1DII、907X、X2Dで使用する場合は、カメラとの接続のためマウントアダプターXH AdapterXH CONVERTER 0.8のどちらかを経由して使用する。その際の35mm版換算焦点距離は以下のとおりである。

レンズ単体重量が1kgでコンバータ(175g か 430g)とカメラ(766g)を足すと2〜2.2kgとなる。

レンズ構成は複雑な10群11枚のレトロフォーカス型で、レンズの仕様書を確認するとレンズ性能はHC 50mmのI型(旧タイプ)と似ており、周辺部の画質低下がありそうなこと、歪みは外側で最大2%程度あることが読み取れる。

HC50mmは周辺部の画質向上のためII型へリニューアルされたが、HC35mmはリニューアルされなかった。原因は以下2つなど考えられるが確証はない。

  • センサーサイズとの兼ね合いから現在のレンズの性能で問題ないとの判断された。
  • もしくは、新ズームHCD 35-90mmレンズの35mm域が十分な性能であったため。

HC 35mmはレンズの仕様でハッセルブラッドHシリーズ、Xシリーズで、x1.7テレコンを使用できないい。これはレンズ後端のガードがテレコンと干渉するように作られており物理的に装着ができないようにしてある。同じ広角レンズカテゴリーであるHCD 24mm、HCD 28mm、ズームレンズの35-90mmも同様のガードがありテレコンを装着できない。

FUJINONブランドの古いレンズでもLEICA S Typ007で使用するとオートフォーカスで使用できるため、このレンズはLEICA Sで使用することが多い。

フジフィルムのGFXシリーズにも、H MOUNT ADAPTER Gを使用することにより、本レンズを装着可能である。その制限としては、レンズシャッターは使用できるが、オートフォーカスに対応していない。

○アクセサリー互換性のまとめ

2.使用感

HASSELBLAD HC 35mm F3.5は、XH Adapterを使用して35mm判換算焦点距離28mmの場合、逆光下においても描写に問題は無く、Phocusを介して出力される画像は周辺部まで乱れなく結像し、周辺減光も見られないため、中判デジタルセンサー(44mm x 33mm)で使用するのに十分な性能があることがわかった。

XH CONVERTER 0.8を使用して35mm判換算22.4mmの場合もXH Adapterと同様の描写傾向であった。645中判フィルムサイズを(60mm x 45mm)をカバーするHCレンズなので、XH CONVERTER 0.8フォーカルレデューサーで焦点距離を短縮してもその影響はほぼ感じられない。同じ焦点距離をカバーするHCD 35-90mmズームレンズでは、広角端の焦点距離35mmでは周辺減光が見られるため、HCレンズのイメージサークルの広さを実感できる。

FUJINONブランドのレンズを格安で購入したので、シャッター速度の上限は1/800秒で、ハッセルブラッドXシリーズでレンズを使用するための2つのアダプター、XH AdapterXH CONVERTER 0.8を介してXシリーズカメラに装着してもオートフォーカスは使用できない。購入した後にレンズの状態を確認すると少しバルサム切れがみられるが、年代物だし値段も格安だからしょうが無いだろう。

マニュアルフォーカス時のフォーカスリングの回転は滑らかで、EVFのピント拡大機能を使うことにより問題なく狙ったピント位置で撮影ができる。

このレンズは単体で1kgの重量があり、HCレンズをつけたHASSELBLAD Xシリーズカメラの中では標準的な重量となる。やはり、より小さいセンサー向けのHCD 24mm、28mmと比べるとあきらかに重い。

当然、35mmフルサイズセンサーカメラ向けのレンズと重さを比べると大きく重い。
これは645中判フィルムをカバーするためイメージサークルが広いこと、シャッター機構を内蔵しているためだ。
645フィルム時代の広角レンズは35mmまでが標準的であった。これは35mm判換算で21mm相当となるため、これよりも広い焦点距離のレンズは魚眼レンズなど特殊なレンズに使われる焦点距離という理由からだ。

所有しているレンズをカメラに装着してレンズ情報を確認すると、ファームウェアは9.0.0でシャッター回数は約1000回であった。

3.まとめ

結論としてHASSELBLAD HC 35mm F3.5をまとめると、大柄な広角レンズ。HASSELBLAD Xシリーズカメラでは2種類のアダプターにより、28mmと22mmの焦点距離で使用できるため汎用性は高い。

しかし、所有しているレンズが古いためHASSELBLAD Xシリーズカメラではオートフォーカスが使用できないため使用頻度が低い。このレンズはもっぱら、LEICA Sシリーズで使用している。こちらでは古いHレンズでもカメラがレンズを認識すればオートフォーカスが使えるためである。

○オートフォーカス対応について

HC/HCDシリーズレンズをマウントアダプター(XH AdapterXH CONVERTER 0.8)を経由してX1D,X1DII,X2D,907Xに装着しオートフォーカスを動作させるには、レンズファームウェア19.1.0が必要である。レンズファームウェア19.1.0を適用するためには条件があり、ファームウェア18.0.0以降のレンズが必要である。古いファームウェアの17.0.0以前のレンズはファームウェア19.1.0を適用することができない。

Xシリーズカメラにおける、オートフォーカス対応状況をまとめると以下の通りである。

  1. オレンジドット レンズ
    • レンズにオレンジ色のマークがついた、通称オレンジドットのレンズは、レンズファームウェアが18.0.0以降であり、ファームウェア19.1.0に更新することによりオートフォーカスが動作する。
    • HC120、HC120-IIはハッセルブラッド社の制限により、ファームウェア 19.1.0でもAFは動作しない。
  2. 非オレンジドット レンズ
    • AF可能なレンズ
      • レンズファームウェア18.0.0以降の場合、ファームウェア19.1.0に更新してAFが動作する。
      • 非オレンジドットレンズは、シリアルナンバーがVから始まる2010年以降に製造されたレンズの一部レンズがレンズファームウェア18.0.0以降となっている。
    • AF不可能なレンズ
      • レンズファームウェア17.0.0以前のレンズ
      • シリアルナンバーがSから始まるレンズ(2000年~2009年に製造)
      • フジノンブランドのレンズ

上述にも例外があり、レンズの修理時にフォーカスユニット交換などで新しいファームウェアになっている場合もある。

ハッセルブラッド XシリーズでAFを使えるか否かは、シリアルナンバーから判断するだけでなく、カメラに装着して実際のレンズファームウェアを確認するのが最も確実である。

○FUJINONレンズについて

HCレンズはフジフィルムブランド・SUPER EBC FUJINONのものがあり、両レンズ共にHASSELBLAD HCカメラで使用できる。FUJINONブランドのレンズは最高シャッタースピードが1/800が最高速度なので最新の最高シャッタースピード1/2000と比べると表現の幅が狭まる。

また、レンズファームウェアが古いため、XCDマウントカメラ・X1D、X1DII、907X、X2Dにおいてオートフォーカスを利用するために必要なHCレンズ・ファームウェア19.1.0を適用することができない。
そのため2種類のマウントアダプター、X H Lens Adapter、XH CONVERTER 0.8を経由してXCDマウントカメラに装着してもオートフォーカスは使用できない。

フジフィルムブランドのHCレンズは、ハッセルブラッドの修理サポート対象外で、フジフィルムによる修理対応も終わっているため故障時はどうすることもできない。フジフィルムブランドのHレンズは格安で売られているが購入時はそのことを意識する必要がある。ハッセルブラッドブランドのHCレンズであれば、古いレンズでもハッセルブラッドにて、有償だが修理対応してもらえる。

HCレンズは富士フイルム製造なので、X1D、X1DII、907X、X2Dと同じセンサーサイズの富士フイルムGFXシリーズもマウントアダプター(H MOUNT ADAPTER G)を用意している。
このアダプターはフォーカスはマニュアルフォーカスのみで、シャッターはレンズシャッターとカメラ側のメカシャッターを使用できる。

仕様・比較

レンズ名HASSELBLAD
HC 35mm
CONTAX
ディスタゴン 35mm
LEICA
ズマリット S 35mm
焦点距離(mm)35.835.535
最大絞り3.53.52.5
最小絞り323222
レンズ構成10群11枚8群11枚9群11枚
最短撮影距離(m)0.50.50.55
レンズ長(mm)
マウント面からの距離
124108122
レンズ最大径(mm)10010288
フィルター径(mm)959582
重量(g)975877930/1030(CS)
リリース年19992013.10.10
価格2023年中古価格
150,000円〜
287,000円
2023年中古価格7万円〜
847,000円
979,000円(CS)
HC 35mm レンズ仕様書(英語)

参考情報

更新履歴

  • 2025.6.12
  • 2024.9.9
  • 2024.03.23:改稿
  • 2022.03.23:初稿

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