HASSELBLAD HC f3.5 50mm-II
Hシリーズの標準レンズ
ハッセルブラッド HC 50mm F3.5 2型のレビューと写真作例
目次
ギャラリー
- 写真作例の撮影はX2D
- 写真作例の撮影はX1D / X1DII
レビュー
1.使用感
ハッセルブラッド HC 50mm 2型は、所有するHシリーズレンズの中では比較的あとのほうに購入したレンズで、Xシリーズでオートフォーカス(以下、AF)可能なオレンジドット付きのレンズだ。
購入時のファームウェアは少し古かったため、ファームウェア 19.1.0に更新して、X H Lens Adapter、XH CONVERTER 0.8でAF可能なことを確認した。、X1DIIでレンズ情報を確認するとシャッター使用回数は約3000回であった。
AF合焦速度はHC、HCDレンズの中では早いほうで、AF合焦精度は問題ないためMFで使用することはほとんど無い。また、レンズが2型になり性能が上がり、周辺の画質向上と歪みが目立たない特性と合わせて、ストリートスナップなど風景撮影に持ち出すことが多く、小旅行や散歩の際に使用頻度が高いレンズだ。
逆光耐性は太陽が画角内に入る場合、角度によってはコントラスト低下が起きるため注意が必要であり、野外ではフードが欲しくなるが、Hシリーズカメラのフードはいずれも大きくてかさばるため、このレンズもフード無しで使用している。
HC 50-110ズームを使うようになり、本レンズとHC 50-110は焦点距離と開放F値がまるかぶりで、フィールドでの利便性を考えると、車移動の場合はHC 50-110ズームの仕様頻度が高い。
本レンズは2型へのリニューアル時に、ズームレンズとの差別化のためにHCDレンズに変更し、開放F値を2〜2.5に向上させ、鏡筒小型化して重量を減らして、最短撮影距離0.35m程度に縮めていれば、より良いレンズになったと思う。
このレンズの弱点は、最短撮影距離が0.6mとあまり寄れないことだ。
それを補うため、HC50mm-2型に最適化されているという 「Hasselblad Macro Converter for H Lenses」を使用すると、最短撮影距離が0.4mになるが、最長撮影距離が0.6mに制限される。よって、この製品は高性能な延長チューブである。本コンバーターを装着することによりHC 50mmのピント範囲が0.4m〜∞になるならためらわずに購入したかった製品だ。
2.レンズ概要
ハッセルブラッド HC 50mm 2型は、ハッセルブラッド Hシリーズカメラ用の焦点距離50mmのレンズ。
HCシリーズなので中判カメラHxDで使用する場合、センサーサイズ40.2 × 53.7(40 x 54) mmまでカバーし、そのとき焦点距離は35mm判換算で約33mmになる。
X1D、X1DII、X2D、907Xでは、X H Lens AdapterかXH CONVERTER 0.8を経由して本レンズを使用できる。また、x1.7テレコンと3種類のEXTENSION TUBES H(13mm/26mm/52mm)も使用できる。
- X H Lens Adapterを使用した場合、焦点距離約40mm F3.5
- XH CONVERTER 0.8を使用した場合、焦点距離32mm F2.4
- X H Lens Adapter*を介してx1.7テレコンを使用した場合、焦点距離69.5mm、最大絞りF5.6
レンズ構成は7群11枚のレトロフォーカスレンズで、手に持つとコンパクトな筐体から受ける印象とは逆でずっしりとした塊感があり、レンズの重量はより明るく長焦点距離のHC 100mm F2.2よりも重くて長い。HC50mmを装着した、システム重量は、レンズ単体重量が1kgでコンバータ(175g か 430g)とカメラ(766g)を足すと2〜2.2kgとなり、HCレンズをつけたX1D-IIとしてはそれでも軽い部類にはいる。
3.アクセサリー互換性
- Converter H 1.7x(x1.7 テレコンバーター)は使用できる。
- Extension-Tube-H(H13/H26/H52)は使用できる。
- HTS 1,5 TILT AND SHIFT ADAPTERは使用できる。
- イメージサークルは中判フィルムサイズまでカバーする。
4.AF対応について
HC/HCDシリーズレンズをマウントアダプター(X H Lens Adapter、XH CONVERTER 0.8)を経由してX1D,X1DII,X2D,907Xに装着しオートフォーカス(以下、AF)を動作させるには、レンズファームウェア19.1.0が必要である。レンズファームウェア19.1.0を適用するためには条件があり、ファームウェア18.0.0以降のレンズが必要である。古いファームウェアの17.0.0以前のレンズはファームウェア19.1.0を適用することができない。
Xシリーズカメラにおける、AF対応状況をまとめると以下の通りである。
- オレンジドット レンズ
- レンズにオレンジ色のマークがついた、通称オレンジドットのレンズは、レンズファームウェアが18.0.0以降であり、ファームウェア19.1.0に更新することによりAFが動作する。
- HC120、HC120-IIはハッセルブラッド社の制限により、ファームウェア 19.1.0でもAFは動作しない。
- 非オレンジドット レンズ
- AF可能なレンズ
- レンズファームウェア18.0.0以降の場合、ファームウェア19.1.0に更新してAFが動作する。
- 非オレンジドットレンズは、シリアルナンバーがVから始まる2010年以降に製造されたレンズの一部レンズがレンズファームウェア18.0.0以降となっている。
- AF不可能なレンズ
- レンズファームウェア17.0.0以前のレンズ
- シリアルナンバーがSから始まるレンズ(2000年~2009年に製造)
- フジノンブランドのレンズ
- AF可能なレンズ
上述にも例外があり、レンズの修理時にフォーカスユニット交換などで新しいファームウェアになっている場合もある。
ハッセルブラッド XシリーズでAFを使えるか否かは、シリアルナンバーから判断するだけでなく、カメラに装着して実際のレンズファームウェアを確認するのが最も確実である。
5.FUJINONレンズについて
HC50mm 2型は、シャッターユニットが改良されたオレンジドットのレンズとともにリニューアルされたはずなので、FUJIフィルムブランド(SUPER EBC FUJINON)は存在しない(筆者は見たことがない)。
HC50mm 1型は、FUJIフィルムブランド(SUPER EBC FUJINON)とHASSELBLADブランドが流通しており、FUJIフィルムブランドはAF非対応で、HASSELBLADブランドは「AF対応について」で記述したとおりファームウェア次第である。
また、FUJINONブランドのHCレンズは、HASSELBLADの修理サポート対象外でFUJIフィルムによる修理サポートも終わっているため、故障時に対応することができない。HASSELBLADブランドのHCレンズは古くてもHASSELBLAD社にて修理対応してもらえる。
FUJIブランドのHCレンズは格安で売られているが、購入時は注意が必要である。
HCレンズは富士フイルム製造なので、X1D、X1DII、907X、X2Dと同じセンサーサイズの富士フイルムGFXシリーズもマウントアダプター(H MOUNT ADAPTER G)を用意している。こちらはMF(マニュアルフォーカス)専用となるが、カメラ側のメカシャッターだけでなく、レンズシャッターも使用できる。
仕様
項目 | 50-II(2型) | 50-I(1型) |
焦点距離(mm) | 50 | ← |
最大絞り | 3.5 | ← |
最小絞り | 32 | ← |
レンズ構成 | 7群11枚 | 9群10枚 |
最短撮影距離(m) | 0.6 | ← |
レンズ長(mm) | 116 | ← |
レンズ最大径(mm) | 85 | ← |
フィルター径(mm) | 77 | ← |
重量(g) | 975 | ← |
参考リンク
更新履歴
- 2024.9.1
- 2024.03.23:改稿
- 2022.03.19:初稿