Hシリーズ最大口径 HASSELBLAD HC100mm

Hシリーズ最大口径 HASSELBLAD HC100mm

ハッセルブラッド HC 100mm F2.2のレビューと写真作例

目次

ギャラリー

撮影に使用したカメラは、HASSELBLAD X1D-50C、X1DII-50C、X2D-100C
カメラとの接続は、XH-adapter、XH-Converter0.8
次のオプションを使用した、Extender 26mm、HC-Converter1.7

レビュー

  1. 概要
  2. 使用感
  3. まとめ
Before imageAfter image

1.概要

ハッセルブラッド HC 100mm F2.2はHシリーズの最大口径レンズ。

中判カメラHシリーズで使用する場合、645版フィルム、デジタルセンサーでは40.2×53.7mmまでカバーし、そのとき焦点距離は35mm判換算では焦点距離は約67mmとなる。

HASSELBLAD Xシリーズカメラ、X1D、X1DII、907X、X2Dでは、XH AdapterXH CONVERTER 0.8のどちらかを経由して使用する。CONVERTER H x1.7テレコンバーターを併用することも可能で、3種類のEXTENSION TUBES H(13mm/26mm/52mm)を使用した近接撮影も可能である。ギャラリーに26mm延長チューブ・H26を使用した作例を載せた。

使用するマウントアダプターによって35mm判換算の焦点距離は異なり以下のとおりとなる。

  • X H Lens Adapterを使用した場合、焦点距離約80mm 最大絞り F2.2
  • XH CONVERTER 0.8を使用した場合、焦点距離64mm 最大絞り F1.8
  • X H Lens Adapterとx1.7テレコンを使用した場合、焦点距離170mm 最大絞り F3.5
  • XH CONVERTER 0.8とx1.7テレコンを使用した場合、焦点距離136mm 最大絞り F2.8

レンズ構成はシンプルな5群6枚のプラナー型、87.5mmという大きなレンズ径で、プラナーが持っているネガな部分を覆い隠す設計思想だ。基本的に大口径化により、光学的に周辺部を補正しなくてもゆがみが減り、センサーへの光の入射角も浅く維持できる。

レンズ単体重量が780gで、コンバータとカメラを足すと1.5kg程度で、HCレンズの中では軽い部類にはいる。

○アクセサリー互換性のまとめ

2.使用感

ハッセルブラッド HC 100mm F2.2はハッセルブラッド Hシリーズカメラ用の大口径中望遠レンズ。

描写は露出をアンダー気味にして、被写体を浮かび上がらせるように撮影すると、先鋭な描写とあいまってピント位置が際立つように描写される。

X2D-100Cの1億画素にも十分に対応できるレンズで、逆光耐性も十分あり、野外にてフード無しで使用しても困ることはほとんどない。

オートフォーカス速度は他のオートフォーカス可能レンズと同程度の速度でオートフォーカス合焦速度は早くはない。特に撮影場所のコントラストの違いがあまりない場所ではオートフォーカスは迷う。本レンズは重量が重い大きな前玉を動かしてフォーカスするためか、中古市場ではオートフォーカスモーターが壊れたレンズを見かけるため、オートフォーカスモーターを酷使するのは危険で、オートフォーカスはおまけ程度に考えると幸せだ。

被写体を見てコントラストの違いが少ない被写体では、あらかじめマニュアルフォーカスに切り替えてフォーカスするのがレンズを痛めないためにもベターだ。オートフォーカスへの割り込みマニュアルフォーカスも使用できる。
しかし、マニュアルフォーカス割り込みはレンズモーターにたいしてストレスが大きい可能性があるため、多用しないようにしている。

幸いにしてフォーカスリングは幅広で使いやすい。フォーカスリングを回すと無限を超えたところで、ざらざらした感触がする。これはフォーカシング中に無限を超えたと目安と思っている。
また、ボディをX2Dに変更してからオートフォーカスの迷いが減った。
駆動モーターと焦点調整レンズの重さから合焦速度はそれほど向上しないけれど合焦精度が向上するのはうれしい。

オレンジドット付きを確認して購入したのでX H Lens AdapterXH CONVERTER 0.8でオートフォーカスが使用できることはわかっていた。購入直後にX1DIIでレンズ情報を確認すると、ファームウェアは18.0.0でシャッター回数は約8000回であった。オートフォーカスを使うためにファームウェアを19.1.0にアップデートした。

3.まとめ

結論としてハッセルブラッド HC 100mm F2.2をまとめると、645判をカバーする大きなイメージサークルを持ち、中判デジタルセンサーで使うには十分な解像度と平坦性をもっている。

オートフォーカスはおまけ程度に考えると良い。

Xシリーズで使用する際はXH CONVERTER 0.8を使用すると、絞り開放F値が1.8に向上するため、オレンジドットのついたシャッター速度1/2000の新型レンズを積極的に選択する価値がある。

○オートフォーカス対応について

HC/HCDシリーズレンズをマウントアダプター(XH AdapterXH CONVERTER 0.8)を経由してX1D,X1DII,X2D,907Xに装着しオートフォーカスを動作させるには、レンズファームウェア19.1.0が必要である。レンズファームウェア19.1.0を適用するためには条件があり、ファームウェア18.0.0以降のレンズが必要である。古いファームウェアの17.0.0以前のレンズはファームウェア19.1.0を適用することができない。

Xシリーズカメラにおける、オートフォーカス対応状況をまとめると以下の通りである。

  1. オレンジドット レンズ
    • レンズにオレンジ色のマークがついた、通称オレンジドットのレンズは、レンズファームウェアが18.0.0以降であり、ファームウェア19.1.0に更新することによりオートフォーカスが動作する。
    • HC120、HC120-IIはハッセルブラッド社の制限により、ファームウェア 19.1.0でもAFは動作しない。
  2. 非オレンジドット レンズ
    • AF可能なレンズ
      • レンズファームウェア18.0.0以降の場合、ファームウェア19.1.0に更新してAFが動作する。
      • 非オレンジドットレンズは、シリアルナンバーがVから始まる2010年以降に製造されたレンズの一部レンズがレンズファームウェア18.0.0以降となっている。
    • AF不可能なレンズ
      • レンズファームウェア17.0.0以前のレンズ
      • シリアルナンバーがSから始まるレンズ(2000年~2009年に製造)
      • フジノンブランドのレンズ

上述にも例外があり、レンズの修理時にフォーカスユニット交換などで新しいファームウェアになっている場合もある。

ハッセルブラッド XシリーズでAFを使えるか否かは、シリアルナンバーから判断するだけでなく、カメラに装着して実際のレンズファームウェアを確認するのが最も確実である。

○FUJINONレンズについて

HCレンズはフジフィルムブランド・SUPER EBC FUJINONのものがあり、両レンズ共にHASSELBLAD HCカメラで使用できる。FUJINONブランドのレンズは最高シャッタースピードが1/800が最高速度なので最新の最高シャッタースピード1/2000と比べると表現の幅が狭まる。

また、レンズファームウェアが古いため、XCDマウントカメラ・X1D、X1DII、907X、X2Dにおいてオートフォーカスを利用するために必要なHCレンズ・ファームウェア19.1.0を適用することができない。
そのため2種類のマウントアダプター、X H Lens Adapter、XH CONVERTER 0.8を経由してXCDマウントカメラに装着してもオートフォーカスは使用できない。

フジフィルムブランドのHCレンズは、ハッセルブラッドの修理サポート対象外で、フジフィルムによる修理対応も終わっているため故障時はどうすることもできない。フジフィルムブランドのHレンズは格安で売られているが購入時はそのことを意識する必要がある。ハッセルブラッドブランドのHCレンズであれば、古いレンズでもハッセルブラッドにて、有償だが修理対応してもらえる。

HCレンズは富士フイルム製造なので、X1D、X1DII、907X、X2Dと同じセンサーサイズの富士フイルムGFXシリーズもマウントアダプター(H MOUNT ADAPTER G)を用意している。
このアダプターはフォーカスはマニュアルフォーカスのみで、シャッターはレンズシャッターとカメラ側のメカシャッターを使用できる。

仕様・レンズ比較

Before imageAfter image
項目HASSELBLAD HC100SUMMICRON-S 100
焦点距離(mm)100100
最大絞り2.22
最小絞り3222
レンズ構成5群6枚5群7枚
最短撮影距離(m)0.90.7
レンズ長(mm)80.5102
レンズ最大径(mm)87.591
フィルター径(mm)7782
重量(g)780910
HC 100mm レンズ仕様書(英語)

参考情報

更新履歴

  • 2024.8.30
  • 2024.03.22:改稿
  • 2022.03.03:初稿

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