HASSELBLAD HCD f4-5.6 35-90mm
Hレンズシリーズの広角ズームレンズ
ハッセルブラッド HCD 35-90mm F4-5.6のレビューと写真作例
目次
ギャラリー
レビュー
1.使用感
ハッセルブラッド HCD 35-90mm F4-5.61は、Xシリーズカメラ用に3本目に導入したレンズで、中古で購入したがカメラに装着してシャッター回数を確認すると3回のほぼ新品であった。
X1DII、X2Dで使用したときのオートフォーカス(以下、AF)の合焦速度はHC、HCDレンズとしては標準的な速度で、AF動作のくせをつかむと高思い通りの位置で合焦させることができる。
最短撮影距離が焦点領域全てで65cmであるため、50mm以上の焦点距離では被写体に寄れる印象となる。また、さらに近接したいときは延長チューブも使用可能だ。
レンズ単体重量は1.4kgと重量級で、カメラシステムにすると3kg近い重量になるが、カメラ装着時のバランスがよいためか、長時間の撮影に使用してもそれほど苦にならない。
レンズには金属製のフードが付属しているが、フードをしなくても逆光耐性が十分であることから装着することは少ない。この逆光耐性と1/2000のレンズシャッターを搭載しているため野外撮影でも活躍する。ただし、レンズ本体が大きいため持って行く場所によっては非常に目立つのが難点だ。
2.レンズ概要
HCD 35-90mm F4-5.6はハッセルブラッド Hシリーズカメラ用のズームレンズで、レンズ名のとおり焦点距離35mm〜90mmをカバーする。
インナーフォーカス、インナーズームレンズでズーム操作、フォーカス操作時にレンズ長は焦点距離、ピント位置で変化しない。
HCDレンズシリーズなのでセンサーサイズは48 x 36mmサイズのセンサーに最適化されており、それより大きいサイズのセンサー53.7 x 40.2mmではレンズのイメージサークルが足りず周辺部がけられる。
オレンジドットのついたレンズは最高速度1/2000のレンズシャッターを備えており、無印のレンズは1/800のレンズシャッターを備えている。
X1D(4116 edtion)、X1DII、X2D、X907は、X H Lens Adapter2かXH CONVERTER 0.83を経由して本レンズを使用でき、使用するアダプターによって35mm判換算の焦点距離は異なり、X H Lens Adapterを使用した場合、焦点距離28mm 〜 72mm、XH CONVERTER 0.8を使用した場合、焦点距離23.3mm 〜 56mmになる。
XH CONVERTER 0.8で撮影した場合、レンズのイメージサークルが足りず周辺が少しけられる。専用の撮影現像ソフトウェア Phocusは自動で周辺部をクロップ(トリミング)する。
クロップ前のフルサイズイメージを確認することもでき、Phocusの画像メニューから【クロップ解除】を選択する。
本レンズはライカ SシリーズでHC/HCDレンズを使用するための、ライカ純正マウントアダプターS-Adapter H4に対応するズームレンズで35mm判換算・焦点距離28mm 〜 72mm相当のレンズとなる。
フジフィルムのGFXシリーズは、 FUJIFILM純正のH MOUNT ADAPTER G5を使うと、マニュアルフォーカスでHシリーズ レンズを使用することができる。
3.アクセサリー互換性
- Extension-Tube-H(H13/H26/H52)は使用できる(エクステンションチューブのデータシートには記載が無いが実機では使用できた)。
- HTS 1,5 TILT AND SHIFT ADAPTERは使用できない。
- イメージサークルは中判フィルム(41.5 x 56mm)をカバーしていない。
- Converter 1.7x(x1.7 テレコンバーター)は使用できない。
- S-Adapter Hに対応しない。
- H MOUNT ADAPTER Gに対応する。
4.AF対応について
HC/HCDシリーズレンズをマウントアダプター(X H Lens Adapter、XH CONVERTER 0.8)を経由してX1D,X1DII,X2D,907Xに装着しオートフォーカス(以下、AF)を動作させるには、レンズファームウェア19.1.0が必要である。レンズファームウェア19.1.0を適用するためには条件があり、ファームウェア18.0.0以降のレンズが必要である。古いファームウェアの17.0.0以前のレンズはファームウェア19.1.0を適用することができない。
Xシリーズカメラにおける、AF対応状況をまとめると以下の通りである。
- オレンジドット レンズ
- レンズにオレンジ色のマークがついた、通称オレンジドットのレンズは、レンズファームウェアが18.0.0以降であり、ファームウェア19.1.0に更新することによりAFが動作する。
- HC120、HC120-IIはハッセルブラッド社の制限により、ファームウェア 19.1.0でもAFは動作しない。
- 非オレンジドット レンズ
- AF可能なレンズ
- レンズファームウェア18.0.0以降の場合、ファームウェア19.1.0に更新してAFが動作する。
- 非オレンジドットレンズは、シリアルナンバーがVから始まる2010年以降に製造されたレンズの一部レンズがレンズファームウェア18.0.0以降となっている。
- AF不可能なレンズ
- レンズファームウェア17.0.0以前のレンズ
- シリアルナンバーがSから始まるレンズ(2000年~2009年に製造)
- フジノンブランドのレンズ
- AF可能なレンズ
上述にも例外があり、レンズの修理時にフォーカスユニット交換などで新しいファームウェアになっている場合もある。
ハッセルブラッド XシリーズでAFを使えるか否かは、シリアルナンバーから判断するだけでなく、カメラに装着して実際のレンズファームウェアを確認するのが最も確実である。
5.FUJINONレンズについて
- HCD 35-90mmレンズは、フジノンブランドを市場で見たことが無いのでおそらく存在しない。
仕様・比較
レンズ名 | CONTAX VARO-SONNAR45-90 | HASSELBLAD HCD35-90 | LEICA VARIO ELMAR 30-90 |
焦点距離(mm) | 45.9〜87.5 | 36.3〜87 | 30〜90 |
最大絞り | 4.5 | 4.5(5.6) | 3.5(5.6) |
最小絞り | 32 | 32 | 32 |
レンズ構成 | 10群12枚 | 11群13枚 | 11群14枚 |
最短撮影距離(m) | 0.5 | 0.65 | 0.65 |
レンズ長(mm) | 115 | 167 | 113.5 |
レンズ最大径(mm) | 102 | 102.5 | 101 |
フィルター径(mm) | 95 | 95 | 95 |
重量(g) | 1140 | 1410 | 1030 |
リリース年 | 2002 | 2016年(オレンジドット) | 2012年 |
価格 | 379,000円 2023年中古価格15万円〜 | 102.4万円 2023年中古価格30万円〜 | 122万円 2023年中古価格50万円〜 |
HCD35-90mm lens configuration diagram (taken from the official Hasselblad page)
VARIO SONNAR 45-90mm lens construction diagram (taken from the official ZEISS page)
参考リンク
更新履歴
- 2024.8.28
- 2024.03.23:改稿
- 2022.02.12:初稿
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