Hシリーズ広角ズーム HASSELBLAD HCD35-90mm

Hシリーズ広角ズーム HASSELBLAD HCD35-90mm

ハッセルブラッド HCD 35-90mm F4-5.6をHASSELBLAD Xシリーズで使用したレビューと写真作例

目次

ギャラリー

写真作例の撮影は以下のとおり。

  • HASSELBLAD X2D-100C +XH-Converter0.8
  • HASSELBLAD X1DII-50C +XH-adapter
  • HASSELBLAD X1DII-50C +XH-Converter0.8

レビュー

  1. 概要
  2. 使用感
  3. まとめ
Before imageAfter image

1.概要

ハッセルブラッド HCD 35-90mm F4-5.6はハッセルブラッド Hシリーズカメラ用のズームレンズ。

焦点距離35mmから90mmをカバーする2.5倍ズームレンズで、2つの回転リングの内、レンズ前方がフォーカスリング、後方がズームリング。インナーフォーカス、インナーズームを採用しフォーカス操作、ズーム操作時にレンズ長は変化しない。

HCDレンズシリーズなのでセンサーサイズは48 x 36mmサイズ以下のセンサーに最適化されており、645版フィルムやより大きなサイズの53.7 x 40.2mmセンサーで使用するとレンズのイメージサークルが足りず画面の周辺部にケラレが発生する。

オレンジドットのついたレンズは最高速度1/2000のレンズシャッターを備えており、無印のレンズは1/800のレンズシャッターを備えている。

HASSELBLAD Xシリーズカメラ、X1D、X1DII、907X、X2Dでは、XH AdapterXH CONVERTER 0.8のどちらかを経由して使用する。種類のEXTENSION TUBES H(13mm/26mm/52mm)を使用した近接撮影も可能である。

使用するマウントアダプターによって35mm判換算の焦点距離は異なり以下のとおりとなる。

  • XH Adapterを使用した場合、焦点距離28mm 〜 72mm
  • XH CONVERTER 0.8を使用した場合、焦点距離23.3mm 〜 56mmになる。

XH CONVERTER 0.8で撮影する際はレンズのイメージサークルが足りず画面の周辺部にケラレが発生するのは、645フィルム、中判デジタルでは大きめのセンサーとなる53.7 x 40.2mmセンサーと同じである。
この撮影結果は専用の撮影現像ソフトウェア Phocusで処理をすると、自動で周辺部がクロップ(トリミング)される。もちろん、クロップ前のフルサイズイメージは保存されており、 Phocusの画像メニューから【クロップ解除】を選択すると周辺部を含めた画像を扱うことができる。

本レンズはLEICA S シリーズでHC/HCDレンズを使用するライカ純正マウントアダプターS-Adapter Hに対応するズームで、LEICA S シリーズで使用すると35mm判換算・焦点距離28mm 〜 72mm相当のレンズとなる。

フジフィルムのGFXシリーズは、 FUJIFILM純正のH MOUNT ADAPTER Gを使うと、レンズシャッターとマニュアルフォーカスで本レンズを使用することができる。

○アクセサリー互換性のまとめ

2.使用感

ハッセルブラッド HCD 35-90mm F4-5.6は、ズームレンズだが画質には一切の妥協が無い。これはPhocus補正の恩恵もあるだろうが、ズームレンズとしてはよくできている。

本レンズをX1DII、X2Dで使用したときのオートフォーカスの合焦速度はHC、HCDレンズとしては標準的な速度で、オートフォーカス動作のくせをつかむと高思い通りの位置で合焦させることができる。

最短撮影距離が焦点領域全てで65cmであるため、50mm以上の焦点距離では被写体に寄れる印象となる。
また、さらに近接したいときは延長チューブも使用可能だ。
レンズ単体重量は1.4kgと重量級で、カメラシステムにすると3kg近い重量になる。
しかし、カメラ装着時のバランスがよいためか、長時間の撮影に使用してもそれほど苦にならない。

レンズには金属製のフードが付属しているが、フードをしなくても逆光耐性が十分であることから装着することは少ない。この逆光耐性と1/2000のレンズシャッターを搭載しているため野外撮影でも活躍する。ただし、レンズ本体が大きいため持って行く場所によっては非常に目立つのが難点だ。

Xシリーズカメラ用に3本目に導入したレンズで、中古で購入したがカメラに装着してシャッター回数を確認すると3回のほぼ新品であった。

3.まとめ

結論としてハッセルブラッド HCD 35-90mm F4-5.6をまとめると、重くて大きいが描写の優れたレンズである。

手に持つとして持ち運ぶのは体力が必要だが、撮影地へ自動車などで移動し短時間の移動で済む撮影であれば、単焦点レンズを取り替えながら撮影するよりも効率よく撮影ができる。

○オートフォーカス対応について

HC/HCDシリーズレンズをマウントアダプター(XH AdapterXH CONVERTER 0.8)を経由してX1D,X1DII,X2D,907Xに装着しオートフォーカスを動作させるには、レンズファームウェア19.1.0が必要である。レンズファームウェア19.1.0を適用するためには条件があり、ファームウェア18.0.0以降のレンズが必要である。古いファームウェアの17.0.0以前のレンズはファームウェア19.1.0を適用することができない。

Xシリーズカメラにおける、オートフォーカス対応状況をまとめると以下の通りである。

  1. オレンジドット レンズ
    • レンズにオレンジ色のマークがついた、通称オレンジドットのレンズは、レンズファームウェアが18.0.0以降であり、ファームウェア19.1.0に更新することによりオートフォーカスが動作する。
    • HC120、HC120-IIはハッセルブラッド社の制限により、ファームウェア 19.1.0でもAFは動作しない。
  2. 非オレンジドット レンズ
    • AF可能なレンズ
      • レンズファームウェア18.0.0以降の場合、ファームウェア19.1.0に更新してAFが動作する。
      • 非オレンジドットレンズは、シリアルナンバーがVから始まる2010年以降に製造されたレンズの一部レンズがレンズファームウェア18.0.0以降となっている。
    • AF不可能なレンズ
      • レンズファームウェア17.0.0以前のレンズ
      • シリアルナンバーがSから始まるレンズ(2000年~2009年に製造)
      • フジノンブランドのレンズ

上述にも例外があり、レンズの修理時にフォーカスユニット交換などで新しいファームウェアになっている場合もある。

ハッセルブラッド XシリーズでAFを使えるか否かは、シリアルナンバーから判断するだけでなく、カメラに装着して実際のレンズファームウェアを確認するのが最も確実である。

○FUJINONレンズについて

  • HCD 35-90mmレンズは、フジノンブランドを市場で見たことが無いのでおそらく存在しない。

仕様・比較

Before imageAfter image
レンズ名CONTAX
VARO-SONNAR45-90
HASSELBLAD
HCD35-90
LEICA
VARIO ELMAR 30-90
焦点距離(mm)45.9〜87.536.3〜8730〜90
最大絞り4.54.5(5.6)3.5(5.6)
最小絞り323232
レンズ構成10群12枚11群13枚11群14枚
最短撮影距離(m)0.50.650.65
レンズ長(mm)115167113.5
レンズ最大径(mm)102102.5101
フィルター径(mm)959595
重量(g)114014101030
リリース年20022016年(オレンジドット)2012年
価格379,000円
2023年中古価格15万円〜
102.4万円
2023年中古価格30万円〜
122万円
2023年中古価格50万円〜
HCD 4-5,6/35-90 ASPHERICAL レンズ仕様書(英語)

参考情報

更新履歴

  • 2025.6.12
  • 2024.8.28
  • 2024.03.23:改稿
  • 2022.02.12:初稿

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