Final Kodak DCS Pro SLR/n

KODAK DCS Pro SLR/nのレビューと写真作例
目次
ギャラリー
写真作例の撮影はSAMYANG 35mm F1.4 / Tamron MF 50mm(52B)
レビュー


1.概要
KODAK DCS Pro SLR/nは、ニコンのフィルムカメラ F80をベースとしたデジタルカメラ。
ファインダーやミラーなどのメカ部分はF80で、グリップとボディ下部にデジタル関係の回路が詰まっている。
カメラ単体で1kgあるので、レンズを付けるとそれなりの重さになる。センサーはコダックとベルギーのフィルファクトリー社が共同開発した35mmフルフレームセンサー、1350万画素(4500×3000 ピクセル)。
2022年現在、最後にリリースされたKODAK製 デジタル1眼レフデジタルカメラだ。カメラ名DCS Pro SLR/nの”/n”はニコンFマウント採用を示すものである。製品名に”/c”のついた、SIGMAカメラベースのCANON EFマウントマウント版も存在するがこちらは中古市場でも見たことがない。
バッテリーは専用の特殊形状で、すでに互換品もないため、カメラを入手する際は注意が必要だ。

2.使用感
KODAK DCS Pro SLR/nの搭載する初期35mm判フルフレームセンサーは、ISO160はとてもクリアーな画像を得ることができる。しかし、その描写を享受するためには使用するレンズを選ぶ必要があり、解像度に秀でたレンズを使う必要がある。
センサー前面のローパスフィルターを搭載していないため、被写体によってはモアレや偽色が発生する。ギャラリーは夜の京都を撮り歩いたときにISO320を使用したものも掲載した。暗所ではISO320でノイズが浮いてくるのは、2004年におけるセンサーテクノロジーの限界だ。
しかし、フィルムカメラでISO400フィルムを使っていた身からすると、ISO320であればこのくらいのノイズがあらわれるのは普通と感じる。
FマウントのAFレンズを持っていなかったので、MFでのみ使用したがF80譲りのファインダーは見やすく、ピント合わせも十分な精度で可能であり、1バッテリーで100枚程度撮影でき、野外でも十二分な機動性をもつカメラであった。
前述のとおり、ニコンのF80にデジタル機器をつめこんだカメラなので、グリップ付近がやたらと太く下ぶくれなカメラで重量バランスはあまりよくない。
3.まとめ
結論としてKODAK DCS Pro SLR/nをまとめると、NIKON F80を解像したデジタル一眼レフで、その描写はオリジナルセンサーが作り出す個性的な描写である。ISO感度はベースの160から上げていくとノイズが増えるけれど、それもセンサーの特徴として許容できる。
電源部分は洗練されていないため、大型のバッテリーを積んでいるにもかかわらず、撮影できる枚数は多くなく、予備バッテリーの入手も困難で2025年現在入手しても一度に多く撮影するよとには向いていない。しかし、一度の撮影で50枚程度をスナップでとるならば十分実用に耐える。
仕様・比較
コダックはFマウントは35mmフルフレームセンサーは難しいと言われた時代に、ニコン・ボディベースとはいえ、35mmフルフレームセンサーを搭載したデジタルカメラをリリースしていたのは、技術力の証左だろう。せっかくの技術力もってしても会社は存続できなかったのは残念だ。いまもブランドは健在だが過去の蓄積がどの程度残っているかは不明である。一部リバーサルフィルムの復刻をしていたりするのでそのDNAは生きているのかもしれない。
DCS Pro SLR/nを所有していたのは2012年から2013年と販売開始されてから8年後に中古を入手した。
1350万画素は2022年現在でも十分な解像度で、金欠のときに二束三文で売ってしまったが、いまでも手元に置いておけば良かったと思うカメラの一つである。
前モデルのDCS Pro 14/nとの違いを調査したがその違いはほとんどなく、DCS Pro SLR/nはDCS Pro 14/nにたいして、内部的な改善が主な点とのことで、その内容は電源部分の改善、バッファメモリー(256MB>512MB)の増強が代表的な項目のようだ。
プロ向けカメラで高価なこともありDCS Pro 14/nにたいして機能アップグレードが実施されたようで、アップデートによりDCS Pro SLR/nと同性能を持つDCS Pro 14/nもあるようだ。
F80ベースのデジタルカメラといえば、フジフィルムのFinePix S3proも該当するが、こちらはコンシューマー向けで市販価格重視のため、センサーがAPS-Cでレンズ焦点距離が1.5倍となる弱点がある。
項目 | DCS Pro SLR/n | DCS Pro14/n |
カメラ有効画素数 | 13.5-Megapixels | ← |
マウント | F-Mount | ← |
撮像素子 | 36mm × 24mm FullFrame CMOSセンサー | ← |
背面液晶 | 2インチ・13万ドット | ← |
ファインダー | アイレベル式ペンタプリズム 約92%(対実画面) 約0.75倍(50mmレンズ使用・∞・-1.0Dp時) | ← |
バッテリー | DCS Pro Battery、P/N 4E2843 | ← |
外形寸法(mm) | 幅 x 高さ x 奥行 158 × 131 × 89 グリップ及び、一部の突起は除く | ← |
重量(g) | 約907g (本体のみ) | ← |
リリース年 | 2004 | 2002 |
オプション
- DCS Pro Battery、P/N 4E2843
参考情報
更新履歴
- 2025.6.15
- 2024.12.31
- 2024.03.29:改稿
- 2023.09.03:初稿
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