LEITZ HEKTOR 5cm F2.5
生き残れなかった標準レンズ(1)
LEITZ HEKTOR 5cm F2.5のレビューと写真作例
目次
ギャラリー
- 写真作例の撮影はLEICA M9
レビュー
ヘクトール 5cm F2.5はライツ(ライカ)社が1930年にリリースした標準レンズ。
所有していた個体はフォーカスリングがほぼ全周回るタイプで距離表記はfeet、シリアルナンバー12xxxxから1932年の物とわかる。細身のレンズ鏡筒はデジタルライカにもマッチしファインダーの視野を遮ることもないことはありがたい。フォーカスリングはレンズ付け根なのでM型ライカの場合は少々扱いづらく、バルナックライカのほうが向いているだろう。絞り環は旧エルマー50mmなどと同様に先端に操作部があり、操作性がよいとは言えない。レンズを沈胴させることができるが、アクシデントによりセンサーや内部壁に当たると怖いので沈胴させて持ち歩いたことはなかった。
LEICA M9で使用しただけだが、順光下における描写はピント位置はしっかりしており、前後のボケはすこし汚い程度で場面によっては十分に使える。逆光など厳しめの条件で撮影したデータは残っていない。こういうレンズこそフィルムカメラで撮影しておけばよかったと思う。
3群6枚のトリプレット構成で3群のレンズがすべて貼り合わせを持っている。このため、製造数は1万本程度と比較的多いが、最初の製造が約100年前という事実を考えると、レンズの貼り合わせ部は劣化し曇りのでている個体が多いことが推察される。所有していたレンズも薄傷多数、曇っていたので格安で購入した。
ヘクトール、ズマール、ズミター、エルマー(旧)の4本の焦点距離50mmの標準は、価格的にライカレンズの入門編と言えるレンズだが、これらのレンズはすでに100年近く前に製造された個体もあるため、レンズ毎のコンディションの差はとても大きい。個体を試写して好みに合うか判断して購入するか、通販であればはまれば儲けものという気持ちが必要だろう。
仕様
項目 | ヘクトール | ズマール | ズミター | ズミクロン |
焦点距離(mm) | 50 | ← | ← | ← |
最大絞り | 2.5 | 2 | 2 | 2 |
最小絞り | 18 | 12.5 | 12.5/16 | 16 |
絞り羽根 | 6 | 6/10 | 6 | 10/16 |
レンズ構成 | 3群6枚 | 4群6枚 | 4群7枚 | ← |
最短撮影距離(m) | 1.0 | ← | ← | ← |
レンズ長(mm) マウント面からの距離 | 32 | – | – | – |
レンズ最大径(mm) | 47 | 47.8 | 47.8 | 47.8 |
フィルター径(mm) | A36かぶせ | ← | 36.5 | 39 |
フード | FIKUS | FIKUS / SOOMP | SOOPD | SOOFM / IROOA / ITDOO |
重量(g) | 190 130 | 205 180 | 240 | – |
リリース年 | 1930 | 1933 | 1938 | 1951 |
製造本数 | 5,600 | 127,950 | 172,390 | 253,314 |
参考文献・参考リンク
- Leica Wiki HEKTOR 50mm F2.5
- クラシックカメラ選書 19 ライカレンズの見分け方(朝日ソノラマ)・アマゾンアフィリエイトリンク
- 仕様の記載と仕様の違いが記述されており、レンズ描写への言及はない。
- 付録にレンズ構成図が載っている。
- ライカのレンズ(写真工業社)・アマゾンアフィリエイトリンク
- ヘクトールはP82に野崎治朗氏のレビューあり
更新履歴
- 2024.04.22