LUMIX S 20-60mm F3.5-5.6 S-R2060
レビュー
1.使用感
LUMIX S 20-601は、バンドルレンズとして売られることが多く、スペックを絞って安く仕上げるために、レンズは暗くレンズ側に手ぶれ補正がない。そのため、シグマ fp2やライカ3 SL typ601、T typ701、CL typ7323などボディ側に手ぶれ補正機構のないカメラは、少し暗所になると手ぶれの心配が大きくなる。ISOオートモードで積極的にISO感度を上げてシャッタースピードを確保するようにすれば手ぶれの心配は軽減される。しかし、画質が犠牲になる可能性は高い。
APS-Cサイズセンサーカメラで使う場合レンズの周辺部を利用しないため、撮影結果に大きな破綻を感じることはない。35mm判換算では、30mm〜90mmと一昔前の標準ズームレンズのカバー範囲となるが、軽くてコンパクトなレンズなので我慢できるだろう。
最短撮影距離はワイド側で0.15mとなっており、テーブルフォト用途に比較的使えるが、暗い店内では手ぶれに注意が必要だ。
このレンズはバンドルレンズとして売られたため、他のレンズを購入した所有者が中古市場に流しているためか、このレンズの中古在庫はよく見かける。そして安価である。
2.レンズ概要
LUMIX S 20-60は、LUMIX S5などのLマウント・35mmフルサイズミラーレスカメラのバンドルレンズとして発売された。非常に軽量なフルサイズセンサーをカバーするズームレンズで、ズームレンズのワイド端が20mmからはじまり60mmまでの3倍ズームとなっている。
レンズは20mmが最も短く60mmが最も長くなる、廉価ズームでよく採用される構造をしている。前述の通り、レンズの絞り開放値は、20mmがF3.5、60mmでF5.6となる。レンズ側に手ぶれ補正機構を搭載していない。
3.パナソニックのカメラ事業
こちらの内容は、LUMIX S 20-60mm F3.5-5.6 S-R2060とLUMIX S 24-105mm F4 MACRO O.I.S. S-R24105で共通。
他社の事業戦略に対しては大きなお世話なわけだが、一パナソニックファンとして2024年現在にたいして思うところを記しておく。
パナソニックのSレンズ4はレンズ性能は悪い物ではないのだが、レンズデザインを見て、欲しいか問われると、それほどでもないというのが正直なところだ。
撮影者に向けてレンズを売りたいなら、中華を含めアジアのカメラメーカーにさえ見劣りするデザインは致命的欠陥であり、レンズ鏡筒に派手なデコレーションはいらないが、街中やフィールドで一目でSレンズと認識できる意匠は必要と考える。
そして、これはすでにタイミングを逸しているが、Lマウント35mm・フルサイズミラーレスカメラを発売するときに、S1発売時点で負のイメージを背負ってしまっているLUMIXブランドはマイクロフォーサーズ5専用ブランドとして、新しいカメラシステムに新しいブランド名でスタートして欲しかった。
カメラという趣味性の高い製品において、ブランドとデザインはマストで、これが確立できていない状態で他社と販売量を競うことは非常に不利になる。そんなことは重々承知で現在の状況になっているはずなので、なんとも冒険ができない会社の体質がここに透けて見える気がする。
そして、パナソニックの参画しているLマウントアライアンスは、ブランド力のライカ、低価格のシグマがいる状況で、パナソニックはその中間価格帯を狙わざるをおえず、これも中途半端な立ち位置から脱却できない苦境の一因と考えられる。実際現在のLUMIX Sブランドは、高級でもなく安くもなくと非常に不安定なポジションに嵌まっている。
また、このレンズのプレスリリースにある月産50台6というのは悲しい数字で、バンドル狙いのレンズにしても少なすぎる数字であり、ここにもパナソニックのカメラ事業の苦しさが現れている。正直なのはよいことだが、あえてこのような数字は出さない方がいいと思える。
ミラーレスカメラで飛躍したソニーに対して、デジタルカメラ市場において低空飛行を続けるパナソニックは、シグマやライカの裏方に回った方が幸せな気さえしてくる。
撤退の2文字が常に漂っているように感じられるパナソニックのカメラ事業はどこにむかうのかウォッチは続けようと思う。
2024年6月にエントリー向けの35mmフルサイズセンサーを搭載した、LUMIX S9を発売したが、BCNの「デジタル一眼カメラ」売上げランキング7、2024年09月23日~09月29日で50位にランクインしていないので先行きは暗そうだ。S9がデジタル一眼に分類されていないということであればランクインしていないこともわかるけれど、S9は「デジタル一眼カメラ」だと思う。
仕様・比較
レンズ名 | S-R2060 | 18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary | VARIO-ELMAR-TL |
焦点距離(mm) | 20-60 | 18-50 | 18-56 |
最大絞り | 3.5-5.6 | 2.8 | 3.5-5.6 |
最小絞り | 22 | 22 | 16 |
レンズ構成 | 9群11枚 | 10群13枚 | 7群10枚 |
絞り羽根枚数 | 9 | 7 | – |
最短撮影距離(m) | 0.15〜0.4 (20〜40) | 0.12〜0.31 (18〜50) | 0.3〜0.45 (18〜56) |
レンズ長(mm) | 87.2 | 74.5(L-Mount) | 60 マウント面からの距離 |
レンズ最大径(mm) | 77.4 | φ65.4(L-Mount) | 63 |
フィルター径(mm) | 67 | 55 | E52(52mm) |
重量(g)(レンズのみ) | 360 | 290 | 256 |
リリース年 | 2020.7.20 | 2021.10 | 2014.4 |
定価(円・税別) | 74,000 | Open(65,000程度) | 200,000- |
参考文献・リンク
更新履歴
- 2024.10.11
- 2023.08.27
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- フルサイズミラーレス一眼カメラLマウントシステム用交換レンズ S-R2060 を発売 ↩︎
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