近接眼鏡 Macro ELMAR 90

Macro Elmar M 90mm F4をフィルムとデジタルのライカM型カメラで使用したレビューと写真作例
目次
ギャラリー
- 写真作例のカメラボディは、LEICA M6 TTLとLIECA M8.2
レビュー


1.概要
MACRO ELMAR 90mmはMマウントで唯一の「MACRO」を冠した中望遠レンズ。レンズ単体発売の他、レンジファインダーカメラでマクロ撮影を実現する眼鏡の付いたアダプター「MACRO-ADAPTER-M 14409 *eyes” version」とレンズのセットでも販売された。
主な仕様は以下の通りで、詳細は表に載せている。
- 開放F値 4
- レンズ構成 4群4枚
- 絞り羽根 10枚
- 最短撮影距離 通常時 0.77m マクロアダプター装着時 0.76〜0.5m
- ライカMレンジファインダーカメラ距離計連動 全域
- フード 12575/IUFOO(フック式)エルマー135mmなどと共通
- レンズカラーバリエーション シルバーとブラック
アダプター「MACRO-ADAPTER-M 14409 *eyes” version」は、マクロ・エルマー90mm専用で、フィルムカメラを含むレンジファインダーMカメラでマクロ撮影ができる。「MACRO-ADAPTER-M 14409 *eyes” version」は黒色のみ販売されている。
レンズ外観上の特長だが、レンズ上面(マクロアダプター無しでカメラに装着した際に上側にくる面)に通常使用時の深度メモリとフォーカス範囲、逆側の裏面にはマクロアダプター使用時の深度メモリとフォーカス範囲が刻印されている。通常のレンズは鏡筒下側には製造国の記載くらいしかないので、近接撮影時の目盛りが記載された鏡筒は新鮮に感じられる。
マクロ・エルマー 90mmの鏡筒は、2003年から2013年の間に製造されたレンズはブラックとシルバーが用意されている。マクロアダプターはブラックのみで、シルバーのレンズもブラックのアダプターを使用する。2014年以降はブラックのみになり、絞りリングの径が大型化されたビッグトップと呼ばれるレンズ鏡筒に変わっている。
- レンズ構成図は各社のPDFより引用し、サイズはこちらで調整しているため、厳密ではない。


2.使用感
MACRO ELMAR 90mm単体で使用した場合、絞り開放から歪み無く抜けの良い写真を得ることができる。作例はすべて絞り開放である。
仕様をみて分かるとおり、焦点距離90mmのレンズに限らないが絞り開放値 F4は暗いレンズなので、撮影時に油断していると手ぶれ写真を作る可能性が高い。とくにISO100フィルムなどの低感度フィルムは注意が必要で、シャッターを押したときにブレないように撮影する術を身につける必要がある。
デジタルカメラではISO感度を上げることによって、シャッタースピードを高速にすることができるため、手ぶれ問題はかなり軽減される。
そして、マクロ・エルマー M 90mmはレンズ単体でも満足はできるが、マクロアダプターとセットで使うとより楽しい。マクロアダプターを使用した場合、近接撮影では絞り開放のF4で十分なボケが得られ、焦点距離90mmと少し長めの焦点距離なので、それなりに被写体をクローズアップした作品を得ることができる。
レンジファインダーカメラで使う場合は、眼鏡の付いたアダプター「MACRO-ADAPTER-M 14409 *eyes” version」をカメラに装着する。装着はレンズを周方向に180°回転させてアダプターに装着してカメラに装着する。レンズ全体が被写体に近づくことにより近接撮影が可能となる。基本的には延長チューブと同じ原理だが、「MACRO-ADAPTER-M 14409 *eyes” version」はライカMレンジファインダーの距離計と連動してピント位置がファインダーの二重像で確認できる。
しかし、「MACRO-ADAPTER-M 14409 *eyes” version」を使用した撮影は、被写体に接近するほどファインダーとレンズの位置関係からファインダーの見た目と撮影結果の差(パララックス / 視差)が大きくなる。
デジタルカメラの場合、撮影後のプレビューで確認しながら撮影すれば、ある程度イメージ通りの結果を得ることができるが、撮影後に一々プレビューを確認するのも迂遠でリズムの悪い撮影になる。
M型ライカもM typ240以降のデジタルM型ライカは、電子ビューファインダーを装着するか背面液晶のライブビューで撮影すれば、パララックスの問題はなくなるが、その場合ただの延長チューブをつけて取るのとかわらないため、この眼鏡付きのアダプターはいらなくなってしまう。
1度だけ、ISO100の36枚撮りリバーサルフィルム KODAK E100VSを装填したM6 TTLで使用したが、x0.85倍のファインダーのカメラだったので、二重像合致によるピント位置の問題はなかったが、パララックスを想定して撮影する面倒から、フィルムカメラでは2度と使うことはなかった。
3.付加情報
Mマウント・マクロアダプター
Mマウントカメラに接写機能を追加するアイテムとして、マクロ・エルマー 90mm専用の「MACRO-ADAPTER-M 14409 *eyes” version」後継モデルとして、汎用性を高めるためアダプターからめがねが除去された「MACRO-ADAPTER-M 14652 “universal” version」がリリースされた。
「MACRO-ADAPTER-M 14652 “universal” version」はピント決定は電子ビューファインダーに頼ることになるけれど、補助ヘリコイドを装備しており、近接時の撮影自由度が上がっている。マクロエルマーを沈胴させた状態にすると、マクロアダプターを装着したまま無限遠がでるようになっており、マクロと通常撮影の変更が簡便になっている。
また、電子ビューファインダーによるピント位置の決定なので、マクロ・エルマー90mm以外のレンズでの使用も可能となる。しかし、ライカのリリースによると28mm未満(24mm以下)のレンズの使用は推奨されていない。


仕様
項目 | 値 | 備考 |
焦点距離(mm) | 90 | |
最大絞り | 4 | |
最小絞り | 22 | |
レンズ構成 | 4群4枚 | |
撮影距離(m) | ∞〜0.77 | 全域カメラ距離計連動 |
マクロアダプター使用時(m) | 0.76〜0.5 | 全域カメラ距離計連動 |
レンズ長(mm) | 59 | 沈同時41mm |
レンズ最大径(mm) | 52 | |
フィルター径(mm) | 39 | |
重量(g) | 230(ブラック) | 320(シルバー) |
マクロアダプター重量(g) | 96 |
参考文献・参考リンク
- LEICA MACRO-ELMAR-M 90mm 公式ページ
- LEICA WikiによるMACRO-ELMAR-M 90mm・説明ページ
- LEICA WikiによるMACRO-ADAPTER-M・説明ページ
- ライカ マクロ・アダプター M・ライカ公式ページ
更新履歴
- 2025.4.8
- 2024.02.20:改稿
- 2022.04.27:初稿
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