目黒区美術館コレクション展 新収蔵品を中心に+清原啓子の銅版画

東京・目黒区美術館で開催されている、「目黒区美術館コレクション展 新収蔵品を中心に+清原啓子の銅版画」を鑑賞した感想
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目次
目黒区美術館コレクション展 新収蔵品を中心に+清原啓子の銅版画
概要
- 展名:「目黒区美術館コレクション展 新収蔵品を中心に+清原啓子の銅版画」
- 会期:2025年10月11日(土)~2025年11月16日(日)
- 場所:目黒区美術館
本展は「清原啓子」展示作品は目黒区美術館、町田市立国際版画美術館、八王子市夢美術館、個人蔵で構成されており、「清原啓子」以外の作品はすべて目黒区美術館の所蔵品だ。
展示作品は以下のとおりである。
- ロビーに草間彌生《Endless Love Room》《無限の網B》 2点
- 展示室Aに「多和圭三」 6点
- 展示室Bに「村上友晴」 5点
- 展示室Cに「清原啓子」 37点
- 2階オープンスペースに「寺崎百合子」 4点
- 2階廊下に「安原善明」 陶器2点、「香取正彦」 鋳物1点
本展は展示風景の撮影が撮影可能な場所があるが、撮影可能な場所、撮影写真の利用に条件があるため現地の注意表示を確認して指示を守る必要がある。
本展は有効期間のある #ぐるっとパス で一度無料で入場できる。
感想
■清原啓子
作家さんの残した作品総数が約30点とそれほど多くないこともあり、一つの展示室に凝縮された展示となっている。
いずれの作品も過去どこかで見たことがある作品たちだが、作品との再会を懐かしみつつ作家の刻んだ線描を堪能した。
銅版画家、清原啓子(1955年〜1987年)は、神話などをベースに作家が紡ぎ出した物語を版画で映像化しており、その作品の繊細な描写は銅版に幾重にも線を重ねる途方もない作業によって作られている。
本展覧会は、最終作品となる版画、版画の元になる素描、版画を刷るための銅販、テスト刷りの版画が展示されており、それぞれを見比べることでその違いを鑑賞者が実感できるようになっている。
最終作品である版画を見ていると、清原の刻む線は技巧も素晴らしさは何度見ても惚れ惚れしてしまう。そして、その線描は単に細かいだけではなく、彼女自身が作品を作るとき創作した物語との一体化し作品を鑑賞しながらさまざまな想像を巡らせることができる。今回はテスト刷りから最終作品ヘの移り変わりを見ることができる作品もあり、作家の試行錯誤と作品の変遷が興味深い。
版画の元となる素描をみると、そこには確かな画力があり、画面全体を構成する要素の配置などの構想力も素晴らしい。それは最近鑑賞した国立西洋美術館の「素描展」に展示されていた過去の素晴らしい素描作品に劣らない見事な線描を見ることができる。
版画を刷るための銅版は光の当たり具合で見えてくる彫り後が生々しい、作家自身の下書きがあるとはいえ失敗が許されない銅版に刻まれた彫りは作家の命そのもののように感じられる。
作品収蔵は、個人蔵と作家出身地の八王子夢美術館、目黒美術館、山梨県美術館がおもなところで、比較的纏まって収蔵されているため、個展では作品を集めやすい作家さんと思われる。
■多和圭三
最も広いギャラリーAを贅沢に6作品を展示し、抽象的なペイントと物派的な4本の角柱《Untitled》が立っている。空間全体を使ったインスタレーション的な展示で、鑑賞者と作品の重なりによる変化を眺め、鑑賞者がいないときの作品と空間を独り占めする感覚はなかなかに贅沢である。
まとめ
本展は新規収蔵品と清原啓子 生誕70年を記念して、所蔵品と他館からの借用品を合わせて、清原啓子の全貌を見ることができる。
もっとも大きなギャラリーAは四角部屋の一片が山形に折れ曲がった変形6面体で、個性的な形をしており、本展示もこの空間を生かした展示となっている。
2025年の建築費高騰などの理由から、本美術館の改築計画が宙に浮いているため、計画が固まるまではこちらで展示がつづくはずだ。この空間を生かした展示を今後も期待したい。
関連リンク
- 目黒区美術館・公式ページ
- 八王子夢美術館・2017年個展「没後30年銅版画家 清原啓子」・公式ページ
- 須坂版画美術館・2021年個展「夭折の銅版画家 清原啓子展~幻想~」・公式ページ
- 山梨県立美術館 収蔵品データベース・清原啓子
撮影機材
- LUMIX DMC-LX7
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更新履歴
- 2025.10.18
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