記録をひらく 記憶をつむぐ

2025年8月27日に東京国立近代美術館で開催された「コレクションを中心とした特集 記録をひらく 記憶をつむぐ」を覧た感想
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目次
展概要
- 展題:記録をひらく 記憶をつむぐ
- 日付:2025.7.15 – 10.26
- 前期:〜2025.9.7
- 後期:2025.9.7〜
- 場所:東京国立近代美術館
展示の章立て
- 1章 絵画は何を伝えたか
- 2章 アジアへの/からのまなざし
- 3章 戦場のスペクタクル
- 4章 神話の生成
- 5章 日常生活の中の戦争
- 6章 身体の記憶
- 7章 よみがえる過去との対話
- 8章 記録をひらく
前期・後期の展示替えは、以下の作家の作品となっている。
- 2章 難波香久三(架空像)(同作家の展示作品変更)
- 章 山口逢春→三輪晁勢
- 6章 岡上淑子(同作家の展示作品変更)
- 6章 浜田知明(同作家の展示作品変更)
- 6章 丸木位里・俊(同作家の展示作品変更)
アイキャッチの画像は以下の作品を使用した。
- 松本竣介《並木道》1943年 東京国立近代美術館
- 靉光《自画像》1944年 東京国立近代美術館
- 田村孝之介《佐野部隊長還らざる大野挺身隊と訣別す》
感想「戦後80年、芸術家の歩み」
コレクション作品が中心だが、要所要所に他館からの作品をはめ込んで全体をまとめている。
他館の作品で目を惹いたのは、2章に展示される、猪熊弦一郎《長江埠の子供達》1941年 丸亀市猪熊弦一郎現代美術館だ。伊谷賢蔵《楽土建設》京都国立近代美術館と並んで展示されている。
解説にもあるとおり、猪熊の子供たちの冷めた表情、伊谷の無表情で押しつけられた「楽土」建設に励む人々の表情から、アジアの景色に戦争の影響が垣間見られる作品で、領土拡張の野望の元、アジア諸国へ侵略した歴史は忘れてはいけない。よい戦争などどこにもない。
そして、2章後半から直接戦争を描写する作品が展示され、無期限貸与中の藤田嗣治の戦争画14点のうち、次の4点が展示されている。
- 2章《シンガポール最後の日(ブキ・テマ高地)》
- 2章《神兵の救出至る》
- 3章《哈爾哈河畔之戦闘》
- 4章《アッツ島玉砕》、《サイパン島同胞臣節を全うす》
このため、今期は常設展示に藤田嗣治の戦争画は展示されていない。
2章・向井潤吉《四月九日の記録(バタアン半島総攻撃)》、3章・田村孝之介《佐野部隊長還らざる大野挺身隊と訣別す》の作品からは、戦地にいる人々の息づかいが聞こえるようで、立ち止まりしばし見入った。
前後の作品で印象的だったのは、6章に展示された個人蔵の河原温《死仮面》、その前の週に千葉市美術館で「Today」シリーズの無機質な作品を覧たあとだったので、描かれた顔がより生々しく感じられた。
展示を出たあと、常設展を鑑賞するために4階まで移動し、「眺めのよい部屋」から町並みを眺めると、ほっとした気持ちになった。
世界的に戦争を語る世代が失われ、他国への敵意を隠さなくない指導者が増え、不安定な情勢を肌身で感じる。
個人の力ではどうしようにもないことも多いが、積極的にそれらを加速させる動きに加担することが無いように日々考えていきたい。
参考情報
- コレクションを中心とした特集 記録をひらく 記憶をつむぐ・MOMAT公式ページ
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撮影
- HASSELBLAD X2D-100C +XCD 28mmP
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更新履歴
- 2025.9.7
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