Ms-Optics APORIA 24mm
大口径・薄型・広角24mm
APORIA 24mm F2(MS-Optics / 宮崎光学)のレビューと写真作例
目次
ギャラリー
- 写真作例の撮影
- Ms-optics APORIA 24mm F2 +LEICA M typ240
- Ms-optics APORIA 24mm F2 +HEXAR RF +Kikipan 320(640) +DiMAGE SCAN PRO Multi
レビュー
1.概要
アポリア 24mmはMS-Optics(宮崎光学)が2020年にリリースした、ライカMマウントで絞り開放値F2の明るさを持つ広角24mmレンズ、レンズ形式にガウス型を採用する。同年代にリリースされたアポクオリア 28mm F2同様に、カラーバリエーションが多く、漆塗り、蒔絵付き、通常タイプと多くの鏡筒種類が流通している。
最短撮影距離はミラーレスカメラでの使用を意識した0.5mで、ライカM型のレンジファインダーカメラの場合、0.8mまで距離計と連動する。
フィルターは、34mmフィルターのガラスを取り出してレンズ先端にはめるように説明書にある。レンズ鏡筒には専用フードのためのネジが切ってあるが、ネジ径が特殊なため市販で売られているフィルターで適合する径を見つけることはできなかった。
2.使用感
このレンズのスペックは、ライカ、コシナ(フォクトレンダー )、ツァイスなど他のメーカーにはないスペックであり、24mmの広角レンズでF2の明るさは唯一無二の価値がある。
この明るさを実現しながら、レンズ鏡筒は非常に薄く作られており、厚みわずか5.6mmでボディキャップと呼べる。しかし、このコンパクトな鏡筒のため、レンズ性能が少し犠牲になっており、古めの35mmフルサイズセンサーカメラを使った場合、絞り開放において中心部はよいが周辺は減光、解像度低下とカラーキャストが目立つ場合がある。
上記欠点は、絞りを絞れば若干改善するが、レンズフードを装着した状態では、フードの内側に設置された絞り環を変更しづらいという操作上の問題点がある。絞り開放時の周辺部のつらさは、被写体の主題を中央部で撮影しレンズのネガティブな影響が目立たないような構図を考える必要があり、使い込むにしたがい撮影者が許容可能な画質が得られる範囲を把握して表現に幅をだす必要がある。
レンズの欠点は撮り手が意図を持って処理しなさいと宮崎さんはよく言っていた。基本的にデジタルカメラ向けのレンズとなっており、フラットな描写を好む撮影者には適さないレンズだ。
周辺部を強制的に切り捨てることができる、APS-Cサイズセンサー搭載のカメラでは、焦点距離36mm相当、マイクロフォーサーズカメラでは、焦点距離48mm相当となり、画面の広がりはなくなるが、安定した描写を得ることも可能である。
最後に、このレンズの銘板はMS-OT APORAとなっているが、これは誤植で正しくはMS-OP APORIAである。製造時に記載ミスを修正するタイミングを逸したため、現状の表記となっている。
3.比較
APORIA 24mmは先代のペラ 24mmと比較すると、明るさは2段明るくなっているにもかかわらず、重量や大きさはほぼ同じと、他のレンズを圧倒するコンパクトさを維持している。レンズ構成にガウス型を採用したことにより、周辺部の画質の向上とカラーキャストの低減が為されていることもAPORIAの強みである。
以前と同様に、24mm、25mmクラスのレンズは、レンジファインダーカメラの単焦点レンズでは、それほど種類がある焦点距離ではない。フォクトレンダーは21mm、35mm、50mmは積極的に展開しているが、25mmはF4Pをリリースしてからリニューアルされていない。Zeissは開店休業状態で、ライカは24mm/F1.4と24mm/F3.4の2つでラインナップが完成しているようだ。
それに比べると、1眼レフやミラーレスカメラ向けの標準ズームレンズの広角端は24mmのケースが多くなっているため、ズームレンズの使用者にとって馴染みのある焦点距離と思われる。
こちらは単焦点レンズとはいえ、ズームレンズと比べるとレンズフロントキャップ程度の厚みに、24mm F2のスペックを詰め込んでいる。機会があれば是非使って貰いたいレンズの一つだ。
仕様
項目 | APORIA | PERAR | COLOR SKOPAR | BIOGON | ELMARIT |
メーカー | Ms-optics | ← | Voigtlander | Carl Zeiss | LEICA |
焦点距離(mm) | 24 | 24 | 25 | 25 | 24 |
最大絞り | 2 | 4.0 | 4 | 2.8 | 2.8 |
最小絞り | 16 | 16 | 22 | 22 | 16 |
絞り羽根 | 10 | 10 | 10 | 10 | 9 |
レンズ構成 | 4群6枚 | 3群3枚 | 6群8枚 | 7群9枚 | 7群9枚 |
最短撮影距離(m) | 0.5 | 0.65 | 0.5 | 0.5 | 0.7 |
レンズ長(mm) | 5.6 | 5.2 | 25.4 | 46.6 | 45 |
レンズ最大径(mm) | 51 | ← | 55 | 53 | 55 |
フィルター径(mm) | – | 19 | 39 | 46 | 55 |
重量(g) | 39 | 35 | 144 | 260 | 290/388 |
リリース年 | 2020 | 2014 | 2007 | 2005 | 1996 |
価格 | ¥100,000- | ¥60,000- | ¥50,000- | ¥110,000- | – |
参考文献・参考リンク
更新履歴
- 2024.11.23
- 2024.02.17:改稿
- 2023.02.12:初稿