Ms-Optics C.Z TESS 35mm
コンパクト・テッサー・レンズ
MS-Optics C.Z TESS 35mmのレビューと写真作例
目次
ギャラリー
写真作例の撮影はLeica M-P
レビュー
1.使用感
Ms-Optics(宮崎光学)製のC.Z.TESS 35mm F3.5は、レンズそのものはKyoceraのコンパクトフィルムカメラのレンズをライカMマウントに移植した物となる。
その写りはデジタルの時代においても周辺減光が少し気になる程度で非常に良いが、センサー設計が古めの、LEICA M-P TYP240で青空を写した場合、画像周辺部でカラーキャストを起こすことがある。
カラーキャストはセンサーとの相性なので、発生しないカメラを選ぶしかないが、周辺減光はレンズ径が小さいためある程度は仕方がない現象で、周辺減光するレンズと割り切って周辺が落ちるようなシーンを選んで撮影するなど撮影者の工夫が必要となる。
周辺を落とすことによる副次的な効果として、周辺減光によってカラーキャストが目立ちづらくなるため、意識して使うとカラー撮影がやりやすくなる。
Ms-Opticsでは、このレンズ以外にもコンパクトカメラからのレンズをライカMマウントに移植している。別ページにて紹介している、カメラ組み込みのレンズをライカMマウントとして使用できるようにしたMs-opticsの功績は大きい。この改造にも一部制約があり、レンズが固定され抜き出せ、ヘリコイドに組み込むことで焦点距離変更できるレンズに限られる。RICOH GR1、GR21、KONICA BIG MINIなどはレンズ単体で取り出しができないようで、改造依頼を断られたことがある。
Ms-optics・移植レンズリスト
- レチナ付属レンズ
- ニコンミニ付属28mmF3.5
- ニコン35Ti、28Ti
- ニコン・ピカイチ付属レンズ
- フジ・ティアラ付属28mmF3.5
- ミノルタ・ハイマチック付属レンズ
- ヤシカ・エレクロト35付属レンズ
- キョーセラT-AFD等テッサー35mm F3.5
- コンタックスT2
- ライカ・ミニルックス・ズマリット 40mm F2.8
2.レンズ概要
C.Z.TESS 35mm F3.5は、フィルム時代の京セラ製コンパクトカメラ、Yashica T*(もしくはKyocera T* )に搭載された3群4枚のテッサー形式を採用しているレンズ。
レンズはMs-optics(宮崎光学)によって、カメラから取り出したレンズを、Ms-optics共通ヘリコイドMS-35に移植しており、ヘリコイドのMS-35はライカM型カメラの距離計に連動するように作られている。
本レンズはとてもコンパクトなレンズでフードを付けない場合、厚みは9mm、重量は36gと2020年代のレンズではありえない大きさと重さである。
操作上の欠点としてはフィルターを装着した場合、絞りを変更することが出来ないことである。開放F値 3.5は少し暗めだが十分にシャープに写るため、ロシアレンズのRussarやOrion同様に決めた絞り値だけで撮影する割り切りも必要だろう。
レンズの銘板は改造した時期によって、本レンズのように「C.Z.TESS」であったり、「FOR TESSAR」と書かれていたり様々である。鏡筒は銀色と黒色があり、銀色は古い年代に改造のものでにL39マウント、黒色は最近改造されたものでMマウントである。
3.Kyocera Yashica T AF-D
Kyocera Yashica T AF-D(以下、AF-D)は、35mmフィルムカメラでプラスチックのチープなボディをもち、フォーカスはオートフォーカス(以下、AF)となっており、撮影者が介入する余地がほとんど無いカメラとなっている。リンク先の使用記事「Kyocera Yashica T AF-D ヤシカなの京セラなの?」によるとAFの合焦精度はよろしくないようである。これはこの時代のコンパクトフィルムカメラが搭載しているAFの合焦精度の限界と考えられる。
レンズは購入時にレンズの抜き取られたAF-Dのボディが付属してきたので、フィルムカメラとしてAF-Dを使用したことはない。前オーナーもカメラが壊れたか、フィルムで使うことを飽きられたので、Ms-opticsへ改造を依頼し現在の形になり、何らかの理由で手放した物が中古屋に流れた物を購入したことになる。中古屋に実物を見にいくまでは、ボディのみのAF-Dが付いてくるとは思ってもいなかった。
レンズ抜きボディが付いてくるのは、Ms-opticsにカメラを送って改造を依頼すると、レンズ部はカメラから取り出されMマウントへ改造される。そのとき余ることになるカメラ本体は、レンズと一緒に送り返してくれる仕組みだった。Ms-opticsに直接依頼したライカのミニルックスに装着されたズマリットをMマウントへの改造を依頼したとき、ミニルックスのボディが返ってきて、それも手元に残っている。多くのユーザーにとってはレンズを抜き取ったボディはほぼゴミなので、捨てられてしまうことも仕方がない。
仕様
項目 | 値 | 備考 |
焦点距離(mm) | 35 | |
最大絞り | 3.5 | |
最小絞り | 16 | |
レンズ構成 | 3群4枚 | テッサー型 |
最短撮影距離(m) | 0.6 | 0.8mまでカメラ距離計連動 |
レンズ長(mm) | 9 | |
レンズ最大径(mm) | 48.7 | |
フィルター径(mm) | 34 | |
重量(g) | 36 |
参考文献・参考リンク
- 「Yashica T AF」のスペックなどが記載されたサイト(英語)
- WikipediaによるZEISS TESSARの説明ページ
- Kyocera Yashica T AF-D ヤシカなの京セラなの?
更新
- 2024.10.3
- 2024.02.15:改稿
- 2022.01.18:初稿
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