Press "Enter" to skip to content

ライカMマウント コンパクト・テッサー C.Z TESS 35mm

MS-Optics C.Z TESS 35mmをデジタルレンジファインダーカメラ LEICA M-P typ240とミラーレスカメラSONY α7Siiなどで使用したレビューと写真作例

目次

ギャラリー

写真作例の撮影は以下のカメラを使用した。

  • Leica M-P typ240
  • SONY α7Sii
  • SONY α NEX-7
  • LUMIX DMC-GM5
  • HASSELBLAD X2D-100C

レビュー

Before imageAfter image

1.概要

C.Z.TESS 35mm F3.5は、フィルム時代の京セラ製コンパクトカメラ、Yashica T*(もしくはKyocera T* )に搭載された3群4枚のテッサー形式を採用しているレンズ。
レンズはMs-optics(宮崎光学)によって、カメラから取り出したレンズをMs-optics共通ヘリコイドMS-35に移植し、ライカM型カメラの距離計に連動するように改造されている。

主な仕様は以下の通りで、詳細は表に載せている。

  • 開放F値 3.5
  • レンズ構成 3群4枚
  • 絞り羽根 10枚
  • 最短撮影距離 0.6m
  • ライカMレンジファインダーカメラ距離計連動 0.8m

本レンズは、コンパクトフィルムカメラのレンズなので、Mマウントレンズとしてもとてもコンパクトにできておりレンズフードを付けない場合、厚みは9mm、重量は36gと2020年代のレンズではありえない大きさと重さになる。

レンズの銘板は改造した時期によって、本レンズのように「C.Z.TESS」であったり、「FOR TESSAR」と書かれていたり様々で、鏡筒色には銀色、黒色の2種があり銀色は古い年代に改造のものでレンズマウントがL39スクリューマウント、黒色は比較的新しい年代に改造されたものでレンズマウントはライカMマウントとなっている。

2.使用感

C.Z.TESS 35mm F3.5の写りは、デジタルの時代においても周辺減光が少し気になる程度で中心はシャープな描写だ。

Ms-OpticsによるライカMマウント改造した古いコンパクトカメラのレンズはレンジファインダーカメラの二重像合致式の距離計に連動するため、コンパクトフィルムカメラでは難しかった厳密なピント合わせが可能になるメリットがある。
改造レンズの中でライカMマウントの距離計に連動するMs-Opticsのようなタイプは珍しい。

この改造レンズを操作する上での欠点は、フィルターを装着すると絞りが変更できなくなることだ。
これの対処は、絞り変更のためにフィルターを外すか、フィルターを装着しないかなどが考えられる。

ここからは、個別のカメラでの使用感について記述する。

■デジタルレンジファインダーカメラ

LEICA M-P TYP240は35mmフルフレーム2400万画素センサーを搭載したデジタルレンジファインダーカメラで、Ms-Optics解像を手掛けた本レンズのレンジファインダー連動機構はデジタルMライカにおいても問題のない精度だ。

このセンサーは設計が古めか青空を写した場合、センサーへ斜めに入射する光の影響で画像周辺部に紫色のカラーキャストを起こすことがある。写真作例の一枚目にカラーキャストが確認できる。また、周辺減光をおこしているのはレンズのイメージサークルの小ささのためと考えられる。

この2つの欠点については周辺減光はレンズ径が小さいためある程度は仕方がない現象で、周辺減光するレンズと割り切って周辺が落ちるようなシーンを選んで撮影するなど撮影者の工夫が必要となる。

カラーキャストの回避は、モノクロームで撮影する。カラーキャストの発生しづらいセンサーのカメラで撮影する。撮影時に太陽光の入り具合を調整するなどがある。

また、露出を調整して周辺部の光を落とすことによって発生する周辺減光によってカラーキャストが目立ちづらくなる。そのため周辺減光をコントロールして撮影するとカラー撮影がやりやすくなる。

このレンズはイメージサークルが小さいので、APS-Hサイズセンサーを搭載したLEICA M8で使用するのがベターと思える。残念ながらこのレンズを入手したときにLEICA M8は手元になかったので使用できていない。

■ミラーレスカメラ

SONY α7Siiは35mmフルフレーム1200万画素センサーを搭載したミラーレスカメラで、1200万画素と低画素のためこのレンズの描写が怪しくなる周辺部はいい感じでごまかされている。

SONY NEX-7はAPS-Cサイズ2400万画素センサーを搭載したミラーレスカメラで、焦点距離が40mm*1.5倍の60mmとなりレンズの中央部分のいわゆる美味しいところを使えているため、2400万画素の解像度も十分に生かし切れている。

Ms-Optics C.Z TESS 35mm +SONY α NEX-7
Ms-Optics C.Z TESS 35mm +SONY α NEX-7

PANASONIC LUMIX GM5は4/3サイズ1600万画素センサーを搭載したミラーレスカメラで、焦点距離が40mm*2倍の80mmとなり35mmフルフレームセンサーの1/4サイズなのでレンズの印象はかなりかわる。

■中判デジタルミラーレスカメラ

HASSELBLAD X2D-100Cは中判デジタルセンサーを搭載したミラーレスカメラで、センサーサイズは35mmフィルム判よりも大きく、35mmフィルム判にたいする焦点距離の換算係数は0.8倍となっており、イメージサークルが中判デジタルセンサーをカバーしていれば、28mm相当の広角レンズとなる。

C.Z TESS 35mmは35mmフルフレームセンサーにおいても周辺減光が見られるレンズで、下作例のように中判デジタルカメラの44mm x 33mmセンサーで撮影すると周辺部はより減光が目立つ。周辺部の描写乱れを見てもレンズのイメージサークルとしては35mmフィルム判が限界と考えられる。

中心部の描写は1億画素のセンサー解像度にもある程度対応できており、周辺部を気にしなければ十分に使える画質をしている。しかし、レンズコートにコストがかかっていないためか、逆光下においては妖しげな光が写ることがある。

X2D-100Cはカメラ本体にシャッター機構がないため、電子シャッターで撮影するので、被写体のローリング歪みに気をつける必要がある。同じサイズの中判デジタルセンサー搭載したミラーレスカメラのなかで富士フイルムのGFXシリーズはメカシャッターをボディに内蔵しているため、よりライカMマウントレンズは使い易いはずだ。

空・Sky
Ms-Optics C.Z TESS 35mm +HASSELBLAD X2D-100C

3.まとめ

結論としてC.Z.TESS 35mm F3.5 改造レンズをまとめると、フィルムカメラに装着されたレンズを、最新のデジタルカメラで使用できることが最大のメリットだ。

写りに関しては、中央部の先鋭さはデジタル時代でも通用する写りだが、周辺部の描写についてはカラーキャスト発生の可能性と像の乱れから画質はあまり期待できない。このため、35mmフルサイズセンサーより、APS-C、マイクロフォーサーズなどの小センサーが向いている。

仕様・考察など

Ms-optics・コンパクトカメラレンズ改造リスト

Ms-Opticsでは、このレンズ以外にもコンパクトカメラからのレンズをライカMマウントに移植している。別ページにて紹介している、カメラ組み込みのレンズをライカMマウントとして使用できるようにしたMs-opticsの功績は大きい。この改造にも一部制約があり、レンズが鏡筒に固定されており、そのまま抜き出して、別ヘリコイドに組み込むことができるレンズに限られる。
改造不可能なレンズとして、RICOH GR1、GR21、KONICA BIG MINIなどは、レンズ構造から改造が難しいとのことで依頼を断られたカメラもいくつかある。

Kyocera Yashica T AF-D

Kyocera Yashica T AF-D(以下、AF-D)は、35mmフィルムカメラでプラスチックのチープなボディでフォーカスはオートフォーカスなので撮影者が介入する余地がほとんど無いカメラだ。
リンク先の使用記事「Kyocera Yashica T AF-D ヤシカなの京セラなの?」によるとAFの合焦精度はよろしくないようである。これはこの時代のコンパクトフィルムカメラが搭載しているAFの合焦精度の限界と考えられる。

レンズは購入時にレンズの抜き取られたAF-Dのボディが付属してきたので、フィルムカメラとしてAF-Dを使用したことはない。前オーナーもカメラが壊れたか、フィルムで使うことを諦めたためか、Ms-opticsへ改造を依頼し現在の形になっている。
それが、何らかの理由で手放した物が中古屋に流れた物を購入したことになる。
中古屋に実物を見にいくまでは、ボディのみのAF-Dが付いてくるとは想像していなかった。

レンズが抜かれたボディが返ってくるのは、Ms-opticsにカメラを送って改造を依頼すると、不要なボディを処分する旨を伝えておかないと返ってくる。
Ms-opticsに直接依頼したライカのミニルックスに装着されたズマリットをMマウントへの改造を依頼したとき、ミニルックスのボディが返ってきて、それも手元に残っている。多くのユーザーにとってはレンズを抜き取ったボディはほぼゴミなので、捨てられてしまうことも仕方がない。

YASHICA ヤシカ T AF-D 
項目備考
焦点距離(mm)35
最大絞り3.5
最小絞り16
レンズ構成3群4枚テッサー型
最短撮影距離(m)0.60.8mまでカメラ距離計連動
レンズ長(mm)9
レンズ最大径(mm)48.7
フィルター径(mm)34
重量(g)36

参考情報

広告

  • 広告リンクの商品は商品写真価格送料などを複数サイトで比較し商品の妥当性を確認してから購入をお勧めする。
Rakuten Affiliate link Amazon Affiliate link

更新

  • 2025.11.12
  • 2024.10.3
  • 2024.02.15:改稿
  • 2022.01.18:初稿

Be First to Comment

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


Shige's hobby