Ms-optics HIPOLION 19mm
ボディキャップより薄いMs-Opticsの最薄レンズ
ハイポリオン 19mm / F8のレビューと写真作例
目次
ギャラリー
- 写真作例の撮影は、LEICA M9とLUMIX GM5
レビュー
1.レンズ概要
ハイポリオン 19mmは、宮崎歴史シリーズの1本で、レンズ鏡筒厚みが2.6mmとMs-optics(宮崎光学)史上で最も薄いレンズだ。
このレンズの名称「ハイポリオン」は、ゲルツのハイパーゴン(ハイペルゴン)のオマージュとなっており、ハイパーゴンは有名な2枚のガラスで構成された対称型レンズで、本レンズもそれに倣った構成となっている。
レンズの仕様にも工夫があり、シャープな像を得るためにはF8以降に絞る必要があるが、レンズ自身の絞りはF4まで開くことができ、この最大まで絞りを開いたときに得られる特徴的なソフト描写を使えるように、ユーザー側に選択の権利を与えるようにしている。これは制限より自由を好む設計者・宮崎氏の考えがあらわれているように感じられる。
2.使用感
ボディキャップよりも厚みは薄いため装着するとレンズ部分の厚みはほとんど感じない。
その薄さ故にレンズを使ううえで必要となる絞り値の変更、フォーカス調整などの基本的な操作が少々やりづらい。しかし絞り値をF8にしておくとほぼパンフォーカスで使用できるので、気軽にスナップをする場合はそれで十分だと考える。
35mmフルサイズセンサーの中でも古株のLEICA M Typ240では、撮影画像の周辺部の色かぶりと像の乱れが目立つ。色かぶりの目立たないセンサーを持つカメラを使用するか、4/3インチやAPS-Cサイズの小型センサーで周辺部がクロップされる使用方法がベターだ。
以下に、F4、F5.6、F8の作例を載せるが、F4のソフトモードでも中心部はそれなりに描写されており、まったく使えないわけではない。しかし、F4の描写はどれも似たような写真となるため多用するのは避けた方がよいだろう。
3.近しいレンズ
コンタックス G ホロゴン 16mmは固定絞りF8のレンズだが、こちらもレンズをのぞくと円盤状の絞りが見られるため、絞りを開けようと思えばより明るくできると考えられるが、描写は破綻するのであろう。
ニコンのトポゴンコピーと言われるS ニッコール 25mmは、絞り開放がF4であり、絞り開放から実用的な描写になっているのは、ハイポリオンとは焦点距離とレンズ構成が異なるためだろう。
ハイポリオンと同様の対称型レンズ、ロシアのオリオン15は焦点距離28mm F6の仕様だが、レンズを覗くと絞りが絞られた状態で最大絞りになっており、ホロゴン同様に設計者が描写が破綻しない位置で制限をかけているように思われる。
仕様・比較
項目 | HIPOLION | ニッコール2.5cm F4 |
焦点距離(mm) | 19 | 25 |
最大絞り | 4 | 4 |
最小絞り | 16 | 22 |
レンズ構成 | 2群2枚 | 4群4枚 |
絞り羽根枚数 | 10 | 8 |
最短撮影距離(m) | 0.5 | 1 |
レンズ長(mm) | 2.6 | – |
レンズ最大径(mm) | 50 | – |
フィルター径(mm) | – | – |
重量(g) | 70 | – |
リリース年 | 2020.12 | 1953 |
定価(円・税別) | 60,000 | – |
参考文献・参考リンク
- Wikipediaによるトポゴンレンズの説明
- Image of Hypergon by Wikipedia
- Website explaining Hypergon
- ニッコール千夜一夜物語・第二十九夜 W-Nikkor・C 2.5cm F4
- Nikon (Nippon Kogaku K.K.) RF W-Nikkor.C 1:4 f=2.5cm (25mm f/4.0)
更新履歴
- 2024.8.10
- 2024.03.13
- 2022.11.30
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