宮崎光学 極大口径 MS-ISM 50mm F1 GA

MS-Option ISM-GA 50mm F1.0をLEICA M10とLEICA M-P typ240で使用したレビューと写真作例
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目次
ギャラリー
写真作例の撮影は以下のカメラを使用した。
- LEICA M10
- Leica M-P typ240
レビュー


1.概要
ISM 50mm F1 GAはMS-Optics(宮崎光学)の大口径標準レンズ
レンズ名のGAが示すとおりレンズ形式に5群7枚のガウス型を採用する。
最短撮影距離は0.8mでレンジファインダーカメラの距離計に全域で連動する。
全長41mm、最大径55mm。重量180gと絞り開放値F1.0を持つレンズとしては破格にコンパクトな大きさと重さである。
前玉の大きなレンズでレンズ前面保護のため、55mmのフィルターが使用できるがレンズ側はMs-optics特有の外ネジが切られている(一般的なレンズは内ネジが切られている)ため、フィルターは通常と逆向きに付けるようになっているので注意が必要だ。フードも55mm径の内ネジが切ってあるため通常のレンズには取付ができない。
2.使用感
ISM 50mm F1 GAの描写は絞り開放は画面全体がフレア気味で中央のピント面以外はかなりゆるい描写となる。F2.8程度まで絞ると描写は改善する。周辺減光は絞り開放から四隅にみられ、こちらは絞っても改善しない。
明るくコンパクトという宮崎氏のレンズへの理想は実現している。しかし、その代償として絞り解放時の霞がかった描写とコントラストの低下がみられる。絞り解放を敬遠して絞ると大口径レンズの意味が無くなるところに使いづらさを感じる。
このレンズはガウス型で採用しており、レンズ設計者の宮崎氏が標準レンズでF1.0を実現するために、こだわりのあるゾナー型をあきらめて実現したレンズだ。
絞り開放F1.0はレンジファインダーカメラの2重像合致で狙った位置にピントを合わせることは困難で、このレンズをM型デジタルライカでつかうときは、電子ビューファインダーを装着していた。
ミラーレスカメラのLEICA SL typ601で使用したところ、EyeResと呼ばれる高解像度・電子ビューファインダーは表示の拡大機能を使うことによりピント位置を正確に判定することができた。これは同じくミラーレスカメラのSONY α7Sii、HASSELBLAD X2D-100Cも同じだった。
本レンズをピント位置重視で使う場合はEVF付きカメラを選択するのがベターだ。
操作性は絞りリングが鏡筒の谷の部分に設置されているため、絞りの誤操作の可能性は少ない。フォーカスは回転繰り出し式で撮影距離が短くなるとレンズが長くなる。
レンズの外観は、塗装を含め洗練されており、Ms-opticsの到達点ともいえるレンズだ。
カラーバリエーションも豊富で写真のメタリックグリーンのほか、メタリックレッド、メタリックブルー、メタリックブラウン(ゴールド)、ブラックペイント、ブラック、シルバーなどがある。
中判デジタルセンサーを搭載したHASSELBLAD X2D-100Cで撮影すると、下図のとおりイメージサークルは35mm判で設計されていることがわかる。


3.まとめ
結論としてMS-ISM 50 GAをまとめると、絞り開放F値 F=1を実現するために、設計はかなり無理をしており、絞り開放の描写は微妙だ。絞って使うならばこのレンズを選択する意味は薄く、絞り開放時のじゃじゃ馬な描写を楽しめる撮影者向けのレンズと言える。
仕様・考察など
レンジファインダーカメラ向け、標準レンズでF1.0より明るいレンズは、ライカ、コシナのフォクトレンダー、中華メーカーなど、それなりの数がリリースされているなかで、このレンズがもっともコンパクトにできている。
先述の通り、解放時の描写には少々難を感じるため、絞り開放の描写については、Ms-opticsがリリースした大口径標準レンズSonnetar 50mm / F1.1が絞り開放の描写が素直で使いやすい。
項目 | MS-ISM | コニカ KM | キヤノン | ノクトン |
焦点距離(mm) | 50 | 50 | 50 | 50 |
最大絞り | 1.0 | 1.2 | 1.2 | 1.1 |
最小絞り | 16 | 16 | 22 | 16 |
レンズ構成 | 5群7枚 | 6群7枚 | 5群7枚 | 6群7枚 |
絞り羽根 | 16 | 12 | 11 | 10 |
最短撮影距離(m) | 0.8 | 0.9 | 1.0 | 1.0 |
レンズ長(mm) | 41 | 50 | 39 | 57.2 |
レンズ最大径(mm) | 55 | 68.8 | 63 | 69.6 |
フィルター径(mm) | 55 | 62 | 55 | 58 |
重量(g)・レンズのみ | 178 | 390 | 322 | 428 |
マウント | M | KM | L39 | VM |
リリース年 | 2019.08 | 2001 | 1956.09 | 2009.6.29 |
価格(定価・税別) | ¥120,000- | – | ¥60,000- | ¥131,250- |
参考情報
- Wikipediaによるガウス型レンズの説明
- LEICA M10・Shige’s hobby
- LEICA M-P typ240・Shige’s hobby
- HASSELBLAD X2D-100C・Shige’s hobby
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更新履歴
- 2025.9.10
- 2024.11.29
- 2024.03.15
- 2023.02.11
- 2022.01.11
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