プロターオマージュ MS-PROT 40mm

Ms-Optics(宮崎光学)プロト 40mm F6.3をLEICA M-P typ240、HASSELBLAD X2D-100C、LUMIX GM5で使用したレビューと写真作例
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目次
ギャラリー
写真作例の撮影は以下のカメラを使用した。
- Lica M-P Typ240
- HASSELBLAD X2D
- PANASONIC LUMIX-GM5
レビュー


1.概要
Ms-H-PROT 40mm F6.3は、MS-Optics(宮崎光学)の焦点距離40mm、プロター(PROTAR)をオマージュしたレンズで、M型ライカの距離計に連動する。
プロターはドイツのカメラメーカーであるカール・ツァイスに所属していたパウル・ルドルフによって発明された2群4枚のレンズ。
レンズ銘の”H-PROT”の”H”はHistoryの頭文字で、Ms-Opticsレンズの中で歴史シリーズになることを意味しており、このレンズはその最初の一本目となるレンズだ。
主な仕様は以下の通りで、詳細な仕様は表に載せている。
- レンズ構成 2群4枚の対称型
- 最短撮影距離 0.3m
- M型ライカの距離計連動 0.85m
- 絞り値 F6.3〜16
- レンズ長 22mm
- 最大レンズ径 50mm
- 重量 47g
2.使用感
Ms-H-PROT 40mm F6.3の描写は、2群4枚の少ないガラス枚数による抜けのよさがありつつ、絞り開放F値=6.3と暗いため絞り開放から安定した描写をする。しかし、逆光時に派手なゴーストかフレアによる怪しい光とコントラストの低下が見られた。
レンズの歪みは+0.2%と小さく、距離目盛りはないが0.3mまでよれる優れた近接撮影性能をもつ。
撮影シーンとしては通常のスナップ以外に、物撮りのためにマクロレンズ的に使うこともできる。風景から近接までオールラウンドにこなすコンパクトで取り回しの良いレンズだ。
最短撮影距離は0.3mとなっており、ヘリコイドは120度程度回転する。M型ライカの距離計には0.85mまで連動する。絞り値はF6.3〜16までクリップストップ無しとなっている。
このレンズはマイクロフォーサーズカメラであるPANASONIC LUMIX GM5に装着すると、35mm判換算 焦点距離80mmのマクロレンズとして使用する使い方である。とくにおいしいレンズ中央部を使用した近接撮影は、被写体を切り取るのにとても向いている。
本レンズの開放F値6.3では、フィルムカメラの時代であれば、ISO400やIS0800のフィルムを使っていても日中野外でしか使う気がおこらないだろう。ミラーレス・デジタルカメラ全盛の昨今は容易にカメラのISO感度をあげることができるため光が少ないシーンでも躊躇無く使うことができるのはよい時代になった物だと感じる。デジタルカメラの欠点としては、絞り値がF6.3くらいになるとセンサー表面の汚れが撮影結果に写りこんでしまうため、センサー表面を綺麗に保つ必要がある。
宮崎氏から聞いた話によると、使用している硝材はすでに廃盤とのことで、在庫の硝材からつくれるレンズとして、このPROT 40mmとDAGONAR 40mmを企画したとのことだ。
HASSELBLAD X2D-100CにX-Mマウントアダプターを経由して使用した場合、35mm判換算で焦点距離は32mm相当となる。中判デジタルカメラが採用している44 x 33mmセンサーにたいして、撮影結果は周辺減光が少し目立つ程度で、周辺部の解像度も十分実用の範囲であり、レンズのイメージサークルが広いことが確認できた。
X2Dはボディ側にメカシャッターがないためセンサーシャッターで撮影している。
センサーシャッターは動体を撮影する際にはローリング歪みが発生することがあるため、カメラ自身がメカシャッターを持っているFUJIFILM GFXシリーズのほうが実用的に使える。


3.まとめ
結論としてMs-H-PROT 40mm F6.3をまとめると、2群4枚のコンパクトな焦点距離40mmのレンズ。
広いイメージサークルを持ち、35mmフルフレームセンサーは余裕でカバーする。
レンズ構成がシンプルなため、周辺部の描写は期待できないけれど、それをカバーする撮影者側の想像力が求められる。
仕様・考察など
2つのレンズを比べた印象は、全く同じ被写体を同距離で撮影し比較した画像をみると、Ms-H-PROT 40mm F6.3はMs-H-DAGONAR 40mm F6.はと比べて若干解像度が低く収差補正がすこし劣っている。
三脚にカメラを固定してレンズだけ取り替えて、同じ被写体を撮影した結果では、Ms-H-PROT 40mm F6.3の撮影範囲はほんの少し広いことが分かった。
これは2群4枚と2群6枚というレンズ構成の差による設計仕様の違いと考えられる。
と考えられる。
両者を持ち出すときにどちらを選ぶかを考えると、撮影システムに少しでもコンパクトさを求める場合はMs-H-PROT 40mm F6.3、わずかでも高い性能を求める場合はMs-H-PROT 40mm F6.3になる。
両レンズはともに40mmという微妙な焦点距離と開放F値の暗さからリリース時は人気は低く売れ残っていた。しかし、製造本数の少なさから中古市場に出る数が減ってきたため、2025年現在はそれなりの価格に戻している。


項目 | PROT | DAGONAR |
焦点距離(mm) | 40 | 40 |
最大絞り | 6.3 | 6.3 |
最小絞り | 16 | 16 |
絞り羽根 | 10 | 10 |
レンズ構成 | 2群4枚 /プロター型 | 2群6枚 /ダゴール型 |
最短撮影距離(m) | 0.3 0.85mまでカメラ距離計連動 | 0.3 0.85mまでカメラ距離計連動 |
レンズ長(mm) | 16.2 | 22.2 |
レンズ最大径(mm) | 50 | 50 |
フィルター径(mm) | 22.5 フード先端は28 | 22.5 フード先端は28 |
重量(g) | 47 | 50 |
リリース年 | 2017 | 2018 |
価格 | ¥50,000- | ¥55,000- |
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参考情報
更新履歴
- 2025.7.31
- 2024.03.13:改稿
- 2022.12.20:初稿
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